目次
発達障がいと診断された子どもの頃
発達障がいの特性を持つ子どもたちは髪を切られるのが苦手と言われていますが、栗原さんはどうでしたか?
髪を人に触られるのは嫌ではなかったのですが聴覚過敏があり、シェーバーの音が刃物の凶器みたいに感じるのが嫌でしたね。子どもの頃に通っていたニューヨークの理髪店では、音が嫌でお店で暴れてしまったり迷惑をかけていたことがあったようなので苦い思い出はあります。今となっては慣れもあるのか、毎日髭剃りをする時にシェーバーの音を聞いていますが嫌だとは感じなくなりました。
理髪店以外では歯医者が苦手でしたが、歯医者は大人でも苦手な人は多いのでギリギリセーフかなと思っています。
理髪店に対する苦手意識をどのように克服したのでしょうか?
子どもの頃はいろいろな場所には親に連れて行かれるという形ですが、大きくなれば最終的に自分自身で通う事になるので、いろいろな場所に行って自分に合うところを探すようにしました。自分にとって居心地が良かったり、担当の人との相性が良くないと長続きしないと思います。
母の言葉を信じ、強く持ち続けたから今がある
普段生活するうえで意識していること、気を付けていることはありますか?
母によく子どもの頃から、「勉強が好きじゃないなら頑張らなくてもいいけど、好きなものは徹底的に頑張れ。そこで頑張らないと努力ができない人になるから」と言われたことをずっと意識しています。
僕は芝居が好きだから、どんなことがあってもちゃんと結果が出せるように努力するという気持ちを持っています。なにか頑張りたいって気持ちがあるからこそ人は成長できると思うので、大人になっても言語や楽器を習うとか、最終的に自分が好きで頑張れると思うようなものを見つけることは大事だと思いますね。
子どもの頃、好きだったことはありますか?
動物が好きで動物園に行ったり、植物も好きだったから学校の図書室にある植物に関する図鑑などを暇さえあれば読んでいましたね。
僕と同じく動物が好きな仲の良い友達がいるのですが、彼は1年の半分以上動物園に通っているんです。彼は動物につけられているそれぞれの名前や、この動物園に来る前はどこの動物園にいたかといったことまで教えてくれるんです。彼のおかげで僕もより深く動物を知ることができたので、僕がいつか誰かにガイドをする機会があればそういったことも説明できるように、また覚えたいなと思っています。
栗原類さんの将来の夢は?
僕は将来、どんなことでもいいですが「教えられることがある人」になりたいと思っています。好きな動物を深く知ってガイドするのでもいいですし、英語が話せるので、得意な英語を使って何かを教えるのでもいいですね。
誰かに教えるということは、教えられる側にいかに響かせ届けられるかということを考えるので、教える側にも発見があります。そして教えることは、結果的に好きなことを頑張り続けられる環境があるということだと思うので、何か見つけられたらと思います。
カミングアウトは「栗原類はこういう人間」と伝えただけのこと
栗原さんが発達障がいと公表したときに、まわりの人の反応はいかがでしたか?
僕の場合は、栗原類はこういう人間なんだということを理解してくれている人が周りに多かったので、カミングアウトしても元々の僕の性格を知っている人たちは、そのままあまり気を遣わずに接してくれました。大人になるにつれて変に気を遣われると当事者の人たちって逆にそれがすごい辛いんです。
もし近くにいる人が発達障がいだとわかったとしても、変に気を遣われるよりは今までと同じように接してくれたり、接しやすい環境をさりげなく作ってあげたりするといいのかなと思います。
サポートする人が気を付けること、意識したほうがよいことはありますか?
例えば理美容室で騒いでいたら暴れん坊だと思われてしまいますが、本当はその子にとって苦手なことや嫌なことがあるだけなのに気がついてもらえない。先入観を持って間違って認識してしまうのはどちらにとっても良くないことです。
当事者でない人には、そこに暴れてしまう人がいたらまず「どうして暴れているのか」を知ろうとしてほしいです。それで発達障がいの特性を知って、身近な障がいを持つ人のことをよく知ろうとして、接してもらえたらと。それで少しでも興味を持ってくれたらいいなと思います。
栗原類さんが特別ゲストとして参加!「発達凸凹さんヘアカット」ヘアショー
6名の子どもたちを「発達凸凹さんヘアカット」の美容師さんたちがステージ上でヘアアレンジし、栗原類さんエスコートのもとヘアショーが行われました。
ヘアショーに参加した感想を教えてください
ピアノの演奏もあり、それぞれの個性で表現されていて、なにより皆さん本当に楽しそうで良かったなと思います。
最初は僕自身がすごく緊張していたんですけど、リハーサルの段階で皆さんも僕と同じように緊張しているんだろうなと思ったら全くそんなことはなくて。堂々とパフォーマンスをされているのを見て、逆にエネルギーをいただきました。
ショーの中で皆さんそれぞれのポージングをされていましたが、事前に打ち合わせしていたのですか?
ポージングは、皆さんの動きに合わせてその場で決めました。今回の主役である彼らの表現法を尊重したいと思い、エスコートさせていただきました。
リハーサル時に、皆さんとどのようなコミュニケーションを取りましたか?
コミュニケーションを取ろうと思ってもたぶん彼らには彼らの世界や領域があるので、僕はそこに変に入りすぎないようにしました。僕はエスコートに徹底するというかたちでコミュケーション的なものは言葉ではしなかったけれど、お互いにほどよい感じで距離感を保つことはできたのかなと思います。
--仕事だけではなく、趣味でも好きなことはとことん頑張る!という栗原類さん。モデル、役者、タレントとこれからの活動も楽しみです!
栗原 類(くりはら るい)さんプロフィール
1994年東京生まれ。
■「発達凸凹さんフェスタ~みんな持ってる凸凹ピース~」イベントレポート【前編】>>
撮影/早坂華乃 取材・文/やまさきけいこ