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肛門の向こう側まで裂ける会陰裂傷で産後鬱になった
——山口さんはどのように膣トレや膣ケアに携わることになったんですか?
山口明美さん(以下:山口) 約30年前にエステティシャンとして美容業界に入り、美肌や痩身を目的とした美容活動をしていました。しかし、現在21歳になる次女を出産した際に、肛門の向こう側まで裂けてしまうほどの会陰裂傷をして14針を縫う経験をしたんです。そのせいで切迫性尿漏れになり、どこに行っても『尿漏れをするかも』という恐怖心や産後のホルモンの乱れから、産後鬱に悩まされました。
当時は産後鬱にしても尿漏れにしても、気軽に話せるような環境もあまりなかったのですが、ある助産師さんに骨盤底筋を鍛えるケーゲル体操を教えてもらったんです。そこから膣ケアや膣トレに興味を持ち始め、妊娠で26kg増えた体重も元に戻り、肝斑やシミも消え、たくさんの悩みが解消し、目に見える変化を実感することができました。
しかし、幼い年子の子どもを抱えての仕事と育児の両立、離婚などさまざまなことがあり、激しい生理痛や子宮内膜症、子宮筋腫、チョコレート嚢胞などの婦人科系の不調になやまされる日々……。美容業界で命を削って働いていましたが、膣トレや膣ケアを世の中に広める伝道師になることを決め、3FACEという会社を立ち上げたんです。
産後鬱で死にたい日々……。仕事復帰できなくて世の中に怒りを抱えていた
——尿漏れが原因で産後鬱になったということですが、当時はどのような気持ちだったんですか?
山口 膣と肛門の間にある会陰というのは、八の字筋という筋肉があるんですが、そこが裂けてしまっているので、出産の翌日から便ができず、浣腸をして排便するんですが、ふんばることも止めることもできない……。裂けた部分を縫い合わせたのですが、ケロイドのように固くて柔軟性が全くなく、未だに和式トイレが怖いと思うほどで。少し動くだけでも尿漏れする、ふんばることや開脚することがこわい、セックスなんてもってのほか……。
小さな子どもを2人育てながら、その問題を抱えるのはとてもつらいことで、病院で産後鬱と診断されました。しかも、当時の私はエステティシャンとして、ある程度の収入や地位もあったので、産後2ケ月で仕事復帰する予定だったのですが、そんなことできるわけもなく、『なんなの!日本!』という怒りにも似た気持ちを持ち合わせてきました。20年たって、西洋医学は進化し、低用量ピルなどで救われる女性も増えてきた中、産後ケアについては、日本はまだまだ発展途上にあります。しかし、”フェムテック”という言葉が国策の中でも見られるようになった今、自分でできる産後ケアとしても膣トレや膣ケアを発信していきたいんです。
おうちで簡単にできるセルフ膣トレ&膣ケア
——膣トレをやったことがない人でも簡単にできることはありますか?
山口 もちろんあります! 動画で見てもらった方がわかりやすいと思いますが、どんなものなのかイメージをつかんでいただくため、説明しますね。
- まず、足の裏をしっかり地面につけて肩幅くらいに開き、肩の力を抜いて目を閉じ、リラックスした状態になります(立っていても座っていてもOK)。
- 鼻から息を4秒吸って、8秒かけて口で細く息を吐きます。吐くときに、お尻の穴をグググッとしめていきます。雑巾を絞るようなイメージです。
- 呼吸はお尻の穴の時と同じで、次は尿道を締めていきます。息を吐くときに細いストローでキューッと吸い込むようにしめていきます。
- 最後は膣です。頭の真ん中から膣に向かってポールを突き刺しているところをイメージしてください。息を吐くときに膣をグッとロックし、膣の中に力をためていきます。その力を頭から刺さったポールを伝ってどんどん上にあげていき、最後は頭のてっぺんからポンっと飛ばすようなイメージを持ってください。
- 2~4を10回繰り返しましょう。
——膣トレ、少しやっただけで、体がポカポカするのが実感できますね!
山口 そうなんです。膣トレをすることによって、血流がよくなり、代謝がアップするので痩せやすくなり、冷えが解消されることにより、肌のくすみやシミなども気にならなくなってきます。更年期前後の女性が気になるお悩みをカバーできますし、運動が苦手な人でも続けやすいので、ぜひ、やってみてくださいね!
膣の正しい洗い方、拭き方を知っていますか?
——膣ケアについても教えてもらいたいです!
山口 膣の洗い方と拭き方についてはこちらで説明しているので、見てみてください。
@chitsunenohokenshitsu♬ ハピチョコ – FRUITS ZIPPER
HugKumママにおすすめ! ちつ姉の美容テク
——小さいお子さんがいるママでもできる簡単な美容テクがあれば教えてください。
山口 日本の女性は勤勉で真面目であり、気遣いに長けている方が多いですよね。それゆえ、とても疲れていたり、ストレスが溜まっていたりすると思います。
楽観的な性格になる
意外と難しいことなのですが、産後の体は10年後、いわゆる更年期頃の身体に不調として現れます。毎日の家事や育児で頑張り過ぎないという意識を少し持つだけで、楽観的な考え方になれることもあります。
生理前のリラクゼーション
生理前はPMSと呼ばれる不調が出ることもありますよね。ゆっくりマッサージに行く時間などがとれない時は、自分の好みの香りのアロマオイルを使って、芳香療法を試してみてください。柑橘系は子どもが興奮してしまうなど、要注意のアロマもあるので、調べながら自分好みを探すのもいいですね。
シートパックとすき間ストレッチ
どんな些細な事でも、毎日続けられる美容習慣を持つことで、美意識を高めることができます。例えば、朝食を作りながらシートマスクをつけたり、赤ちゃんを抱っこひもで抱っこしながらスクワットやストレッチをする、手をあげてブラブラしてみるだけでもOKです。毎日少しずつできることをやりましょう。
ながら膣トレを習慣に
ごはんを食べさせながら、テレビを観ながら、煮込み料理の待ち時間、どんなすき間時間でもいいので、ながら膣トレをやってみてください。1日2~3回だけでも、続けることで効果を実感できます。
今日からできる膣姐習慣で女性のお悩みを解消!
膣姐こと山口明美さんに、膣についてのアレコレを教えてもらいました。山口さんは、さまざまなSNSでフェムテックについての発信をしています。今後もチェックしてみてくださいね。
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お話を聞いたのは…
重要性を発信、全国に膣プランナーを育成する第一人者でもある。また、企業や各種団体の健康経営や福利厚生セミナーも多数招致いただき、講師としても活動している。3FACE 代表取締役
取材・文/本間綾 撮影/田中麻衣