「百ます計算」などの「隂山メソッド」が多くの学校・家庭で成果をあげている隂山英男先生が、子どもの学力を家で伸ばす方法について教えてくださるコーナーです。
子どもは「くり下がりのひき算」が苦手!
多くの子どもたちは、たし算よりひき算のほうが苦手です。二~三年生になっても指を使って計算する子を教室で見かけるほど、「くり下がりのひき算」は子どもにとって厄介なのです。なぜかというと、ひき算なのにたし算も使うからです。
13-6の計算を例に「くり下がりのひき算」の計算手順を説明すると、
①ひかれる数の13を10と3に分ける。
②10から6をひいて、4。
③4に3をたして、答えは7。13-6=7
といったぐあいです。「数を分けて、ひいて、たす」という手順が子どもたちを戸惑わせるのでしょう。
「くり下がりのひき算」の全パターン36問を反復練習させましょう
では、どうすればわが子を「指を使わなくても、くり下がりのひき算ができる子」にすることができるでしょう?
その答えは実に単純。「くり下がりのひき算の全部のパターンの問題を1枚の紙に書き出し、コピーをとって毎日同じ内容のプリントをくり返し解かせること」です。
というと「全部のパターンって、いったい何問あるの?」と思われるでしょうが、実はたったの36問しかありません(算数の教科書に全部載っていますから、それをもとに紙に書き出すといいでしょう)。いきなり36問では多すぎるようなら、半分の18問程度から始めてもいいです。「1分程度で1枚をサッと解き終える」ことができるようになったら、24問⇒30問⇒36問と、段階的に問題量を増やしていく方法も有効です。
36問を1分以内で解き終えられるようになれば、申し分ありません。しかしすぐにできない場合も焦る必要はありません。大切なことはその子に「サッと解き終える問題数」のプリントをくり返し解かせ、計算の手順を定着させることです。
ここで鍛えておけば、二年生になって指を使うようなことにはなりません。ぜひ毎日チャレンジしてみてください。
隂山 英男(かげやまひでお)
子ども達の生活習慣改善と「読み書き計算」を主とする徹底した反復学習に取り組み、その指導理論が「隂山メソッド」として多くの学校・家庭で成果をあげている。
編集協力/小倉宏一(ブックマーク) 出典/『小学一年生』2014年12月号