梅雨が明けるといよいよ夏本番。海やプールなどでの水遊びを楽しみにしているファミリーも多いことでしょう。しかし皆さんも毎年ニュースで目にされるように、水辺には思わぬ危険がひそんでいます。
今回は、「水の事故 4つの誤解」についてお話しします。
こちらのページと合わせてお読みください。
水の事故、誤解しがちな4つのポイントとは
1 子供が溺れそうになったら気づくから大丈夫
「万が一子供が溺れそうになっても、大声で叫ぶだろうし、バシャバシャするからすぐわかるでしょ?」と思っていませんか?
実は溺れはあっという間に、そして意外なことにとても静かに起こります。バシャバシャと波立てることもなく、叫び声も上げず、すーっと溺れてしまいます。ドーナツ型の浮き輪をしていても、すっと水中に沈んでしまう、浮き輪ごとひっくり返って頭から沈んでしまう、ということがあります。
予防のために水辺の近くでは、おとなも子供もライフジャケットを着用することがもっとも有効です。なぜライフジャケットが必要なのか、ライフジャケットの選び方など詳しくはこちらのページをご覧ください。
2 ほんの数分だから大丈夫
「お風呂やプールで子供だけにしてはいけないことは知っているけれど、ちょっとタオルを取りに行ったり、宅配便を受け取るくらいなら大丈夫」と思っていませんか?
実は溺れはあっという間に起こります。ほんの数分が子供の生死を分けることがあるのです。タオルを忘れても、宅配便が来ても、電話が鳴っても、お風呂やプールに子供を残したままその場を離れることはしないでください。
いわゆる「首浮き輪」を使用している場合も、子供のそばから離れてはいけません。
※参考 浴槽用浮き輪による溺水 ※日本小児科学会「Injury Alert(傷害速報)」より
予防のために
浴室のドア、または浴室につながる洗面室のドアの高い位置に鍵を付け、子どもが浴室内に入れないようにします。洗面室のドアに鍵を付けておくと、洗濯機の中に入り込む、洗剤を口に入れる、かみそりにさわる・・・といった事故も予防することができます。
3 ライフガードの人がいるから大丈夫
「海やプールで子供達をずっと見ているのはムリ、でもライフガードの人が見ていてくれるから大丈夫」と思っていませんか?
海岸やプールで監視活動をしているライフガードは、大変頼もしい存在です。しかしすべての来場者を監視することはできません。子供が遠くに行かないよう、また危険な遊び方をしないよう、保護者の方はしっかり監視をしてください。とは言え、長時間監視を続けるのは難しいもの。10分ごとに交代をするなどの工夫が必要です。偏光レンズのサングラスを使うと太陽光の反射が抑制され、見やすくなることがあります。
なお、乳幼児は浮き輪などの有無にかかわらず、保護者の方の「目の届く範囲」ではなく、「腕の届く範囲」にいるようにします。
4 スイミングに通っているから大丈夫
「うちの子はスイミングに通っているし、25メートル泳げるから、万が一溺れそうになっても大丈夫」と思っていませんか?
スイミングレッスンは子供にとって大変良い体験ですが、学校やスイミングスクールのプールと、大規模なレジャー用プールや公園プールは環境が大きく異なりますし、海や川などでは波や流れ、風、思わぬ深み、岩や海藻によるスリップなどさまざまな要素が加わり、さらに危険度が増します。どんなに泳ぎが得意であっても、ライフジャケットは必ず着用してください。
スイミングに通っているから大丈夫、と過信せず、子供達をしっかり監視します。海や川などでは、あっという間に流されることがありますので、繰り返しになりますが、ライフジャケットを着用させた上で、乳幼児は「腕の届く範囲」に、小学生はいざという時すぐに(目安は30秒以内)子供の身体をつかめる距離にいるようにします。
記事監修
事故による子どもの傷害を予防することを目的として活動しているNPO法人。Safe Kids Worldwideや国立成育医療研究センター、産業技術総合研究所などと連携して、子どもの傷害予防に関する様々な活動を行う。