【小学生・中学生】義務教育期の支援制度

小学校・中学校の義務教育期間中、授業料は無料ですが、学用品費や給食費などさまざまな費用がかかります。経済的な援助が必要なご家庭向けに、就学援助制度があるので利用できないか確認しておきましょう。
就学援助制度|学用品費や給食費を援助
経済的理由で就学が困難な小中学生の保護者に対して、学用品費や給食費などを援助する制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 経済的理由により就学困難な小中学生の保護者 ・要保護者(生活保護受給世帯) ・準要保護者(要保護に準ずる程度に困窮している世帯) |
| 援助内容 | ・学用品費 ・体育実技用具費 ・新入学児童生徒学用品費等 ・通学用品費 ・通学費 ・修学旅行費 ・校外活動費 ・医療費 ・学校給食費 ・クラブ活動費 ・生徒会費 ・PTA会費 ・卒業アルバム代等 ・オンライン学習通信費 |
| 認定基準 | 自治体により異なる (一般的に生活保護基準の1.0〜1.5倍程度の所得) |
| 申請時期 | 年度初め(4月〜5月頃) 年度途中でも家計急変時は申請可能 |
| 申請方法 | 学校または市区町村の教育委員会に申請 |
| 援助の受け方 | 現物支給または現金支給(自治体により異なる) |
生活保護を受けている「要保護者」と、それに準ずる「準要保護者」が対象となります。
申請は年度初めに学校または市区町村の教育委員会で行いますが、年度途中でも家計が急変した場合は申請可能です。
対象となる世帯や援助額・品目・申請期限などは、お住まいの市区町村の教育委員会が定めるため、自治体ごとに多少異なります。
対象者になるかわからない場合は、お住まいの自治体窓口に確認して、必要に応じて申請しましょう。
参考:文部科学省「就学援助制度について」
【高校生】高等学校の支援制度

義務教育が終わり、高校生になると授業料や教材費など教育費の負担が大きくなります。国や都道府県による手厚い支援制度をご紹介するので、ぜひ有効活用してください。
高等学校等就学支援金|授業料を最大39.6万円支援
高校の授業料を支援する国の制度です。世帯の所得に応じて、授業料を年額11万8,800円〜最大39万6,000円まで支給します。
| 世帯年収の目安 | 年間支給額(上限) |
|---|---|
| 約640〜660万円未満 | 39万6,000円 |
| 約910万円未満 | 11万8,800円 |
| 約910万円以上 | 11万8,800円 (※令和7年度限定 高校生等臨時支援金) |
高等学校等就学支援金の対象は世帯年収約910万円未満の世帯だけですが、令和7年度に限り「高校生等臨時支援金」として年収910万円以上の世帯にも11万8,800円が支給されます。
対象は、日本国内の高校や高専、特別支援学校(高等部)、専修学校高等課程などに通う生徒です。申請は学校を通じて行い、原則オンラインで手続きします。家計が急変した場合も、条件を満たせば追加支援を受けられる可能性があります。
授業料負担を軽減できる制度なので、対象になりそうな場合は早めに学校へ確認しましょう。
参考:文部科学省「高校生等への修学支援」
高校生等奨学給付金|授業料以外の教育費を支援
低所得世帯の高校生等に対して、授業料以外の教育費を支援する返済不要の給付金制度です。
高等学校等就学支援金が授業料を支援するのに対し、この制度は教科書代や教材費、学用品費など授業料以外の費用をカバーします。
| 世帯状況 | 令和7年度の給付額(年額) | |
| 国公立 | 私立 | |
| 生活保護受給世帯 【全日制等・通信制】 | 3万2,300円 | 5万2,600円 |
| 非課税世帯 【全日制等】 | 14万3,700円 | 15万2,000円 |
| 非課税世帯 【通信制・専攻科】 | 5万500円 | 5万2,100円 |
この制度は、高等学校等就学支援金と併用可能です。授業料は就学支援金でカバーし、その他の教育費は奨学給付金で支援を受けることで、教育費全体の負担を大幅に軽減できます。
支給額は世帯状況や学校種により異なりますので、詳細は学校または都道府県の窓口に確認しましょう。
参考:文部科学省「高校生等への修学支援」
私立高等学校等における授業料減免|都道府県独自の支援
都道府県が独自に実施する授業料支援制度です。国の高等学校等就学支援金に上乗せする形で、私立高校の授業料負担をさらに軽減します。
お住まいの都道府県によって支援額や所得制限が異なるため、必ず都道府県のホームページや学校に確認しましょう。
各都道府県の問い合わせ先は、文部科学省のHPで確認できます。国の就学支援金と併用できるため、私立高校への進学を検討している方は積極的に活用したい制度です。
参考:文部科学省「私立高等学校等における授業料減免について」
高等学校等家計急変支援|急な収入減少にも対応
保護者の失業や病気などで急に収入が減少した世帯に対して、授業料を支援する制度です。保護者の病気やけが、勤務先の倒産、災害などで家計が急変した場合に、授業料の支援を受けられる制度です。
収入が一時的に減っても、条件を満たせば「就学支援金」と同額の補助が受けられます。
主な対象条件
- 家計急変の理由に該当(例:病気・離職・廃業・被災など)
- 世帯年収が約590万円未満相当まで減少
支給額には上限があり、私立か公立かで条件が異なります。
下記の条件を確認しておきましょう。
| 区分 | 支給額(月額) | 備考 |
|---|---|---|
| 私立高校 | 33,000円 | 全日制の場合 |
| 公立高校 | 9,900円 | 授業料相当額 |
世帯年収が急減した場合は、早めに学校または都道府県の窓口へ相談することをおすすめします。
参考:文部科学省「高等学校等就学支援金制度(家計急変支援)」
【ひとり親家庭】追加で活用できる支援制度
ひとり親家庭には、これまで紹介した支援制度に加えて、独自の経済支援や学習支援が用意されています。児童手当との併用も可能なので、該当する方は積極的に活用しましょう。
児童扶養手当|月額最大46,690円を支給
ひとり親家庭の経済的安定と子どもの成長を支えるための制度です。児童手当とは別に支給されるため、両方とも受給できます。
| 対象者 | 18歳に達する年度末までの子どもを養育する ひとり親家庭の父または母 (障害児の場合は20歳未満まで) |
| 支給額 | 全額支給:46,690円 一部支給:46,680円~11,010円 加算額(児童2人目以降1人につき) 全額支給:11,030円 一部支給:11,020円~5,520円 |
| 所得制限 | あり(扶養親族の数により異なる) |
| 支給時期 | 年6回 (1月、3月、5月、7月、9月、11月) |
| 申請方法 | 市区町村の窓口に申請 |
支給額は前年の所得と扶養親族の数によって決まります。扶養親族が1人(子ども1人)の場合、年収約160万円未満で全額支給、約365万円未満で一部支給が目安です。
参考:こども家庭庁「児童扶養手当について」
ひとり親等の子どもへの学習支援|無料で学習サポート
ひとり親家庭や生活保護世帯の子どもを対象に、無料で学習支援や生活指導を行う事業です。
| 対象者 | ひとり親家庭、生活保護世帯等の子ども |
| 支援内容 | ・基本的な生活習慣の習得支援、生活指導 ・学習習慣の定着等の学習支援 ・軽食の提供 ・大学等受験料支援(上限53,000円) ・模擬試験受験料支援 など ※自治体により異なる |
| 実施場所 | 児童館、公民館、民家など |
| 費用 | 原則無料(※自治体により異なる) |
| 申請方法 | 市区町村の窓口 |
この事業では、教員OBや学生ボランティアなどの支援員が、子どもたちの学習をサポートします。受験に向けた学習支援だけでなく、基本的な生活習慣の習得支援も行われるため、学習面と生活面のサポートが可能です。
大学等を受験する場合は受験料支援(上限53,000円)も利用でき、経済的な理由で進学を諦めなくて済むよう配慮されています。
参考:こども家庭庁「ひとり親家庭等生活向上事業について」
小学校入学以前から継続して利用できる制度
小学校入学以前から利用できる「児童手当」や「子ども医療費助成制度」については、18歳に達する日以降の最初の3月31日まで(いわゆる「高校生年代まで」)引き続き利用可能です。
児童手当と子ども医療費助成制度については、下記の記事でくわしく解説しています。
まとめ
小学生から高校生まで、教育費を支える支援制度は充実しています。特に2024年の児童手当拡充により、高校生まで継続的な支援を受けられるようになりました。
就学援助や高校授業料の支援も手厚く、私立学校への進学も経済的負担を抑えられます。ただし、これらの制度は申請しないと受けられません。
子育て支援制度を上手に活用して、お子さんの教育をしっかりサポートしていきましょう。
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記事執筆
独立系ファイナンシャルプランナー(FP)として執筆業を中心に活動中。2児の父親でもあり、家計や資産形成に関する執筆が得意。また、マンションの売買も経験しており、実体験に基づいたライティングを強みとしている。各種金融メディアでの執筆・監修業のほか、自身のメディアとして「もにゅら親子の節約ブログ」「もにゅらのクリプト部屋」を運営中。

