男性育休の試行錯誤を詳細にレポート
男性の育休取得率が上がり、「育休を取る」こと自体は珍しくなくなってきました。
それでも実際の育児の現場では、
「何から手をつければいいのか分からない」
「夫婦で役割のズレが生まれてモヤモヤする」
といった声が跡を絶ちません。
そんな中で今回取材したのが、第二子の誕生に合わせて約7か月の育休を取得したTさんご夫妻。妊娠中のサポートから、育休中の上の子ケア、家事分担のコツ、夫婦の会話の変化まで、お二人は試行錯誤しながらも「家族がチームに変わっていく過程」を実感したといいます。
特に活躍したのが、積水ハウスが開発した「家族ミーティングシート」。

これを使ったことで、
・「見えない家事」に夫が気づく
・冷静に話せる時間が生まれる
・夫婦のズレを前もって防げる
という、育休の質を左右する大きな変化が起きたそうです。
積水ハウスに勤めるTさんご夫婦のリアルな体験をもとに、「育休をどう過ごせば、夫婦も家族もラクになるのか」その実践のコツをたっぷり紹介します。
妊娠中の方にも、これから育休を迎える方にも、そして「今まさに手探り育休」の真っ最中という人にも、きっと役に立つヒントが見つかるはずです。
夫婦が語る「家族ミーティングシート」上手な使い方
育休をうまく回すためのツールとして注目されている「家族ミーティングシート」。Tさんご夫婦に、2人目の育休でどのように活用したのか、具体的にお聞きしました。
1人目のときは「何が分からないか」すら分からなかった
妻のRさんは、第1子の妊娠・出産をこう話してくれました。
「初めての育児は、私自身、『何が大変か』すら把握できていない状態で…。夫に何をしてほしいか、説明する余裕もなかったんです」
一方、夫のTさんも当時を振り返り、「分担しようと思っても、そもそも『全体像』が見えていないから、何をしたらいいか分かりませんでした」と語ります。
これは、どの家庭にも起こりうる「初産あるある」かもしれませんね。
2人目では、シートが「話し合うきっかけ」になった
ところが、2人目が生まれた今回、状況は大きく変わりました。Tさんは約7か月という、長期育休を取得。夫婦でシートを開く時間も、1人目のときより確保しやすくなったそうです。
「シートがあると、自然と『一緒に話す時間』ができるんですよね」と妻のRさん。特に大きかったのが「冷静に話せる場ができる」 こと。
お互いに仕事を抱えている日常での会話や、育児真っ最中の会話は、どうしても寝不足・疲れから感情的になりやすいもの。
しかし、育休に入る前の計画としてシートを前にする、「これはどっちがやる?」、「苦手なところはどう補う?」と、自然に「ミーティングモード」へと切り替わります。
これは、「家族ミーティングシート」を作成した積水ハウスのダイバーシティ推進部も強調していた重要ポイント。「育休の成否は、制度より『事前の話し合い』で決まる」、シートはその「入口」になっているのです。

「苦手」が分かると、成長のスピードが変わる
実際に夫のTさんは、シートのおかげで「何を苦手としているのか」 が明確に見えたと言います。
季節に合わせた子どもの洋服選び、保育園の持ち物準備、上の子の気持ちの切り替え、生活リズムの調整… などどれも「やる気」はあるのに、「正解が分からない」ために迷ってしまう項目だったそうです。
それをシートに沿って1つずつ確認していくうちに、夫婦の共通認識が生まれ、Tさんの行動もスムーズに。「理由を説明してもらえると、自分でも再現できるようになりました」とTさん。
妻のRさんも、この変化をすごく実感したと言います。「同じことを頼んでも、どんどん精度が上がっていくんです。それがすごく助かりました」
「苦手」を知ることはマイナスではなく、家庭の成長ポイントが見える化されるということ。2人目でこのシートが効いたのは、双方が余裕を持って話すことができたからこそでした。

夫婦の「地図」が一致すると、毎日のストレスが激減する
家族ミーティングシートによって、Tさん夫妻はそれぞれの役割を明確に共有するようになりました。
Rさんは言います。「結局、イライラって『情報の非共有』から生まれるんですよね。家族ミーティングシートを元に話し合っているから、ズレはなく喧嘩が減りました」
家族ミーティングシートは、育児と家事を「共同作業」へと変えてくれるツール。これこそが、Tさん夫妻が口をそろえて「ミーティングシートが一番効果を感じた部分」だと話してくれたポイントでした。
育休は「家族の成長の時間」
Tさん夫妻の話を聞いて強く感じたのは、育休は「家事・育児の期間」ではなく、「家族が育っていく時間」なのだということ。
ここでは、育休がもたらした「家族の変化」を、3つの視点から整理していきます。
「夫婦のチーム力」が目に見えて強くなる
育休中にもっとも変わったのは、「夫婦としてのチーム力」だったといいます。
・寝かしつけの分担
・上の子の保育園の送迎
・家事の優先順位
Rさんはこう話しています。
「同じ方向を向いて動けると、こんなに毎日が楽になるんだって初めて知りました」
これはまさに、家族ミーティングシートが実現した「共同作業としての育児」の姿。育休期間の中で培ったチーム力は、その後の夫婦生活や、子どもの成長段階にも大きく影響していくように感じました。

育休は、家族の未来に「長く残る時間」
夫のTさんは、「子どもの成長をリアルタイムで見られたのが、何よりうれしかった」と言います。
育休中は、
・初めて笑う
・初めて寝返りをうつ
・上の子が弟妹を気にかける
・パパと子どもの距離が近づく
そんな「かけがえのない瞬間」が幾度も訪れます。この時間が生み出した関係性は、子どもにとっても、妻にとっても、そして夫自身にとっても、一生残る財産になるはずです。
家族の土台を強くする、充実した育休に
充実した育休は、家族の土台を一層強くする時間だと感じました。ご夫婦の関係によっては、家族の土台をあらためて作り直す時間ともいえるかもしれません。
父性が芽生え、夫婦がチームになり、優しさが増す。育休がもたらす変化は、家族の未来へとずっと続いてい口のでしょう。
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協力/積水ハウス株式会社
取材・文/末原美裕(京都メディアライン)
