赤ちゃんとの暮らしは、夜の寝かしつけからオムツ替えまで、毎日がはじめてのことだらけ。そんな中、夫婦のあたりまえが違うことで混乱したり、衝突したりしたことも、一度や二度じゃあありません。今回はスウェーデン人の夫(オリバー)と、妊娠中から赤ちゃんの子育てのときのことを思い出しながら話してみることにしました。
妊娠中もいつも通り過ごすことが大事?
私:妊娠中期を過ぎるころ、お腹もどんどん大きくなってきて、いつもは簡単にできていた掃除や買い出しが、だんだん難しくなってきて。
そんなときに、まわりの友人たちは「手伝うよ!」「そんなに無理しないで〜!」って走り寄ってきてくれる感じがあったんだけど、オリバーはまったく気にしていなさそうで。私が重い荷物を持っていても、ふんふんと横でのんきにしているというか。
夫:母子共に元気で順調だったら、まわりもあまり気にしすぎない方がいいと思ったんだけどね。
私:「お腹が大きくてお風呂の掃除がしにくい」とオリバーに訴えたら、かがまずに掃除できる長めのブラシを買ってきてくれたこともあったよね。いやいや、そういうことじゃない! って、今なら笑えるんだけど、あのときは真剣にムッとしたし、悲しかったのも覚えている。
そういえば、妊娠してから自転車に乗るのも避けていたら、スウェーデンのお父さんから「妊娠中でも自転車に乗っても大丈夫だよ、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」と言われたこともあったなぁ。結局、何かあったらいやだから私は乗らなかったけど。
夫:妊娠は自然なことだから、これもできない、あれもできないと思うよりも、あんまり気にしすぎない方がいいと思っているところがあるかもしれない。できる限り、いつも通り過ごすことを大事にしているというのかな。もちろん、そのときの体調にもよるけどね。

産後もすぐに外に出かけるスウェーデン流
私:赤ちゃんが生まれて病院からようやく退院して、しばらくゆっくり体を休めようと思っていたとき。家に帰るやいなや、「ずっと病院にいて疲れたでしょう? いっしょに散歩にでも行こうか?」と言われて、えぇー! とびっくりしたことを覚えている。
産後1ヶ月くらいは布団は敷きっぱなしで、できるだけ母子共に安静にした方がいいと思っていたから、「私の体のこともあるけれど、こんなに赤ちゃん小さいのに大丈夫なの?」という気持ちだった。
夫:ずっと家の中にいるよりも、ちょっと体を動かして、外の新鮮な空気を吸った方が回復も早いと思ったんだよね。産後は家でゆっくり過ごした方がいいというのも、あまり聞いたことがない気がする。実際にスウェーデンでは、母子共に順調だったら、出産したその日に退院することもあるしね。
私:オリバーが何度も「外に出た方がいいよ」と言うから、少しずつこわごわ、ご近所の散歩からはじめたんだよね。でも実際に外に出てみたら、やっぱり気持ちが良くて。結局、スーパーにも赤ちゃんを連れて行ったし、散歩も毎日していたかな。
私の場合は産後の回復が早かったのもあるかもしれない。無理せず、外に出られそうなら試してみる、くらいの気持ちがいいのかもね。

スウェーデンの赤ちゃんは、真冬も外で寝ている?
私:外といえば、オリバーは赤ちゃんもベビーカーに乗せて、とにかく外でよく寝かしていたよね。外にいると自然の音が聞こえたり、風にあたったりしていると気持ちいいのか、たしかに子どもたちはスヤスヤよく寝ていたような気がする。どこまでも自然と共に生きているところが、北欧らしいなぁと思った。
夫:スウェーデンに限らず北欧では、赤ちゃんを外で寝かす習慣があるからね。真冬でもマイナス15度くらいまでなら、毛布をぐるぐる巻きにしたり、ちゃんと防寒着を着せたりして、外にベビーカーを置いて寝かすこともあるくらい。外の空気が気持ちいいのは、赤ちゃんもいっしょ。

赤ちゃんを育てるのは、夫婦ふたりの仕事

私:寝不足もあって、毎日ちょっと疲れてきていて。私の親に手伝ってもらったほうがラクかなと思って、「1週間〜2週間くらい実家に帰ろうかな?」と気軽な気持ちで相談したら、ピリッとした空気が流れたのを思い出した。
夫:ふたりの赤ちゃんなのに、なんで両親に頼るの? って思ったら、悲しくなったんだよね。赤ちゃんのことは夫婦でなんとかしたかったし、たとえ1週間でも子どもが成長する姿を見逃すのはさみしいしね。スウェーデンでは両親に頼るという考えがあまりないから、日本では里帰り出産というのがあると聞いたときは、ちょっとびっくりした。北欧は育児休暇を男性もしっかり取ることができる(※)のも、大きな理由なのかもしれない。
(※)子どもが8歳になるまでに両親合わせて480日間、手当を受給しながら育休を取ることができます。
私:結局、親のところに帰るのは諦めて、ずっとふたりで赤ちゃんと過ごしていたよね。
今振り返ってみると、もうちょっと親や友人に頼ってもよかったのかなぁと思う気持ちがなくはないけど。毎日寝不足でふらふらしながら、夜泣きの大変さも、必死な寝かしつけも全部一緒にできたことは貴重だったと今は思うかな。

* * *
今振り返ってみると、小さなことにハラハラしたり、ドキドキしたり。全部がはじめてだからあたりまえといったらそうなのですが、あのときの自分を思い出すと、「もうちょっと、肩の力を抜いて、今を楽しんで〜」と言いたくなってきます。でも、これってもしかしたら、今も同じかもしれません。
小さかった子どもたちも5歳と6歳になりましたが、まだまだ毎日心配することだらけ。でも、もう少し肩の力を抜いてドカッと構えて、子どもとの暮らしをゆるゆると楽しめたらなと思います。
前回の話はこちら
連載バックナンバーはこちら
プロフィール
イケア勤務を経て、ウェブメディア&ショップ「北欧、暮らしの道具店」の初期スタッフとして約6年間働く。その後、スウェーデン人の夫である、オリバー・ルンドクイスト氏と一緒にノルウェーのトロムソに移住。1年半滞在したのち帰国し、現在は長野県松本市に在住。著書に『北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし』(ワニブックス)、『北欧の日常、自分の暮らし』(ワニブックス)、夫との共著書に『家族が笑顔になる北欧流の暮らし方』(オレンジページ)がある。
自家焙煎のコーヒー豆と小冊子のお店「Hej Hej COFFEE(ヘイヘイコーヒー)」はじめました。
文・構成・写真/桒原さやか

