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最近、増えている不動産の「夫婦共有名義」。なぜ?どんなメリットが?
――子育て世代が家を買うときに、「夫婦共有名義」にすることが多くなっていると聞きました。なぜでしょうか?
リハウス:エリアにもよりますが、特に都市部では、最近は物件の価格が高くなっています。今は2人暮らしや小さなお子さまとの3人暮らしだったとしても、「家族構成が変わるとなったら3LDKが理想」と思ったときに、夫だけの予算だと届かないケースが増えてきました。「共働きだから夫婦両方がお金を出す」というご家庭が増えてきています。
不動産共有名義とは、一戸建てやマンション、土地などの不動産を取得するために夫婦などが共同で出資し、出資額の割合に応じた所有持分で登記(権利関係を社会に公示するため登記簿に記載)することです。たとえば、4,000万円の一戸建てを夫婦でそれぞれ2,000万円ずつ出資して購入した場合、それぞれ「2分の1」の所有持分での共有名義となります。
共有名義だと「税金の控除」などのメリットがある
――不動産を「夫婦共有名義」にすると、税金上のメリットがあると聞きました。
リハウス:共有名義で不動産を所有すると、以下のようなメリットがあります。
住宅ローン控除がそれぞれに適用され、控除額が多くなる場合がある
リハウス:夫婦でマイホームを購入し共有名義にすると、それぞれの収入に対して「住宅ローン控除」を受けることができます。
住宅ローンの年末残高の0.7%(または最大控除額)が最大13年間(中古住宅は10年間)にわたって所得税、または住民税から減税されるというものです(2025年の税制の場合)。1人で住宅ローン控除を受けるより、2人がそれぞれで受けると控除額が多くなる場合があります。
売却時に特別控除がそれぞれに適用され、最大3,000万円×2と倍になる可能性が!
リハウス:マイホームを売却するときは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除を受けられる特例があります。夫婦共有名義である不動産を売却するケースでは、夫婦それぞれが3,000万円の控除を受けられる可能性があります。ともすれば倍の控除になるわけですね。都市部では、一度買ったマンションを売却して、新たなマンションや一軒家に買い換えるケースもありますから、この売却時の特別控除はメリットですね。
夫婦のどちらかが死亡したとき、パートナーの相続税が節税できる
リハウス:夫婦のマイホームが共有名義ではなく夫の単独名義だった場合、不動産の名義人である夫が死亡すると、不動産の評価額がそのまま課税の対象となります。しかし夫婦で共有名義にしておけば、夫の持分のみが相続税の課税対象となるため、税額を減らすことができる可能性があります。
共有名義は「離婚後」にトラブルになることも!

――一方で、共有名義にするときの注意点もありますか?
購入の際、住宅ローン契約の諸費用が余分にかかる
不動産購入や住宅ローン契約に伴う諸費用として、事務手数料や登記手数料などがあります。共有名義の場合、名義人の数だけこれらの諸費用がかかることがあるため、名義人が1人の場合に比べて費用がかかりやすいといえます。住宅ローン控除など、税のメリットと兼ね合わせてどちらが負担が少ないか、考えましょう。
離婚の際の財産分与が複雑になる
万が一、夫婦が離婚することになった場合、不動産が共有名義になっていると、双方の合意が必要になり、どちらかの希望どおりにならないケースがあります。たとえば、以下のような例があります。
・売却や賃貸借がしにくい
離婚後、財産を分けるときにどちらかが売却したいと思っても、離婚相手の同意を得る必要があります。
・離婚後も連帯保証の関係が続く
夫婦それぞれがローン契約をし、連帯保証人になっている場合は、相手の返済が滞ったりすると、連帯保証人として肩代わりしなければなりません。特に、離婚後は相手の返済が滞らないように注視する必要があります。
・離婚後もローンの共有名義解消がしにくい
夫婦共有名義で住宅ローンを借り入れている場合、金融機関から離婚による名義変更を認めてもらえないケースがあります。ローンを組んでいる銀行とよく相談しましょう。
仕事を辞めた後、共有名義で「贈与税」が発生!?ふたりの働き方を見通して

――そのほかに、共有名義で気をつけるべきときは?
リハウス:たとえば、不動産の共有名義人である妻が仕事をやめて収入がなくなれば、夫が妻の分も住宅ローンを払うこともあるでしょう。でも、気軽に払うのは禁物です。このケースでは、「夫から妻への贈与」と見なされ、妻に贈与税がかかる場合があります。
――贈与税、高いと聞きます、それは大変です。でも、子育てなどが理由で妻などが仕事をやめるケースもありますよね?
リハウス:それでも、ローン返済をそれぞれがしていかねばなりません。たとえば「夫と妻、50%ずつ」という所有持分だったとしたら、妻が仕事をやめて夫がその分を払うとなると夫から妻へ贈与があったと判断され、妻に贈与税が課せられる恐れもあります。
当初想定になかった税金が発生しないよう、こういったケースでは特に名義人決定の際に気をつけるようにしましょう。
――気をつけるといっても、どう気をつければいいのでしょうか。
リハウス:最初に夫婦で所有持分を決めるときに、購入する時点でのお互いの年収の比率で持分を決めてしまうと、後に妻が仕事を辞めることになったときなどに妻がローンを払いきれなくなったりします。注意しましょう。
とにかく余裕をもってローンを組んでいただきたいです。たとえばこれまで15万円の家賃で賃貸住宅に住んで生活していたとして、不動産購入後のローンが倍になったら、かなり厳しくなります。夫婦どちらかが病気になることもありますし、お子さんの教育費が思いがけず多くかかることもあるでしょう。月々のローンは現在の家賃と比較して無理のない程度にとどめておきたいですね。どちらかの収入がなくなっても払えるくらいのローンに、というのが理想です。
家を買うときには、銀行で住宅ローンの審査をし、それが通れば不動産の契約となります。不動産仲介会社であれば、まだはっきりどの物件を購入するか決めていなくても、取引のある銀行で「事前審査をしてみませんか?」とご紹介することもできます。大手銀行なら2~3日で結果が出てきます。ネット銀行なら、自分で項目に記入して、スマートフォンでも事前審査ができます。
家を買うと本決まりになる前に、まずローンの事前審査を受けて、自分たちはどれくらいお金を借りることができるのか、ある程度把握しておいてから物件を選ぶといいですね。
――家を買うときには、家の間取りや職場への近さなど、目先のことを中心に考えがちです。そして、借りられる限度いっぱいに借りてしまおう、という人もいるでしょう。でも、ローンは何十年も続く場合が多いですし、その間に夫婦の関係やキャリアプランなども変わってきます。長い目で見て、「そのローンで大丈夫?」と冷静になって考えることが大事ですね。
取材協力/三井のリハウス(三井不動産リアルティ株式会社)
