不動産詐欺の手口がこんなにあるとは!「地面師」「原野商法」「二重譲渡」被害に遭わないため

不動産詐欺はドラマの中だけの存在ではありません。不動産取り引きをするすべての人が警戒すべきといえます。不動産取り引きを検討中の人が知っておくべき不動産詐欺の手口を解説します。詐欺に引っかからないように知識を身に付けましょう。

不動産詐欺の手口【売却編】

不動産を売却するときは誰しも「少しでも早く売りたい」「できるだけ高く売りたい」と思うものです。悪徳業者は、このような売主の心理につけ込んで詐欺を働きます。不動産を売却するときに注意したい詐欺の手口を解説します。

安すぎる価格で売却させられる

不動産を売りたい人が注意すべきは、相場よりも安い価格で売却させられてしまう詐欺です。

不動産の買い取り相場は曖昧なものです。「〇〇(地域の名前)に建っている物件は3,000万円」などと明確な基準があるわけではありません。そのため、仮に5,000万円の価値がある不動産を売りに出したとしても、不動産会社から「物件の価値は1,000万円です」と言われれば、「そんなものなのかな?」と信じてしまう可能性があるのです。

悪徳な不動産会社の中には、当初は高い価格を提示して媒介契約を締結し、後から理由を付けて価格を引き下げるケースもあります。

必要のない手数料を請求される

悪徳業者は、売主に不動産売却に関する知識がないことをいいことに、契約を結ぶ際に不当な手数料を請求することがあります。

不動産売却時に発生する主な費用項目は以下の通りです。

・仲介手数料
・印紙代
・登記費用

これら以外の手数料を請求された場合には、詐欺にかけられている可能性を疑いましょう。

よくある事例として、広告掲載費を「手数料」として売主に請求するケースが挙げられます。媒介契約で広告出稿や実費負担についての事前合意(特別依頼)がない限り、広告費の支払い義務はありません。

許可なく不動産登記を書き換えられる

不動産会社の中には、売主に無断で不動産登記を書き換え、不動産の所有権を横取りする悪徳業者がいるため、注意が必要です。

不動産売却は、不動産を売却したお金と引き換えに、売主が登記識別情報を不動産会社に渡し、不動産の名義を売主から不動産会社に変更する流れで行われます。

悪徳な不動産会社は、代金支払前に不正に登記を変更し所有権を奪うことがあります。所有権を取り戻すには登記抹消請求などの法的手続き(訴訟等)が必要となる場合があります。

出典:不動産売却の詐欺の手口と詐欺にあった場合の対処法を解説 | そこに住むならbyスムナラ

不動産詐欺の手口【購入編】

不動産を購入するときは、大きなお金を支出する必要があるため、慎重に契約を進める必要があります。不動産を購入するときに注意したい詐欺の手口を解説します。

所有者になりすます地面師詐欺

不動産を購入するときには、不動産の所有者を偽装し、買い主と架空の不動産売買契約を結んで代金をだまし取る詐欺に注意しましょう。このような行為を行う詐欺師を「地面師」と呼びます。

地面師は身分証や登記簿などを偽造し、まるで本物の不動産所有者であるかのように装って詐欺を働きます。手口が巧妙であるため、地面師詐欺を事前に見抜くのは困難です。気付いたころには、すでに多額のお金をだまし取られた後だったというケースが多いといわれています。

制限が設けられている土地を売りつけられる

不動産の購入を検討するときは、相手が制限付きの土地を売りつけようとしていないかにも注意しましょう。

売りに出されている土地の中には、建物が建設できないものがあります。このような土地の代表例が「市街化調整区域」にある土地です。市街化調整区域とは、農地や自然を守るために市街化を抑制する地域を指します。原則として建物の新築はできず、建築には開発許可・建築許可などの手続きが必要です。

制限が設けられた土地を売るとき、不動産会社は買い主に対してその事実を説明する義務があります。悪徳な不動産会社は、制限がある土地であることを隠し、買い主に土地を売りつけてきます。

虚偽のうたい文句で高値で売りつける原野商法

山林や原野の購入を検討しているときは「原野商法」に注意しましょう。原野商法とは、さまざまな理由を付けて土地を実際より高い値段で売りつける詐欺行為のことです。

二束三文の土地を高値で売りつけようとする不動産会社の常套句には、以下のようなものがあります。

・「将来的に値上がりが期待できます」
・「再開発が計画されている将来有望な土地です」
・「数年後に高速道路が建設される予定です」

このような営業トークを繰り広げつつ、土地の購入を急かしてくる場合には、特に注意が必要です。

不動産詐欺の手口【投資編】

知識が不十分なまま不動産投資に挑む人が後を絶たず、投資家を「カモ」にしようとする悪徳業者が横行している現実があります。不動産投資を始めるのであれば知っておきたい、詐欺の手口を解説します。

手付金を持ち逃げされる手付金詐欺

不動産投資に挑戦するのであれば、手付金の持ち逃げに注意しましょう。

不動産投資における手付金とは、不動産の売買契約が成立したことを証明する役割を持つお金のことです。買い主が売主に対して支払い、売買契約が正式に成立したときに充当もしくは返還されます。

不動産投資における手付金詐欺では、売買契約の成立に伴って手付金を支払った後、売主が音信不通になります。もちろん購入したはずの不動産は手に入りません。

手付金詐欺の場合には、相場(5~10%)以上の手付金を求められるケースが多いといわれています。相場より高い手付金を要求された場合には詐欺を警戒しましょう。

入居者がいると偽り高値で売りつける入居状況詐欺

投資先の不動産を探しているときには「入居状況詐欺」への警戒が必要です。入居状況詐欺とは、実際には空室が多い物件をあたかも多くの入居者で賑わっている物件のように見せかけて、相場よりも高い価格で売りつける行為のことです。

入居状況詐欺を行う悪徳業者は、事前にサクラを雇って当該の物件に住まわせます。サクラは、売買契約が完了すると次々と退去していくため、賃貸経営が一気に暗礁に乗り上げてしまうのです。その他にも、悪徳業者は窓にカーテンを取り付けたり、ポストに偽物の郵便物を仕込んだりして入居者がいるように見せかけてきます。

購入した不動産が別人のものになる二重譲渡詐欺

不動産投資のために物件を購入する際には「二重譲渡詐欺」にも注意が必要です。二重譲渡詐欺とは、同時に複数の投資家に同一の不動産を売却する行為です。

不動産の所有権を主張できるのは、先に登記を終えた方の投資家となります。たとえ代金を支払っていたとしても、登記を済ませられなかった投資家は不動産を手に入れることができません。

ローンを組んで物件を売買する場合は、複数の関係者が同席するため、二重譲渡詐欺は難しくなるといわれています。現金による売買を持ちかけられた場合には、二重譲渡詐欺の可能性を疑いましょう。

出典:不動産投資における手付金について理解しておこう|FJネクスト GALA NAVI

不動産詐欺から身を守るためにできること

不動産詐欺を回避するには、信頼できる不動産会社を見つけることが大前提です。信頼できる不動産会社を選んだ上で意識したい、詐欺から身を守るためのポイントを解説します。

わからないことを残したまま話を進めない

不動産取り引きを不動産会社に相談するときは、わからないことをわからないままにして契約を結ばないようにしましょう。

不動産取り引きでは一般人には難しい専門用語が飛び交います。しかし、中途半端に知識がある人ほど「見くびられたくない」という心理が働き、知ったかぶりをしてしまうことがあるかもしれません。

理解できないことを放置して契約を進めてしまうと、悪徳業者の口車に乗せられて、詐欺を働かれてしまう可能性が生まれます。わからないことがあったときは、疑問が解消されるまで契約を進めないことが大切です。

業者に丸投げせず自分でも調べる

不動産取り引きを行うときには、必ず自分の意思で取り引きを進めましょう。

物件選びから契約までの一切を業者に丸投げしてしまうと、依頼主が業者の言いなりになっていることを利用され、詐欺にはめられてしまう可能性が高まります。

業者が取り引きに関する提案をしてきたら、提案内容が正しいかどうかを自分で調べる癖をつけましょう。依頼主が知識を身に付ければ、業者の営業トークに紛れ込む「違和感」に気付けるかもしれません。提案をそのまま鵜呑みにするのは危険です。

必ず実際に物件を見てから契約する

不動産購入や不動産投資を行う際には、必ず購入を考えている物件をその目で確認してから契約を進めましょう。物件を確かめないままに契約を結ぶのは危険です。

詐欺を働く悪徳業者は、嘘の情報を買い主に与え、不当に取り引きを進めようとします。現地に赴いて物件を確認することで、業者に与えられた情報からではわからない実情を掴めます。

物件を確認するときは以下のポイントをチェックしましょう。

・物件の状態
・近隣の環境
・近隣トラブルの有無

手間を惜しんで実地調査を怠るのはリスキーです。

知識を身に付けて詐欺を回避しよう

不動産取り引きを検討する際は、不動産取り引きの基本や警戒すべき詐欺の手口などを頭に入れておくことが重要です。事前に知識を身に付けておけば、些細な違和感から詐欺を見破れるかもしれません。自分の身を自分で守れるように、しっかり準備をしておきましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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