「昼食はポテチとチョコパン」フランスの給食で驚いた日本との差、3児を連れて移住した母が感じた日本の給食・食育のスゴさ

フランス在住ライターの綾部まとです。夫と3人の子どもたちと一緒に、パリ郊外で暮らしています。この連載では、東京での子育てに奮闘してきた経験をもとに、日本とフランスの暮らしや子育てをテーマにしたエッセイをお届けしています。今回のテーマは「給食」です。

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昼食は「ポテトチップスとパンオショコラ」

フランスの学校では、遠足で公園に行き、そのままお昼を食べて帰ってくることがよくあります。小学校では「お弁当を持ってきてね」と言われることもありますが、幼稚園ではだいたい用意してもらえます。

というのも、幼稚園では「明日は遠足に行きます。歩きやすい靴で来てください(夏は帽子・水筒、冬は防寒具を持たせてきてください、と続きます)」と連絡が来るのは、前日の夕方。もともとお弁当という文化がない国とはいえ、さすがに急すぎて準備するのは難しいのです。

小学校では数日前に伝えられることが多いですが、前日のときもあるし、「今日は天気がいいから」と担任の先生の気分で、当日決まることもあります。幼稚園も小学校も、日本のように年間予定表で決まっているわけではありません。

ある日、年長の次女が遠足から帰ってきた日のこと。お昼はピクニックで食べたとのことで、「何が出たの?」と聞いたら、衝撃的な答えが返ってきました。

「ポテトチップスとパンショコラ。あとはリンゴのジュレ」

「え、それだけ? おやつじゃなくてお昼ご飯だよ」と確認しても、やっぱりそう。「帰ってきてから、ちゃんとご飯出た?」と聞いても、首を横に振られます。それって栄養バランスどうなんだろう、と思いつつ……。

小学校は「食べたくないものは食べなくてOK」

小学校になっても、それほど事情は変わりません。

長男と長女の小学校の給食は、カフェテリア形式。子どもたちは食堂で、好きなものを取って食べます。日本の給食のように取り分けられないので、食べたくないものは食べなくてOK。

だから、献立に好物がない日には「お腹空いた~」と言いながら帰ってきます。その様子を見て、私はまた思いました。それって栄養バランスどうなの? と。

好きなものしか食べないとなると、タンパク質・野菜・炭水化物の三大栄養素をすべて取ることなんて難しいですよね。

グラタンにエビとブロッコリーは「ありえない」

では、大人はどうでしょうか。

私が作ったグラタンの写真を、フランス人の友だちに見せたときのことです。彼らはぎょっとしていました。その理由は「エビとブロッコリーを入れるの?!」とのこと。

日本のグラタンって、エビもブロッコリーも入っていますよね。私にとっては何もおかしくないので、逆に驚きました。

そのことを伝えたら「だって味が混ざっちゃうじゃん」「見た目も美しくないし」と。どうやら「グラタンに入れるべきはマカロニとチーズだけ」というのが彼らの主張らしいです。

「それだと炭水化物だけで、タンパク質とビタミンが足りないよね」と反論すると、不思議そうな顔をされました。一度の食事ですべて取り入れる、という発想はないみたいです。

もちろん、彼らが野菜や肉や魚をまったく食べないわけではありません。キャベツのグラタンや牛肉の赤ワイン煮込みなど、それらを使ったレシピもたくさんあります。果物については日本よりもたくさん種類があって安いので、日本人より食べているかもしれません。

ただ、一度の食事では、栄養バランスはそれほど気にしなくていい。一日の中、もっといえば一週間の中でバランスを取っていけばいい。栄養よりも、見た目の美しさとか、味とか、話しながら楽しく食べることが大事。

もちろん個人差はありますが、そんな考え方が、子どもの頃から根付いているのかもしれません。

実はすごかった「日本の給食・食育」

私の住む地域では、幼稚園・小学校ともに、週に2日はビーガンに対応したメニューになっています。「ほうれん草のラビオリ」「豆のカレー」など、うちではまず作らない野菜のメニューが好物になっているのはありがたいな、と思います。

ただ、日によっては「え、タンパク質は?」と、もやもやすることもあります。ヤギのチーズ、カマンベール、トムチーズなど、日替わりで種類の違うチーズを出してくれるのも、食育としてはいいのかもしれませんが、やっぱり日本の給食が懐かしくなります。

あの三大栄養素がちゃんと含まれている献立で育ったからこそ、「今日の夜ご飯には野菜がないから、帰りにサラダを買おう」「タンパク質が足りないから、冷凍庫にあるチキンも出そう」と気づくことができる。

何より、当時は「今日の夜ご飯は手抜きでも、給食をしっかり食べてるからOK」と、ちょっとした免罪符にもなってくれていました(笑)。

また、最近は日本でも薄れつつありますが「全部残さず食べる」と指導してくれるのも、貴重な教育でした。フランスに来てから「これは僕(私)は嫌いだから食べないよ」という主張が増えてきた子どもたちを眺めていて、そう感じます。

どちらの国が正しいというわけではありません。フランスではビタミンDのタブレットや亜鉛のグミなどの子ども向けサプリが発達しています。たぶん、それぞれの家庭で栄養バランスを補ってはいるのでしょう。

それでも、やっぱり「一度の食事で、なるべくバランスよく」という日本の栄養概念って、すごいことなのかもしれない。たかが2歳、されど2歳。二つの国の平均寿命の差を見て、そんな考えが頭をよぎりました。

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この記事を書いたのは

綾部まと ライター・作家

三菱UFJ銀行の法人営業、ユーザベースのセールス&マーケティングを経て独立。ビジネスやマネーの取材記事から、恋愛小説まで幅広く執筆。2025年よりフランスに拠点を移し、フランス企業の日本進出支援(ローカライズ)やフィクションの翻訳にも携わる。3児の母。

X:@yel_ranunclus
Instagram:@ayabemato

写真・文/綾部まと

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