【自由研究】「大好きなフグのかわいいところを伝えたい!」小1の井上安穏さんがていねいなイラストや吹き出しを使って仕上げた全100ページの力作が図鑑NEO賞を受賞!

「小学館の図鑑NEO」と「HugKum」が昨年募集した「小学生の図鑑・自由研究コンクール」。3393件の中から「小学館の図鑑NEO賞」に選ばれたのは、小学校1年生(当時)の井上安穏(あのん)さんの「たのしくよめるフグずかん~フグとわたしとすいぞくかん~」です。5月ごろから毎週のように水族館に通いつめて観察を続けたという安穏さん。ご両親はどのようにサポートされたのでしょうか? 安穏さんとお母さまにお話を伺いしました。

「ぷくっとふくれるとかわいい!」フグの魅力を伝えたい気持ちから図鑑作りをスタート

新潟県の小学2年生(現在)井上 安穏さん

――フグの図鑑を作ろうと思ったのはなぜですか?

安穏さん:フグに興味があって図鑑や本を探したけれど、難しいものが多かったからです。小さい子でも1人で楽しく読むことができて、フグのかわいいところやおもしろいところを伝えられる図鑑を作りたいと思いました。

――フグを好きになったきっかけを教えてください。

安穏さん:お姉ちゃんがサメが好きで、一緒に水族館に行くうちに好きになりました。いろんな種類や形、色があるところが好きです。危険を感じると、私の好きな卵みたいな形にぷくっとふくれるところがかわいいです。

家族で富山県魚津水族館へ。お姉さんと飼育員さんと記念撮影。

フグの性格を想像したり、漁港でセリを見学したりしながら制作を進めた

――全部で100ページにもわたる大作ですが、図鑑を作る中でどんなことが楽しかったですか?

安穏さん:本物みたいに上手にフグの絵を描けたときが楽しかったです。水族館で初めて見るフグを発見したり、「どんなふうにしゃべるかな?」「どんな性格なのかな?」と想像したりするのも楽しかったです。

――読みやすくするために工夫したところはありますか?

安穏さん:絵や文字をていねいに大きく書きました。フグのかわいい写真を入れたり、クイズを入れたり、フグがお話ししているように書いたりしました。

絵や文字のインパクトで興味を引く見せ方に。

――水族館でフグを観察するとき、どんなことに注意していましたか?

安穏さん:フグがどんなふうにヒレを動かして泳ぐのか、どんなお魚と一緒に暮らしているのかを注意して観察しました。

――フグについてみんなに教えたいことはありますか?

安穏さん:「フグは毒があるから危険」と言われるけれど、自分で毒を作っているわけではないことです。フグが食べている餌に毒が入っていて、それを食べると毒がたまっていくそうです。

――水族館や漁港など、いろいろな場所でフグについて取材していましたね。どんなことが思い出に残っていますか?

安穏さん:水族館でイシガキフグのかわい子ちゃんに一目惚れしたことです。目が大きくてゆっくり泳いで、一緒に遊びたいと思いました。漁港でセリを見学して、漁師さんや魚屋さんにいろいろなお魚を教えてもらったことと、マフグをもらって初めてフグを食べたこともうれしかったです!

絵を描くのが大好き。最近のブームはあやとり!

――フグ図鑑の絵がとても上手でしたが、安穏さんは絵を描くのが好きですか?

安穏さん:はい、好きです。学校でも家でもよくお魚の絵を描いています。

――学校ではどんな授業が好きですか? 休み時間はどんなことをしていますか?

安穏さん:体育や図工、算数が好きです。学校ではあやとりが流行っていて、お友達と遊んでいます。

魚のほかに、動物やお菓子の絵も描く。初めて行く水族館では、会えるのを楽しみにしている魚や、いつか見たい魚の絵と飼育員さんへの手紙を書いてプレゼントすることも。
体を動かすことも好きで、なわとびも得意。二重跳びはお手のもの。

――将来の夢はありますか?

安穏さん:看護師さんと水族館の飼育員さん、お菓子屋さんになりたいです。

閉館時間までフグを観察することも…家族で水族館に通い詰め出来上がった自由研究

自由研究コンクール受賞記念の東京旅行で葛西臨海水族館へ。飼育員さんに、ネズミフグの皮の標本を見せてもらった。

――1年生で100ページにもわたる図鑑を作るのは大変だったと思います。安穏さんはこの自由研究にどのように取り組んでいましたか?

安穏さんのお母さん:娘自身、試行錯誤しながら、失敗しながら進めていったように感じます。まだ1年生で、できることが限られていたので、娘のやりたいことが実現できるように私も一緒に考えました。

ただ、まっさらな紙に書くというのは、子どもながらに勇気がいったようです。観察を始めた頃から自分なりの特徴を見つけ、たくさんの本を読んでいろいろな知識もついてきたので、家族との会話では上手にフグの魅力や想いを説明できるのですが、紙に書くとなるとまた一つハードルが上がりました。

そのため、「シマキンチャクフグはどこで暮らしているの?」「イシガキフグのかわいいポイントは?」など、まずは私が具体的に質問をして、安穏がその答えを口に出してから文字にする方法をとりました。また、大好きなぬいぐるみごっこでフグになりきって、台詞のように特徴を話しながら吹き出しを書くなど、さまざまな方法を繰り返しながら形にしていきました。

ページ数も多く、途中で心が折れそうになることもありましたが、娘は「みんなに読んでほしいから続ける」と言ってがんばっていました。もちろん苦しいだけではなく、自由研究が進むほどフグのことがさらに好きになってワクワクしているようでした。

――水族館は何カ所ほど回られたのですか?

安穏さんのお母さん:5月頃から毎週のように新潟県内の水族館に通いました。夏休みには、宮城県気仙沼市と仙台の水族館にも行きました。夫も「とにかく実物を見せてあげたい」と時間を作って運転してくれましたね。

水族館では、赤ちゃんハリセンボンの成長を見守り、じっと動かないフグを何時間も見続けたこともありますし、砂に潜るところが見たいと閉館まで粘ったこともありました。帰るときは毎回フグに「さよなら」するのがさみしくて何度も何度も「また来るね」と言ってお別れしていたことをよく覚えています。

数回の観察では情報収集が全く足りず、図鑑を作成しながらまた水族館に行くことを何回も繰り返しました。水族館に行くたびにフグの新しい一面を見つけているうちに、愛情も知識も定着していったように思います。娘たちと水族館に通いつめ、道中から家に帰ってもフグやサメの話を延々として、安穏の成長を隣で応援できた数か月は、私にとっても楽しく幸せな時間でした。

幼稚園年長の頃。どこに行くにもメモ帳とボールペンを持参し、魚の名前を記録していた。

子どもの思いを優先し、スケジュール管理やモチベーション維持を意識

――ご両親はどんなふうに自由研究をサポートされましたか?

安穏さんのお母さん:長期戦でしたので、とにかく娘のモチベーションの維持と、スケジュールの管理をしました。また、娘は頭の中にアイデアはあるのにそれを形にできず戸惑っていることもよくありました。そのため一緒にアイデアをまとめたり、整理するお手伝いをしていました。夫は気分転換できるように娘と自転車に乗ったり、運動に付き合ったりしてサポートしてくれました。

――声かけで気をつけていたことはありますか?

安穏さんのお母さん:娘は「こうしたい!」という思いがすごく強いんです。ですから、私の方から「こうしなさい」というようなことはあまり言わず、彼女のしたいことを優先にしながら、困ったときは「こうするのもひとつじゃない?」と提案する感じで伝えるようにしていました。娘が絵を描いているときは”ゾーン”に入ったようにすごく集中しているので、そういうときは声をかけずに見守っていました。

フグの絵は、まず鉛筆で下書きをしてからペンでなぞり、クーピーで色を塗り、絵の具と綿棒、爪楊枝などを使って模様を描いていました。1枚あたり3時間〜数日かかるものもありましたね。

「フグずかん」作成風景。とても真剣な表情。

忙しい毎日だからこそ、親子でのんびりおしゃべりをする時間を大切に

――普段の安穏さんはどんなお子さんですか?

安穏さんのお母さん:いつも「楽しいことないかな?」「おいしいものはないかな?」と探しているような子です。家族や友人など、相手の好きなことをよく覚えていて、人を喜ばせたり、楽しませたりすることがすごく上手だなと思います。自分の気持ちを素直に伝えることも得意な方だと思います。

――子育てで大切にしていることを教えてください。

安穏さんのお母さん:一緒に時間を過ごして、たくさん話すことです。今の子どもたちはやらないといけないことが多くて、ゆっくりする時間がなかなか作れないですよね。だから、一緒にお菓子を食べながらだらだらと、思ったことをおしゃべりするような「何もしない時間」をつくることを大事にしています。

夫は忙しくて一緒にいる時間が少ないですが、子どものことをLINEなどで共有しています。子どもたちには、「家族はいつも一緒だよ」「いつも気にかけてるよ」ということが伝わるようにしています。

――ありがとうございました。「いつかアマミホシゾラフグを見てみたい」「日本中、世界中の水族館に行ってみたい」と話す安穏さん。大好きなフグのことをニコニコと話してくれました。また、インタビューで印象に残っているのが、安穏さんのお母さまが大切にしているという「何もしない時間」。家族がゆったり過ごす時間があるからこそ、子どもの「好き」を見つけ、それを育むことができるのではないかと気づかされました。

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この記事を書いたのは

平丸真梨子 ライター

音楽大学卒業後、出版社勤務を経て、現在はフリーライター・編集者として活動中。小学生2人の母。主に教育系、不登校への取り組み、著名人インタビューなどを執筆しています。子育ての中で感じた疑問や発見を活かしながら記事を作成することを心がけています。

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