
違いは大きさ!「あられ」は小さめ、「おかき」は大きめのお煎餅
お煎餅(せんべい) の一種の「あられ」と「おかき」ですが、みなさんは区別して呼んでいますか?
あまり深く考えずに、そのときの気分で「あられ」と言ったり、「おかき」と言ったりしている人も多いのではないでしょうか。でもちゃんと違いがあるんです。どういうことかといいますと…
違いというのは二つあります。
一つは、「あられ」と「おかき」がどのように生まれたかということです。
「あられ」は空から降って来る霰(あられ)に見立てている。一方、「おかき」は…


「あられ」は「霰餅 (あられもち)」の略です。本来はのし餅を賽(さい)の目に切って干したものをいいました。「霰」というのは、空から降るあの「霰」のことです。空中の雪が急激に冷えた「霰」は小さな粒状をしていることから、小さく切ったお餅もそれに見立てて「あられ」というのです。料理でさいの目に切ることを「あられに切る」と言いますが、それと同じです。「あられ(餅)」は、煎(い)ったり油で揚げたりして、醤油・塩・砂糖などで味をつけて食べます。
一方の「おかき」ですが、「お」は接頭語、「かき」は「かきもち」の略です。やさしい呼び方からもわかるように、「かきもち」をいう女房詞(にょうぼうことば=宮中に仕えた女房たちが使い始めた一種の隠語)だったと考えられています。「かきもち」は正月の鏡開きの餅を手や槌(つち)で欠き割ったもののことです。縁起のよい鏡餅を刃物で切るのを忌み、手で欠き割ったところからいうのです。のちには、のし餅やなまこ形の餅を薄く切って乾燥したものも「おかき」というようになりました。これはふつう焼いたり揚げたりして食べます。
「おかき」は四角いものが多いワケ
二つ目の違いは、お菓子メーカーの製造上のことです。実は現在では、「あられ」と「おかき」は原料に大きな違いはないようです。ただ多くのお菓子メーカーは、大きさに違いがあるとしています。ふつう「おかき」は大判のものをさし、「あられ」は小さめのものをいうことが多いようです。また製造過程において、「おかき」は餅を四角に固めて、それを切って干して焼き上げることから、四角い形のものが多いようです。もちろん厳密な区別があるわけではありません。
「あられ」、「おかき」を食べるとき、袋にはどちらの呼び名が書いてあるか確かめてみると楽しいかもしれません。
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監修

辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。文化審議会国語分科会委員。著書に『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。