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描きたい景色を頭の中で「コピー」して絵の題材に

――IONAさんは、いつ頃から絵に興味を持ち始めたのですか?
IONAさんのお母さん:1歳頃です。IONAが丸の中に目や顔のパーツを描いているのを見て、「あ、この子は絵が好きなんだろうな」と感じました。
3歳になって、以前夫がプレゼントしたアクリルガッシュという絵の具を使い始めました。最初はスポンジを使って紙に色をつけてみるなどキッズアートのような感じで制作していましたが、次第にフルーツや海などの絵を描くようになりました。私としては、せっかく描いたのなら多くの人に見てもらった方がいいと思い、公募展などに応募するようになりました。
――ご両親が、もともと絵や画材に詳しかったのでしょうか。
IONAさんのお母さん:私も絵を描くのが好きで、公募展に応募して賞をいただいたこともありました。ただ、私はデジタルで描いていたので、絵の具や絵画について詳しかったというわけではなく、SNSを始めてからフォロワーさんに教えていただくことが多かったです。
絵の具に関しては、「アクリルガッシュよりアクリル絵の具の方がいいですよ」とコメントで教えてもらい、アクリルに切り替えました。
――描きたい絵は、どうやって決まっていくのでしょうか。
IONAさんのお母さん:IONAは、とにかくおしゃべりが好きな子なので、「こういう絵が描きたい」と自分から話すことが多いです。例えば、おでかけをしたときに、きれいなものを見たり、描きたいものが見つかったりすると、「頭の中でコピーしよう!」と言って、対象をじっと見て記憶しています。その記憶を自宅に持ち帰って、思い出して描いています。
IONAさん:(右手の人差し指をこめかみに沿わせながら)「あ、これ頭の中でコピーしよう!」ってやるの。そうしたらコピーができるから、それを思い出して描いていくんだよ!
IONAさんのお母さん:IONAが描きたいものがあれば、私は写真や動画を検索して、細かい部分を一緒に見ながら、「どうやって描いたらいいだろうね~」なんてよく話しています。写真も色々な角度から見ていますね。
作品のタイトルも自分で考える。描いているうちに、自然と変化することも

――IONAさんは、描きながら、絵のストーリーやタイトル案があふれ出てくると伺いました。
IONAさんのお母さん:描き始める前からタイトルが決まっていることもありますが、描き進めるうちに絵の中に違うものが見えてきて、変化していくこともあります。
例えば、『コイツキナミダ』という作品は、IONAが考えた「鯉」「月」「涙」を組み合わせた言葉です。当初はニューヨークの夜景を描きたいと青い絵の具を塗っていました。でも、進めていくうちに「これは夜景じゃない! 海だ!」と思ったそうです。さらに、描いた一部が月に見えると言うので、IONAに見えたものを生かそうと話し合って今の絵になりました。描き始めた頃は『私が知らない海』というタイトルだったんです。
IONAさん:描いているうちに月が鯉の目に見えてきて、そこから涙を垂らしたから『コイツキナミダ』になったんだよ。ママが、ひらがな・かたかな・漢字でタイトルを書いてくれたのを見て、かたかなが一番いいと思って「コイツキナミダ」になりました。この絵ね、見ているとこっちまで泣きたくなるんだよ~。
――IONAさんは両手で絵を描かれるんですよね?
IONAさんのお母さん:はい。最初は左手を使うことが多かったんですが、矯正することなく、自由にやらせていました。今は本人の中に「利き手」という感覚がないようで、描きやすい角度や、そのときの描き方によって自然に右手と左手を使っています。本人は、「2倍の速さで描けるからいい」と言っています(笑)。
親子で一緒に学びながら、隣で見守ることを大切にしている

――IONAさんが絵を描いているときは、どのようにサポートしているのでしょうか。
IONAさんのお母さん:まだ5歳なので、絵の具を出すなどのサポートが必要です。できるだけ横にいて、バケツの水を取り換えたり、道具のメンテナンスをしたりしています。
IONAが描き方に悩むこともあるので、そういうときは一緒に海外アーティストの制作動画を見て、「こんな描き方をしている人もいるね」「これ、やってみようか」と声をかけながら見守っています。
――お母さんは、日ごろからIONAさんと一緒に遊ぶことが多いのでしょうか。
IONAさんのお母さん:そうですね。一人で遊ばせることはほとんどなくて、何をするのにも声かけをしたり、一緒にやったりすることが多いです。
――おでかけの際は、どんなところへ遊びにいきますか?
IONAさんのお母さん:IONAが心を動かされたものを描いた作品は、より素敵に感じられます。また、絵や本ではなく、できるだけ実物を見てほしいので、自然を見に行ったり、水族館や動物園へ行ったりしています。それが、創作のきっかけになることも多いですね。
描き始めたらずっと集中! ときには6時間以上筆を離さないことも

――作品は、だいたいどれくらいで完成するのでしょうか。
IONAさんのお母さん:最初に下描きをしてから絵の具で描くのですが、本人の気持ちが続けば、6~7時間以上描きっぱなしということもありますね。その間は私もつきっきりで横にいるので、夫が帰宅して「もうこんな時間だ!」なんてこともあって。そんなときは、夫が「そういうこともあるよね。夕飯は、どこかに食べに行こう」と言ってくれることもあります(笑)。
IONAさん:疲れたときは、ココアの飲み物を飲むと元気がでるんだよ!
IONAさんのお母さん:ずっと集中しているので、甘いものを欲しがることが多くて。ココア味の豆乳飲料をいつもストックして、飲みながら描いています。
ベネズエラ地震で多くの人を救った救助犬・TSUNAMIへの想いを一枚の絵に

――ベネズエラ地震で多くの人の命を救った災害救助犬を描いた『TSUNAMI』という作品は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか?
IONAさんのお母さん:私がベネズエラ地震のニュースを見ているとき、隣にIONAもいて、「地震があったの?」と心配そうにしていました。連日ニュースを見ているうちに、災害現場で人の命を救うTSUNAMIの存在を知り、心が動かされたようです。
すると、IONAが「このワンちゃんをヒーローみたいに描きたい」と言い出しました。「じゃあ、まずは描いてみよう!」と伝えて、描き始めました。IONAは犬を描くのが初めてだったので最初は不安そうでしたが、「どんなふうに描きたい?」と声をかけながら話しているうちに、方向性が決まったようです。
IONAさん:最初は、アンパンマンみたいにTSUNAMIがマントをつけて飛んでいる絵だったんだよ。
――制作期間はどのくらいだったのでしょうか?
IONAさんのお母さん:午前11時半ごろから描き始め、完成したのは夜7時頃でした。間に食事も挟んだので、下描きも含めて6時間は作業していたと思います。描きたい気持ちが強かったようで、「TSUNAMI喜んでくれるかなあ~」なんて言いながら、うれしそうに一気に描き上げていましたね。
「やってみたい!」を大切に。身近なものを画材に変える自由な発想
―― 『TSUNAMI』の周りには、黄色い花が印象的に描かれていますね。
IONAさんのお母さん:以前IONAと見に行った花の写真を見ながら「青いお空と、このお花を周りにちりばめたい」と本人のアイデアで決まりました。花の部分は、果物の緩衝材として使われているフルーツネットをまるめて、その先に絵の具をつけて、ぽんぽんっと軽くたたいて表現しました。インターネットでその技法を使っている方がいたので、IONAと「試してみようか」とやってみたら、とてもかわいくなりました。
IONAさん:このお花の花言葉が希望だったの!
IONAさんのお母さん:あ、そうなんです! 後から調べてみたら、「レンギョウ」という花で、花言葉が“希望”であることを知って。その言葉も作品と重なって、とても素敵だなと思いました。
IONAさん:TSUNAMIの毛並みの部分は、綿棒を輪ゴムで束ねて、その先に絵の具をつけてぽんぽんぽんぽんぽんってしたんだよ!
IONAさんのお母さん:細い線が描けないので目の部分も綿棒で描きました。大きなハケで背景を塗ったり、筆を何本も使い分けたり、綿棒をたくさん束ねて毛並みを表現したり、指で直接描いた部分もあります。 いろいろな道具を組み合わせながら作品が完成しました。
――完成した作品をベネズエラ大使館へ届けた際には、どのような反応がありましたか?
IONAさんのお母さん:とても温かく迎えてくださいました。 ベネズエラにも黄色い花がたくさん咲いていて、レンギョウのように身近に親しまれている花があるそうです。 皆さん本当に喜んでくださって、「ぜひTSUNAMIにもこの絵を見せたい」と言っていただけたことが、とても印象に残っています。
実は大使館へ行く前に、IONAは、スペイン語も少し練習していたんです。 作品の裏には「TSUNAMIは私のヒーローです」「ベネズエラのみんなが笑顔になってほしい」と、自分でスペイン語のメッセージも書きました。普段から誰かのために絵を描くタイプなので、一枚の絵に込めた想いを自分の言葉でも届けたいと思ったようでした。
IONAさん:ベネズエラ大使館には誕生日に行ったから、スペイン語で「5歳になりました」って伝えたんだよ。

――最近は、Tシャツなど、IONAさんが描いた絵のグッズもSNSで人気ですね。
IONAさんのお母さん:そうなんです。IONA自身が自分の絵を気に入っていて、オリジナルグッズをつくるとすごく喜ぶんです。
Tシャツのほかに、IONAの希望でクッキー缶もつくりました。大使館に行ったときに見せてもらったカラフルな鳥の写真からうまれた絵を使っています。夜帰宅した夫に「この絵をコンビニで印刷したいんだよね」と話したら、ぽかーんとしていましたが(笑)、家族みんなで楽しんでいます。これからも、IONAがやりたいということはできるだけサポートしてあげたいなと思っています。
IONAさん:これね、中には、粘土でつくって絵の具で色付けした本物そっくりのクッキーも入っているんだよ!! ちゃんとバーコードも描いたの!!
IONAさんのお母さん:絵に限らず、ものづくり全般が本当に好きみたいです。
――IONAさん、最後に、これから描いてみたいものを教えてください。
IONAさん:次はパパのためにオオカミの絵を描きたいな。
ーーありがとうございました!
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お話を聞いたのは
2021年石川県金沢市生まれ。2歳より絵に興味を持つ。3歳で父親から贈られたアクリル絵の具と出合い、アクリル絵具を使用し始めると同時に本格的にアーティスト活動も始動し、公募展への挑戦も始める。
2026年3月よりInstagramにて『4歳が手で描くアート』を発表し注目される。これをきっかけに、アート系Instagramにシフトし、新作はInstagramにて発表するスタイルに。
13万人のフォロワー(2026.9月現在)を持つキッズアーティスト。子どもの才能を伸ばす企画「ダイヤモンドキッズプロジェクト」のメンバーでもある。
ダイヤモンドキッズプロジェクトInstagram @diamond_kids_project