「うちの子、言葉が遅い?」1歳半健診で医師・保健師が診ているチェックポイントを現役看護師が解説

「うちの子、他の子より言葉が少ない気がする」1歳半健診を控えると、こんな不安を口にするママやパパは少なくありません。実は、健診で診ている「発語」は、単に話せる単語の数だけを診ているわけではありません。今回は、健診の現場で医師や保健師が、実際にどこを診ているのかを現役看護師の医療ライターが解説いたします。

判定基準は「意味のある言葉が3語以上」。でもそれだけじゃない

1歳6か月の子どもの多くは、この時期までに意味のある言葉を3語以上話せるようになると言われています。「まんま」「わんわん」「ブーブー」のように、特定のものを指して繰り返し使う言葉がそれにあたります。

ここで注意したいのが、「アーアー」「ダーダー」のような喃語はカウントされないという点です。声はたくさん出ているのに、意味のある言葉としてはまだ数えられていないケースは意外と多くあります。

ただし、この「3語以上」という数字だけで一律に「遅れている・いない」を判断しているわけではありません。健診で診ているのは、この数字の”背景”にある力です。

保健師が見ているのは「言葉の理解」

発語の数よりも先に確認されるのが、言葉をどれだけ理解できているかという点です。健診では、こんな場面が用意されています。

・絵カードを見せて「わんわんはどれ?」と聞いたときに、指差しで答えられるか

・「お母さんにちょうだい」「(コップや積み木を)ないないして」など、言葉だけの指示に従えるか

こうしたやりとりができていれば、たとえ話せる単語が少なくても、「理解する力」は順調に育っていると判断されることが多いです。

実際、言葉を理解する力はしっかりしているのに、話す言葉だけがゆっくりというタイプの子は少なくありません。指差しで的確に答えられる、視線がよく合う、簡単な指示に従えるといった様子があれば、3歳ごろまでに発語も追いついてくることが多いと言われています。無理に話すことをせかす必要はなく、2歳前後まで様子観察する流れが一般的です。

「話す数」だけを見て焦ってしまう前に、「理解できているかどうか」も合わせてみてあげると、少し気持ちが楽になるかもしれません。

発語と同じくらい重視される「コミュニケーション能力」

もうひとつ、健診で丁寧に確認されているのがコミュニケーション能力です。

・名前を呼んだときに視線が合うかどうか

・積み木やボールで一緒に遊んでいるときに、物だけでなく大人の反応を見るかどうか  

・「こんにちは」のお辞儀をまねしようとするかどうか

・「これ見て」と自分から伝えようとするしぐさがあるか

言葉そのものが出ていなくても、こうしたやり取りがしっかりできていれば、コミュニケーション自体は育っている証拠です。逆に、名前を呼んでも視線が合いにくい、大人と気持ちを共有しようとする様子が見られない場合は、コミュニケーションの発達の遅れを疑うのが健診での考え方です。

ですが、その場ですぐに診断がつくわけではなく、期間を決めて様子を見ながら、必要であれば医療機関や療育機関につないでいくのが基本的な流れになります。 

また、健診の場は子どもにとって非日常的な緊張する空間でもあります。保護者から離れられず泣いてしまったり、落ち着きなく動き回ったりすることも珍しくありません。その場だけで判断が難しいときは、普段の様子を保護者から聞き取りながら評価しているのも、健診ならではの工夫です。

「様子を見ましょう」で終わらせないのが健診のルール

健診では、たとえ気になる所見があっても、その場で断定的な病名を伝えることは基本的にしません。健診はあくまで短時間で全体をまんべんなく確認する場であり、詳しい診断のための場ではないからです。

一方で、「様子を見ましょう」という言葉だけで終わらせないことも、健診のルールです。いつまで様子を見るのか、どこに相談すればよいのか、できるだけ具体的な情報提供をすることも健診の役割とされています。気になることがあれば、気軽にスタッフに聞いてみてくださいね。

保健師からのアドバイスに発達面での気づきがあることも

保健師は、ママやパパの気持ちに配慮して、母子健康手帳に「言葉の遅れ」と直接書きにくい場面もあるようです。ですが、そうした場合は「絵本の読み聞かせを増やしましょう」「もっとたくさん話しかけてあげましょう」といったアドバイス形式でやんわりと伝えられることもあります。

ただの子育てアドバイスに聞こえますが、実はそこに発達面での気づきが込められていることがあるというのは意外と知られていない現場の実情かもしれません。

1歳半健診は子どもの成長を総合的に確認する場

1歳半健診は「話せるか話せないか」だけで合否を判定するわけではありません。言葉を理解する力、伝えようとする気持ち、人とのやり取りの様子まで含めて子どもの成長を総合的に確認する機会です。

もし健診で気になることを指摘されたり、自分自身で不安を感じたりした場合は、遠慮せずその場で相談してみてくださいね。健診は、ママやパパが育児について相談する場でもあるのですよ。

参考文献:改訂2版乳幼児健康診査 身体診察マニュアル

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この記事を書いたのは

やまもとひろな 看護師、Webライター

看護師としてがん専門病院で3年間従事後、「好きなことを好きなだけしてみたい!」と思い立ち、海外留学の後世界一周へ。帰国後はトラベルライターとして活動。現在は、結婚・出産を経て、看護師兼webライターとして働く複業ママ。

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