【永久歯】生える本数、生えかわる時期と順番は?乳歯との見分け方や、永久歯欠損などの対処・治療法も

子どもの歯はずっと真っ白であってほしいと、親であれば願うはず。子どもの乳歯が虫歯になってしまった苦い経験があれば、「永久歯こそ頑張ってケアする(させる)」となおさら決意を新たにしていると思います。

ただ、この永久歯、意外に十分で正確な知識を持っている人は少ないと思います。そこで今回は、富山県で予約が取れないくらい人気の歯科クリニック『渡辺歯科医院』の院長で歯学博士の渡辺智良先生に、永久歯についての基本的な情報を教えてもらいました。

そもそも永久歯とは、どうして生えてくるの?

最初の素朴な疑問として、永久歯は一体どこからやってくるのでしょうか? 率直に質問を渡辺先生にぶつけてみると、

「歯は歯胚(しはい)といって、顎骨(がっこつ。意味はあごの骨)の中で歯の卵のようなものが形成。カルシウムやリンなどのミネラルによって歯の頭、歯の根っこが形成されます」

という説明がありました。子どもの口のレントゲン写真を見せてもらうと、まさに乳歯を支える骨に卵のような空間が生まれ、その「卵」の中で歯の頭(歯冠)と歯の根っこ(歯根)が徐々に育まれていく様子が見て取れます。

永久歯と生え変わるとき乳歯はどうなるの?

しかし、疑問は残ります。歯は乳歯であっても深い根っこを持っていますよね。下から永久歯に押されるにしても、簡単に抜ける理由はなぜなのでしょうか?

「子どもはあごの骨の中で、まず永久歯の頭(歯冠)が完成。次に、永久歯の根っこ(歯根)が完成すると、乳歯の根っこを溶かす細胞が生まれ、根っこの部分があごの骨に吸収され、根っこを失った乳歯はグラグラと揺れ始め抜け落ちます。その代わりに永久歯が下から顔を出してくるんです

自分の抜けた歯を屋根に投げ上げた記憶が、誰にでもあるかと思います。そのときの乳歯を思い出してほしいのですが、確かに、乳歯の根っこは溶けていて、歯の頭の部分だけになっていましたよね。

永久歯の本数って何本だっけ?

子どもの歯(乳歯)は、生えそろうと全部で20本です。上下に10本ずつ、左右に5本ずつですね。実に分かりやすい数字ですが、永久歯は全部で何本あり、それぞれどのような名前が付けられているのでしょうか。

永久歯は何本生えるの? 永久歯の数と位置、名前

永久歯の本数や位置、名前などの基本的な情報は『キッズ・メディカ安心百科 子ども医学館』(小学館)を参考にまとめてみました。乳歯は全部で20本に対し、永久歯は親知らず(第3大臼歯)の4本を除くと、上下で28本が12歳前後でとりあえず生えそろいます。

上下のそれぞれ2本の前歯を中切歯(ちゅうせっし)、その両脇に並ぶ前歯を側切歯(そくせっし)と呼びます。「切歯」を辞書で調べると、

<門歯。ヒトの場合にいう。前歯。>(小学館『大辞泉』より引用)

とあります。要するに上下で合計8本の前歯は、正式には切歯と呼ぶのですね。

8本の前歯の外側に並ぶ歯は、犬歯と呼びます。こちらが歯並びから飛び出していると、八重歯などと言われます。犬歯に関しては、名前を知っている人も多いはず。

その外側(奥)にいわゆる奥歯が上下左右で各4本ずつ、合計16本生えそろいます。前歯が8本、犬歯が4本、奥歯が16本で28本ですね。奥歯は臼歯(きゅうし)と呼び、「臼」は「うす」とも読みます。

臼(うす)は漢字辞典を調べると、何かをえぐってくぼませた様子を描く漢字なのだとか。奥歯は歯の頭(歯冠)の部分が平たく、その中央がくぼんでいます。確かに臼歯は、漢字のままの形をしていますよね。

上下左右で各4本ずつある奥歯(臼歯)のうち、前歯に近い2本を「小」臼歯、前歯から遠い奥まった2本を「大」臼歯と呼びます。前歯に近い側からそれぞれ第1、第2と区別されています。前から奥に順に並べていくと、第1小臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯と呼ぶのですね。

ちなみに親知らずは、大臼歯の中でも最も奥に生えてくるため、第3大臼歯と名付けられているみたいです。

永久歯の生え変わる時期と順番は?

永久歯の正式な呼び名を確認しました。前歯を切歯、奥歯を臼歯と呼びます。切歯や犬歯や臼歯は、どういった順番で生えてくるのでしょうか。同じく『キッズ・メディカ安心百科 子ども医学館』(小学館)を基に、まとめてみました。

永久歯の生え変わる時期

生えかわりの時期で覚えておきたい大前提の知識として、

  • 上下で生えるタイミングが違う
  • 前と奥で生えるタイミングが違う
  • 男女で生えるタイミングが違う

というポイントがあります。大まかに奥歯よりは前歯、上あごよりも下あごの永久歯の方が早く生えて、女子の方が男子より早く生えてくると覚えておきたいです。言い換えると、女子の下あごの前歯は、真っ先に生えかわる場所と言えます。

永久歯の生え変わりの順番

永久歯が生えてくる順番は、大まかに見て共通しています。ライオン歯科衛生研究所によると、最初に生えてくる永久歯は、第1大臼歯(乳歯を持たない奥歯)。上下左右にそれぞれ4本ずつ生えてくる永久歯の奥歯(親知らずを除く)の中で、犬歯から見ると3番目に奥まった奥歯ですね。

「え? 下あごの前歯が最初に生えかわるのではないの?」

と、疑問に感じた人も居るかもしれません。しかし、この第1大臼歯(奥歯)の場合は、生えかわるのではなく、そのまま歯ぐきから生えてくる形をとります。「6歳臼歯」と呼ばれるように、6歳前後と早い段階で乳歯の奥歯のさらに奥に、乳歯を持たずに(乳歯と生えかわる必要もなく)歯茎を割って生えてくるのですね。

その後は順に、下の前歯(中切歯→側切歯)から上の前歯(中切歯→側切歯)、下の犬歯から上の犬歯、下・上の手前の奥歯(第1小臼歯)、下・上の奥の奥歯(第2小臼歯)と、順番に乳歯が生えかわっていきます。

最後に仕上げとして、乳歯を持たない奥歯(第2大臼歯)が、6歳臼歯(第1大臼歯)の奥に上下左右それぞれ1本ずつ歯茎を割って12歳前後で生えてきます。この段階で、28本が生えそろいます。その後、成人前後で親知らず(第3大臼歯)が出てくるのですね。

乳歯と永久歯の見分け方ってある?

永久歯は前歯と奥歯、上あごと下あごで順序が異なって生えてきます。タイミングもずれますので、子どもの口の中を見て「この歯って永久歯だっけ、乳歯だっけ?」と混乱してしまう場合もあると思います。永久歯と乳歯は、見た目にどのような違いがあるのでしょうか。

これって乳歯、永久歯? 大人の歯の見分け方はある?

乳歯と永久歯の違いについては、色・大きさ・質感で区別できます。例えばライオン歯科衛生研究所のホームページ情報によると、

  • 色・・・乳歯は白に近い、永久歯は黄色味を帯びている
  • 大きさ・・・乳歯より永久歯の方が大きい
  • 質感・・・乳歯はエナメル質、象牙質の厚みが薄い

とあります。エナメル質と象牙質は、歯の頭の部分(歯冠)を形作る表面の部分で、

<歯冠の表面のエナメル質は、人の体の中でももっともかたい部分。その内側が歯の中心となる象牙質で、エナメル質よりもやわらかく、骨と似た成分>(小学館『キッズ・メディカ安心百科 子ども医学館』より引用)

と書かれています。歯を覆う硬い部分が分厚く黄色味を帯びていて、周りの乳歯と比べて大きい歯を、永久歯と判断すればいいのですね。

乳歯が抜けたのに永久歯が生えてこないとき

永久歯は絶対に生えてくるわけではありません。「先天性欠損」と言って、中には永久歯が生えてこない子どももいると頭に入れておきましょう。

永久歯が1年経っても生えてこない! 「先天性欠損」はどの歯に起きやすいの?

乳歯は上下左右上で計20本、永久歯は計28本(親知らず入れると32本)存在すると紹介しました。しかし、渡辺先生によれば、永久歯の元となる歯胚が何らかの原因で作られない場合があり、結果として永久歯が生えてこない人も居ると言います。そのトラブルを、先天性欠如と呼ぶのだとか。

どうして 先天性欠如は起こるのでしょうか。渡辺先生は、

「原因は遺伝的要因、環境要因が考えられますが、はっきりと特定できません」

と言います。

「日本小児歯科学会学術委員会がまとめた2010年の論文(小児歯科学雑誌48(1): 29−39 2010 29)では、上あごに先天性欠如がある頻度は4.37%,下あごに先天性欠如がある頻度は7.58% となっていて、下あごの方が頻度は高いと分かっています。頻度の高さで言えば、下あごの左右の第2小臼歯が最も高くなっています」

要するに乳歯の最も奥にある奥歯(臼歯)は、永久歯が生え出てこないケースが、時折見られるという話ですね。

永久歯欠損だったときの治療法や対処法

では万が一、自分の子どもに永久歯が生えてこなかった場合、どうすればいいのでしょうか?

「まず、なくても焦らないという点が大切です。乳歯を永久歯の代わりとして使えますし、一生涯、乳歯が残っていて永久歯と同じように活躍してくれる場合もあります」

しかし、永久歯と違って乳歯は根の長さも短いため、かみあわせの負担を強く受けてしまうと根が割れたり、根が吸収されたりして、将来的には抜歯が必要なケースもあるのだとか。それでも、

「永久歯が先天性欠如しているのに、乳歯が抜けてすき間が空いてしまった場合は、矯正治療、ブリッジ、入れ歯、インプラント、親知らずの移植で隙間を埋める、隙間が少ない場合は経過観察するなども考えられます」

との話です。決して好ましい状況ではありませんが、絶望するほどではないみたいですね。

乳歯が抜ける前に永久歯が生えてきたら?

永久歯が生えてこないトラブルとして、先天性欠如を紹介しました。しかし、他にも永久歯の生えかわりに関係して発生するトラブルは存在します。

例えば、乳歯が抜ける前に永久歯が歯茎の内側や外側に生えてくるようなケースですね。歯並びは人の印象に直結します。乳歯が抜けていないうちから、永久歯が歯茎の側面から変な方向に生えてきた場合、どのように考えればいいのでしょうか?

永久歯が乳歯の内側(外側)から生えてきたとき

そもそも歯並びは、唇や舌、ほおの力によってUの字に並ぶように力が働いていると言います。ですから、ちょっとした歯並びの悪さであれば、舌や唇、ほおの力で正しい位置に動いていくそう。しかし、

乳歯が抜けずに永久歯と重なった場合は、早急に乳歯を抜歯します。永久歯が生えてきたい場所に乳歯があると、位置異常を起こしてしまうからです。歯科医院では予防的にチェックする場合、左右差を見ます、右側の乳歯が抜けて永久歯が生えているのに、左側が生えていなければ、レントゲンで確認します」

との話でした。歯並びの問題に関しては個人差が極めて大きいため、

「対処法は、本当に一概には言えません」

と、渡辺先生は率直に語ります。親としては子どもの乳歯が抜ける時期に、左右で大きな差がないかなどを見守りながら、何か心配があれば、早々に歯科医院に相談に訪れたいですね。

 

文・坂本正敬

【取材協力】

※ 渡辺智良・・・渡辺歯科医院の院長。歯周病専門医。渡辺歯科医院では、一般歯科、歯周病専門治療、インプラント、予防歯科、小児歯科、義歯(入れ歯)を担当する。一方で、近隣のこども園や学校での歯科検診も行う。

【参考】

歯と口の基礎知識 歯の生えかわり – ライオン歯科衛生研究所

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