多くのワクチンは、予防効果を高めるため、適切な間隔で複数回の接種が必要です。ワクチンを受ける意義や接種時期について、小児科医の澁谷紀子先生に伺いました。
ワクチンの意義
かかると重症化しやすい病気を防ぐ
ワクチンは、乳幼児期にかかると重症化しやすい病気を予防するためのもの。それぞれの病気にかかりやすい年齢に達する前に受けることが大切ですが、確実に効果を出すためには、複数回の接種が必要なものがほとんどです。小学校入学前に受けるものもあるので、4歳児クラスから5歳児クラスに進級するタイミングで接種歴を丁寧に確認しておきましょう。
4歳〜5歳児にかかわるワクチンの接種時期の目安
ワクチンの接種漏れがあったとき
推奨されている時期を過ぎても受けられる
ワクチンは推奨されている時期に受けるのが理想ですが、一部のものを除いて、その時期を逃しても受けることができます。ただしワクチンの種類によって定期接種(原則として無料で受けられるもの)扱いとなる期間が決められており、それを逃すと任意接種(原則として費用は自己負担)となります。また、ヒブ(Hib)ワクチン、肺炎球菌ワクチン、BCGについては、年齢が上がると発病・重症化する確率が下がるので、年長児であれば接種する必要はありません。また、乳幼児期の4回接種だけでは免疫が維持できない可能性があるため、百日ぜき、ポリオについては5回目の接種がすすめられています。
接種スケジュール
複数のものを同時に接種してもOK
ワクチンは、複数のものを同じ日に接種する「同時接種」が可能です。1種類につき1回の注射(または服用)が必要ですが、病院へ行く回数が減るため、接種漏れの防止にもつながります。同時接種しても有効性は変わらず、副反応に影響を及ぼすこともありません。
小児科医より
ワクチンの予防効果は100%ではありませんが、接種しておくと、かかった場合も重症化しにくくなります。子どもを守るため、確実にワクチン接種を!
記事監修
総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。
出典/『新 幼児と保育』 文/野口久美子 再構成/HugKum編集部