ディズニー&ピクサー最新作『あの夏のルカ』配信開始!
ディズニー&ピクサー最新作『あの夏のルカ』が、本日6月18日(金)16時よりディズニープラスで独占配信されました。今回はプレミアアクセスではないので、ディズニープラスの会員であれば、そのまま観ることができます。コロナ禍で、映画館になかなか足が向かないというファミリーは、ぜひお子さんと楽しんでみてはいかがでしょうか?
本作の舞台は、北イタリアの美しい港町ポルトロッソ。エンリコ・カサローザ監督が宮崎駿監督の大ファンなので、『紅の豚』(92)にオマージュを捧げた地名がつけられました。本作はこの美しい町で、少年たちがひと夏の冒険をしていくという感動ファンタジーになっています。
ここへやってきたのが、海の世界に住むシー・モンスターの少年ルカとその親友アルベルトです。シー・モンスターたちのファンタスティックな海の世界と、太陽が照りつける陽気なイタリアの町とのコントラストもすばらしい。
本作では、人間とシー・モンスターといった異なる種による世界の分断をいかにしてなくしていくか、という今日的なテーマが描かれます。ディズニー&ピクサーの味付けによって、そこにはまったく説教くささがなくて、しっかりとした心ふるえる感動ファンタジーに仕上がっています。
阿部カノンと池田優斗という少年2人の声が醸し出すリアル
アルベルトに誘われ、恐る恐る人間の世界へ足を踏み入れたルカ。ルカは人間の少女ジュリアと出会い、意気投合していきます。でも、アルベルトはそんな2人を見ても面白くなく、少しずつジェラシーを抱いていきます。
海の世界から人間の世界へ行くという設定は、「人魚姫」を彷彿させますが、本作では成熟した恋や愛の要素はまったく描かれず、少年時代ならではのピュアな友情や心の揺れがフィーチャーされていきます。また、全編を通して、好奇心や冒険心など、新しい世界にふれたワクワク心が非常に豊かにつむがれ、感動の結末へと導かれます。
多感な少年時代の揺れ動く心のあやを繊細に表現したのが、阿部カノンと池田優斗という若いけど幼少期からキャリアを積み、声優経験もあるイケメン俳優陣ですが、この2人のキャスティングが、本作の大きな勝因となりました。
阿部くんは亡き三浦春馬が主演を務めたミュージカル「Kinky Boots」(18)でヤングローラ役を演じて注目された人気子役だし、池田くんは2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK)では徳川家康の少年時代を演じたことも記憶に新しい、ネクストブレイクのイケメン俳優です。
アニメーション映画においては、ベテラン声優陣が卓越したスキルによって主人公に声を吹き込むことはよくありますが、本作にかぎっては、等身大の少年である彼らが、ナチュラルに役を演じた点が、作品にミラクルをもたらした気がします。
ヨルシカ・suisの「少年時代」の余韻に酔いしれる
『あの夏のルカ』を特に面白くしているギミックといえば、シー・モンスターが、身体が乾くと人間の姿になるという特性でしょうか。つまり海から上がると人間そのものなので、正体はバレませんが、うっかり水に濡れると、シー・モンスターに戻ってしまいます。
ルカやアルベルトは、人間たちと一緒に暮らすうちに雨に濡れたり、あるレースに参加することで、うっかり水にかかってしまう、という点が見ていてドキドキハラハラです。さて、彼らは最後まで正体を隠し通せるのでしょうか? 着地点としては、異なる種がいかにして平和に向き合えるのかという点ですが、そこに至るまでの展開は観てのお楽しみということで。
そして、エンドソングとして流れるのが、注目のアーティスト、ヨルシカのsuisが井上陽水の名曲をカバーした「少年時代(あの夏のルカver.)」です。この曲がまるで本作のために書き下ろされたかのようにしっくりきていて郷愁を誘い、心を鷲づかみにされます。
本作を観れば、大人たちは過去のまぶしい時代の自分を思い出し、子どもたちは未知の世界へ飛び込むための勇気をもらえるのではないかと。とても温かくて深みのある青春ファンタジーですので、ぜひ親子でご覧ください。
監督:エンリコ・カサローザ
声の出演:ジェイコブ・トレンブレイ、ジャック・ディラン・グレイザー…ほか 日本語吹替版の声の出演:阿部カノン、池田優斗…ほか
公式HP:公式サイト:https://disneyplus.jp/
文/山崎伸子