学習障害(LD)の子が遊びながら文字に親しむ方法とは【発達障害の子を道具で応援!】vol.3

道具で発達を応援するネットのお店tobiraco(トビラコ)の店主が、発達障害の子の「困り感」を解決する道具をご紹介します。第3回は「学習支援」につながる道具です。

 

年末年始は親子が室内で過ごす時間が1年のうちで最も長い時期。そこで、今回おすすめしたいのは親子で遊びながら文字に親しむことができる「積み木」と「かるた」です。

どちらも、世の中には山ほど売られていますが、ここでご紹介するのは、筑波大学附属大塚特別支援学校の支援部長、安部博志先生のおすすめ。

発達障害のひとつ、学習障害(LD=Learning Disabilities)を意識し学習支援につながる「積み木」と「かるた」です。

文字と音(おん)と単語を結びつける積み木

ほとんどの文字は音(おん)とセットになっています。ひらがなは、ひとつの文字にひとつの音です。音そのものに意味はありません。

たとえば、「らくだ」を考えてみましょう。

「ら」「く」「だ」のひとつひとつの音に意味はありません。3つの音がひとまとりになって単語となり、あの動物の「らくだ」をイメージすることができます。文字の音から単語を思い浮かべることを専門的には「音韻(おんいん)想起」というそうです。

「文字」→「音(おん)」→「単語」→「らくだ」という順にものすごいスピードで脳の中に動物の「らくだ」があらわれているわけです。

でも、学習障害のある子の中には、この「音韻想起」がうまくいかない子が少なくありません。「ら」も「く」も「だ」も読める、だけど「らくだ」をイメージ(想起)できない。そんな子におすすめしたいのが『ひらがなさいころつみき』(くもん出版)です。

文字に親しむ「積み木」は昔からあります。でも『ひらがなさいころつみき』は、単に文字が積み木に書かれているだけではありません。

写真をご覧ください。

「ら」「く」「だ」の文字の書かれた3つのブロックの上に「らくだ」という文字とイラストが描かれたブロックが積み上がっています。

これで「文字」「音」「単語」をひとかたまりとして認識できるようになります。

最初は「ねこ」など少ない音の身近な動物や食べ物などからスタートしてみましょう。慣れてきたら、積み木を並べてしりとり遊びをしたり、文字探しをして単語づくりをしたりして、文字、音、単語への興味の幅を広げていくようにするといいでしょう。

このようないろいろな遊びをアドバイスしてくれるガイドブックもついています。このガイドブックが秀逸。学習障害の特性を理解している人が作っているのではないかというくらいによくできています。ここまで行き届いた積み木はなかなかありません。

また、文章をうまく読めない場合、音読を何度練習しても雨だれのようにポツポツとしか読めない(逐次読み)場合は、「音韻想起」ができていないのかもしれません。文字の羅列ではなく、単語として読めるように、区切りの線を入れるなどの工夫をしてみてください。

「らくだがさばくをあるいています」→「らくだが/さばくを/あるいて/います」とこんな風に。

これだけでも、だいぶイメージしやすくなりますよ。

ひらがなさいころつみき

素材:木製 サイズ:積み木W30×D30×H30㎜ パッケージ W214×D335×H49㎜ セット内容:積み木 60個(清音・拗音・促音50個・・・各文字は5個ずつ、濁音・半濁音10個・・・各文字は2個ずつ)、木箱、解説書、対象年齢:3歳以上 価格:4,500円(税別) 発売元・問い合わせ先 くもん出版 0120-373-415

 

韻(いん)を踏んで文字と言葉に親しめるカルタ

文字を「見て」単語をイメージできる積み木の話をしましたが、「聞く」ということから文字や単語に親しむツールとしてカルタは外せません。カルタは、二人以上で遊ぶのでコミュニケーションのツールとしてもいいですよね。

安部博志先生がいろいろ試してもっとも効果のあったのが「ぐりとぐらかるた」(福音館書店)だそうです。

「ぐりとぐらかるた」(福音館書店)

ぐりとぐらは、ママ世代にもおなじみですね。絵が可愛いのはいうまでもありません。このカルタのすごいところは、字札のすべての文言が韻(いん)を踏んでいるところです。

たとえば。。。

「トラが とくいな トランポリン」

「ぬれたながぐつ ぬいで かわかす」

「いちごが いっぱい おいしそう」

というように。

         

 

韻を踏んでいるから、リズミカル。覚えやすいんですよね。何度も遊んでいるうちに、カルタの絵を見ただけで言葉が出てくるようになる子もいるそうです。

 

全部を一度にやらなくても、お子さんに合わせて、少ない枚数からスタートして、少しずつ増やすようにするといいかもしれません。あくまで楽しく。ぐりとぐらの可愛い絵を楽しみながら遊んでください。

そしてお子さんの「とれた」「読めた」を一緒に喜んでほしいですね。

 

ぐりとぐらかるた

サイズ:かるた190×140㎜ 90枚 作 中川李枝子作・絵 山脇百合子

価格:1,000円(税別)発売元・問い合わせ先 福音館書店  03-3942-1226

 

漢字を形で覚える部首カード

「これ、娘の小学生時代にほしかった」

学習障害があるために、漢字の習得に苦労した娘さんをもつお母さんが、『漢字部首カード+部首で覚える漢字プリント』(小学館)を見て、おっしゃいました。安部博志先生もおすすめです。

漢字は偏(へん)や旁(つくり)といったさまざまな部首から構成されています。部首の意味がわかると漢字をイメージできるようになります。

「さんずい」なら水に、「くさかむり」なら植物に関係したものというように。

  

 

漢字部首カード+部首でおぼえる漢字プリント

サイズ: パッケージ 254×218×14㎜ セット内容:部首カード99枚、プリント2冊(1〜3年、4〜6年) 中部大学現代教育学部教授 深谷圭助・著 価格:1,300円(税別) 発売元・問い合わせ:小学館  03-3230-5211

 

『漢字部首カード+部首で覚える漢字プリント』は、学習障害の子のために作られているわけではありません。でも、見ることで理解しやすくなる「視覚優位」の子にはとてもおすすめです。

くさかんむりだけの漢字をあつめたり、カルタのようにして遊んだりすることもできます。

このカードを透明のウォールポケットに差し込んでおいて、いつも目に触れるようにすると漢字がぐっと身近になります。これは安部先生のアイデアです。

プリントもついていますが、書くことを苦痛としている子は使わないほうがいいでしょうね。漢字嫌いになります。その理由は後述します。

▲「聴いて覚えるのが得意な「聴覚優位」の子なら、『下村式唱えておぼえる漢字の本』(偕成社)との併用がおすすめです」(筑波大学附属大塚特別支援学校の支援部長 安部博志先生)

読み書き困難な子のために、こんなフォローを

漢字は読み書き困難な学習障害の子にとっては、かなり難関です。

他の子と同じように、反復練習をしても意味がありません。100回書いても学習障害(読み書き障害)の子は、翌日忘れています。書いて覚える学習法は、むしろ苦痛なだけです。

学習の仕方を担任に相談。配慮してくれたら、おおげさなくらいに感謝の気持ちを伝えましょう

漢字の学習に限った話ではありませんが、発達障害、学習障害の子は特性にあった学習の仕方をしないと身につきません。学習の仕方は担任の先生と相談しましょう。相談するためには、親の側も学習障害の情報や知識はある程度知っていることが必要だと思います。

仮に先生に知識がなかったとしてもそれを責めることは子どものためになりません。そこは賢く。「こんな本があるんですよ、私も初めて知りました」とさりげなく情報や知識を提供してみるといいでしょう。先生が配慮してくれたら、大げさなくらいに感謝しましょう。感謝されて悪い気がする人はいません。先生には感謝で臨むのが得策です。

先生が個別支援計画を立ててくれたら、保護者として見せてもらうようにしましょう。先生の支援を保護者として理解しておくことで、家庭でも良い支援に繋がります。

読み上げソフトやパソコンでの入力など機器を上手に活用できる環境を整えてもらうのもそのひとつ。

学習障害は、なかなか周囲からの理解が得られなかったのですが、最近は「事例バンク」といって学校で配慮してもらった事例を見ることができるサイトがあります。こちらも参考にしてみてください。このサイトはでき上がったばかりですが、文部科学省の特別支援教育関係者も高い関心を寄せています。

https://yomikaki.or.jp/tag/stories/

学校を変える力になりそうなサイトです。

HugKum世代の子どもたちよりも年齢が高いかもしれませんが、この先のこととして参考になるかもしれません。

LDは、Learning Disabilities(障害)と日本では訳されています。でもアメリカではLearning Difficulties(困難)として学びに困っていることを指すそうです。

Learning Differences(違う)、「学び方が違う」と捉えている人もいます。アメリカでは、通常の学び方では、学習したことが身につかない子にはその原因を学校が考えるそうです。学習障害があるかもしれないし、なかったとしても、その子にあった学び方ができていないのではないかと考えて対策を取ります。日本の場合、どうしても家庭や親のせいにされがちなのが残念です。

学習障害は、決して勉強を怠けているわけではありません。自分にあった学び方ができていないだけです。その環境を整えるのは大人の側です。この点は強調しておきたいと思います。

発達障害の「困った」、道具であっさり解決しましょう。
次回も素敵な道具たちをご紹介します。

発達障害の子のためのすごい道具』(安部博志・著 tobiraco・編集)小学館

トビラコ店主

元子育て雑誌編集者。編集者時代に出会った特別支援学校の先生と現場で効果のあった教材を商品化。「tobiraco」というネットショップで販売。ヒット商品は「きいて はなして はなして きいて トーキングゲーム」「見る目をかえる 自分をはげますかえるカード」。「療育アロマ」も快走中。

写真/石川厚志(イメージ)安部博志先生(五十嵐公)

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