ぶきっちょさんにコンプレックスを抱かせない道具５選 【発達障害の子を道具で応援！】vol.4

道具で発達を応援するネットのお店tobiracoの店主が、発達障害の子の「困り感」を解決する道具をご紹介します。第４回はぶきっちょさんに使いやすい道具です。

助けになる「道具」で失敗の場面を減らしてあげましょう

よくコップを倒して牛乳をこぼしたり、スプーンからボロボロ食べ物をこぼしたりしていませんか。ハサミをうまく使えなかったり、靴のヒモをうまく結べなかったりすることはありませんか。

発達凸凹に多いぶきっちょさん。これは「目と手の協調運動（目と手の連携）」がうまくいっていないからです。

使いやすい道具で「失敗の場面」をなるべく減らすようにしましょう。

子どもが成長するうえで、失敗から学ぶのがいいようにいわれます。でも発達凸凹の子にとって、一般的な子育てで「いいこと」とされていることが、よくない場合が少なくありません。

その代表例が「苦手の克服」。苦手を「努力」で「克服」させなくていいんです。「できない」を繰り返し練習しても「できない」という思いが強くなってコンプレックスを抱かせるだけですから。

倒れにくいコップ、こぼしにくいフォーク＆スプーン

このコップはご覧のように底が広くて安定したデザイン。しかも底はテーブルにフィットしやすいシリコン製です。倒れにくくて色もきれい。赤ちゃん用に限定してしまうのはもったいないほど使いやすいコップです。コップを倒して中身をこぼしてしまう子におすすめです。幼稚園などでも使われているようですよ。

こぼさないアイデアとして、もうひとつ。コップをどこに置いていいかわからずに戸惑う子のために、テーブルに「コップを置く場所はここ」とわかるように印をつけておきましょう。コップの絵を描いてもいいかもしれません。戻す位置がわからないと、コップを戻せずにいつまでも持ったままで中身をこぼしてしまうということにもなりかねません。そういう子にとって、置く場所が視覚化されていると安心できます。

こぼして叱るよりも、叱らないですむ工夫を。親も子もイヤな思いをしないですみますよね。

 

 

このエジソンのフォーク＆スプーンは幼児用ですが、トビラコ店主の知り合いで自閉症スペクトラムの女性も使っています。彼女はぶきっちょさん。よく食べ物をこぼすので、このフォーク＆スプーンが使いやすいらしく、ケースに入れて持ち歩いているそうです。

エジソンのフォーク＆スプーンは「幼児は食べこぼす」を前提にしたつくり。フォークのギザギザは麺類の滑り落ちを防止してくれます。スプーンのすくう部分は、お皿の面にフィットしやすい形状。

幼児は握力がないのでグリップの部分は太く握りやすい形で、手のひらにフィットする素材です。

 

手のひらで挟むだけで切れるハサミ。多動な子にも安全です

 

「Casta カスタ」はユニバーサルデザインのハサミとして知られています。手のひらで挟んで（写真は挟んでいませんが）、カスタネットを叩くように上下するだけで紙がサクサク切れてしまうんです。

 

切るときに「カチ、カチ」と音がするのも、まるでカスタネットを叩いているようで、楽しくなります。

 

一般的なハサミは指穴に指を通して刃を動かしながら紙を切ります。これが、ぶきっちょさんにはうまくいかないこと多く、紙を切るのがイヤになってしまいます。「Casta カスタ」は、刃物の会社が作っているので、力を入れなくても切れ味は抜群。きれいに気持ちよく切れます。

刃先がカバーされているのも安心。「これ、多動の子にもぴったり！」と「Casta カスタ」を見たある特別支援学級の先生がおっしゃいました。その先生のクラスでは、衝動的に動いてしまう生徒には危険なのでハサミを使わせていなかったそうです。

だれでもが安心して使えるハサミ。もっと学校でも使われるといいですよね。

結ばなくてもいい靴ひも。もう下駄箱でモタモタしない

 

運動靴のひもを結ぶのに時間がかかって、グラウンドに出るのがいつも遅くなってしまう。他の子はもう準備運動しているのに、自分だけ運動靴のひもを結べない。ひもがうまく結べないというだけで、次の行動になかなか移ることができない焦りが生じます。自分だけ遅いとまわりの目が気になってコンプレックスにもつながりかねません。

こういう事態を避けるために、結ばなくてもいいヒモをおすすめします。

「キャタピラン（伸縮型靴ひも）」です。伸縮性のある靴ヒモで、等間隔にふくらみがあり、このふくらみが靴ヒモを通す穴にひっかかるので動いてもヒモはズレません。

使いやすい長さに切ることができます。アスリートも愛用しているそうです。ピタッとフィットするから走りやすいし、走行中にひもがほどける心配もないからでしょうね。ひもを結ぶ練習が必要なら、落ち着いてできる別の機会にしましょう。

 

洋服をきれいにたためる練習ができるボード

 

 

服をきれいにたたむためには、たたむ順序が頭に入っていて、その通りに手を動かす必要があります。あたりまえと思われるかもしれませんが、これができないためにうまくたためない子がいます。

 

「たたみ方れんしゅうボード」は、たたむ練習ができます。筑波大学附属大塚特別支援学校で使われていた生活支援ツールを商品化しました。

 

たたむ服をのせて、たたむ順序に沿ってボードをパタンパタンと倒すときれいにたたむことができます。きれいにたためると気持ちがいいし、達成感もあります。

ぶきっちょさんは、「できない」という場面が圧倒的に多いと思います。「できた！」と喜べる道具を用意してあげてほしいと思います。

 

発達障害の「困った」、道具であっさり解決しましょう。
次回も素敵な道具たちをご紹介します。

『発達障害の子のためのすごい道具』（安部博志・著　tobiraco・編集）小学館

トビラコ店主