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アカデミー賞最有力とされる、実話ベースのウィル・スミス主演映画『ドリームプラン』
ハリウッドにおいて、長年トップスターとして君臨してきたウィル・スミスの最新主演映画『ドリームプラン』が、2月23日より公開され、SNSで絶賛の声が広がっています。ウィルが演じたのは、ビーナス＆セリーナ・ウィリアムズ姉妹というテニス界における最強プレイヤーを育てたという破天荒な父親役ですが、そのアプローチ方法も度肝を抜く内容でした。
本年度のアカデミー賞では、作品賞をはじめ、脚本賞、編集賞、主演男優賞、助演女優賞、歌曲賞の6部門にノミネートされ、ウィルはその最有力候補とも言われていますが、本作を観れば大いに納得。ウィルはプロデューサーも兼任し、モデルとなったウィリアムズ姉妹も製作を担当しています。
ウィルが演じるリチャードは、なんとテニスの経験値ゼロだったのに、“俺流”の計画書（ドリームプラン）を立てて、娘2人を見事にテニスのワールドチャンピオンに育て上げました！その驚くべき内容と、娘たちを必死で守ってきた父親としての屈強なメンタルにうなります。
俺流であるテニスの指導の裏で、徹底して教え込んだ謙虚さ
父リチャードが娘2人を世界一のテニスプレイヤーに育てようと思ったきっかけは、テレビで優勝したテニスプレーヤーが4万ドルもの賞金を受け取った姿を目にしたことでした。テニス未経験者だったリチャードですが、そこから一心発起し、子どもたちをテニスの名選手に育てるべく、なんと独学でテニスの教育法を研究し、78ページもにわたる計画書“ドリームプラン”を作ります。
そこから、ロサンゼルスの公営テニスコートで、日々娘たちを鍛えあげるなかで、まずは姉のビーナスが頭角を現していきます。人に何を言われても、俺流のプランを貫き通す父親と、その期待に対して見事に応えていった娘たち。もちろん、妻や他3人の姉たちを含む家族全員が全力でサポート。やがて2人の娘は、世界の頂点へと駆け上がっていくことに……！
有言実行というのは、まさにこのことでしょうか？リチャードは、外野からいろんな横やりが入っても、自らが「娘たちは世界一のプレイヤーになる」と豪語し、実際にそれを実現させたのですから。なかには大雨のなかで、過酷な練習をするシーンもありますが、すべての積み重ねが、実を結んだのだから、アッパレ！です。
特筆すべきは、リチャードが教えこんだのが、テニスの試合に勝つすべだけではなく、勝者となった時の心の持ちようです。リチャードは、試合に勝って舞い上がっていたビーナスに「勝者も敗者もベストを尽くしたし、プレイを楽しむのもいい。でも、問題はそのことを自慢に思うことだ」とビシッと叱ります。
リチャードは娘の目を見て「大切なのは謙虚さだ」と語りかけるのです。そんな父の思いをしっかり受け止めるビーナス。まさにこの父親にしてこの娘ありだなと思いました。実際にそういう美しい精神を見て、勝利の女神もさぞかし感銘を受けたのではないでしょうか。
人種差別が色濃かった90年代に、娘を守り抜いた父親の勇姿に感動
ウィリアムズ姉妹が、彗星のごとくプロテニス界に登場した1990年代のアメリカといえば、今よりも相当人種差別が根強かった時代です。劇中でリチャードが「かつて黒人は白人に触れてはいけなかった」と言う台詞もありますが、実際に当時もひどい扱いを受けることがあったようです。
そんななかで、リチャードは「危険から守るのが親の務めだ」ときっぱり言い放ちます。彼は心から家族を愛し、娘たちの幸せを心から願っていますが、例えば家族に危険がふりかかった時も、自らが身をていして家族を守ろうとしていきます。その揺るぎない父親の強さには大いに心を打たれました。
時には、命の危険さえも感じられる日常で、リチャードがどんな思いで家族を見てきたのかは、察するに余りありますが、それらの苦労がすべて報われることになるので、本当に良かったと胸をなでおろしました。
エンドクレジットの前に、実際のリチャードやビーナス＆セリーナ・ウィリアムズたち一家が登場しますが、いまさらながらに、これが実話だということに、改めて感心させられました。リチャードのテニス指導者としてのスキルだけではなく、親としてのすばらしさには本当に脱帽ものです。きっと家族で観ていただけたら、大いに得るものがありそうなので、ぜひ劇場でご覧ください！
監督：レイナルド・マーカス・グリーン
出演：ウィル・スミス、アーンジャニュー・エリス、サナイヤ・シドニー、デミ・シングルトン、トニー・ゴールドウィン、ジョン・バーンサル…ほか
公式HP：dreamplan-movie.jp
文／山崎伸子
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