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今年のテーマは、「環(めぐ)るデザイン – Design for Sustainable Future -」
東京都港区赤坂にある東京ミッドタウンは、文化や流行の発信地として知られる六本木・赤坂エリアにありながら、広大なグリーンと6つの建物からなる複合都市です。
こだわりのショップやレストラン、オフィスやホテル、緑地に美術館などあらゆる施設が集まるこの場所で、2007年から毎年秋に開催されているデザインの祭典が「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」です。
そんな「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」が今回で15回目を迎え、2022年10月14日(金)から11月3日(木・祝)までの期間で開催されます。
今年のテーマは「環るデザイン – Design for Sustainable Future –」。
人々の生活が大きく変化し新しい価値観が次々と生まれている今、本当に大切にしたいものをこの先も残していくためには何ができるのか。持続可能な未来へのヒントを、デザインを通して探っていきます。
「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022」見どころは?
15回目の開催を迎える本イベントの見どころはどんなものがあるのでしょうか?
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海をモチーフにした大型インスタレーション「うみのハンモック」
会場でひときわ目を引くのは、建築家・永山祐子氏が設計し、アップサイクル素材を活用した大型インスタレーション。
遠くから眺めると大きな波や小さい波が広がる約36m×約12mの大型インスタレーション。波のような連なりはハンモックで構成されており、休んだり、遊んだりすることができます。ハンモックの素材には、廃棄された漁網をアップサイクルした糸を利用しており、海洋汚染や生態系への大きな影響が問題となっている海洋ゴミを循環のデザインにのせることで、“めぐる”モノとして人々につなげます。
視覚的にも楽しいデザインは、子どもでも楽しめそうな空間ですね!
【タイトル】 うみのハンモック
【期 間】 10月14日(金)~11月3日(木・祝)
【時 間】 11:00~21:00
【場 所】 芝生広場
建築家・永山祐子
1975年東京生まれ。1998年昭和女子大学生活美学科卒業。1998年青木淳建築計画事務所勤務。2002年永山祐子建築設計設立。主な仕事、「LOUIS VUITTON 京都大丸店」「丘のある家」「豊島横尾館」「女神の森セントラルガーデン」「ドバイ国際博覧会日本館」など。JIA新人賞(2014)、山梨県建築文化賞、東京建築賞優秀賞(2018)、照明学会照明デザイン賞最優秀賞(2021)など。現在、「東急歌舞伎町タワー」(2023)、東京駅前常盤橋プロジェクト「TOKYO TORCH」などの計画が進行中。東京ミッドタウンでは2021年より「TOKYO MIDTOWN AWARD」アートコンペ審査員を務める。 https://www.yukonagayama.co.jp/
私たちの身の回りにある“モノの循環“について考えたとき、海洋ゴミが浮かびました。海に囲まれた日本の海岸には遠く海外からゴミが流れ着き、美しい海の表面はマイクロプラスチックに覆われています。大きな波を描くハンモックは、海ゴミの漁網を再利用したオリジナルの網で作られていて、展示が終わると再利用され、様々なモノに生まれ変わります。ハンモックに揺られながら、私たちの生活を取り巻く自然環境に思いを巡らせてみてください。
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新たな農業の可能性を探る“都市を耕す”インスタレーション「F.A.R.M.-Future Agricultural Rights for Mankind-」
農園が垂直的立体展開するような都市型農業の可能性を切り拓き、人々それぞれの手へ農業という営みを届けるための実験的インスタレーションです。
栽培基盤やエネルギーなど、農業に必要とされる様々な要素を分解しユニット化。それらをブロック的に組み合わせ、積み上げていくことで、農業という循環系システムを簡単に構築できるようデザインされています。
ブロック化された栽培ユニットを自由に組み合わせた、ユニークで斬新な形状が目を引くインスタレーションですね。
【タイトル】 F.A.R.M.-Future Agricultural Rights for Mankind-
【期 間】 10月14日(金)~11月3日(木・祝)
【時 間】 11:00~21:00(予定)
【場 所】 ミッドタウン・ガーデン
建築家集団/デザインユニット・ENERGY MEET
蘆田暢人(右)、オオニシ・タクヤ(左)、Alvaro Contiの3人の建築家が2010年に立ち上げたデザインユニット。デザインを通してエネルギーと社会をつなげることをテーマに、日本とタイを中心に活動している。自然エネルギーを活用した建築やまちづくりからインスタレーション、「ENERGY MEET MAGAZINE」の発行など活動は多岐にわたる。
代表作に「ZIIB / Zero Impact Information Billboard」「FloES / Floating Energy Station」などがある。
農業は循環のデザインです。太陽エネルギー、炭素、窒素、酵素などの循環をコントロールし、私たちの生命をつなぐ作物へと変換するプロセスです。現在、世界では食糧増産の課題がより深刻になってきています。今後も続くであろう世界的な人口増加に対して農業分野は大きな注目を浴びており、「積極的な農地確保」と「持続可能性」の両立が不可避となっています。この作品を通して、私たちみんなが農業への意識を持ち、積極的に参加できるようなきっかけを与えられることを目指しています。
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環境と繋がり、環境に溶け込むインスタレーション「as it is. -equilibrium flower-」
- ミッドタウン・ガーデン内に約2,000個の花のようなオブジェが登場します。デザインを通して、工業的な素材をあたかもそこにあったかの様なオブジェへと変換。さらにミッドタウン・ガーデンの植物で草花染めをすることで、土地との結び付きも与え、工業的な素材に“新たな意味”を持たせたインスタレーション。周囲の環境と共鳴しながら咲き誇る姿を体感することで、今回のテーマである“めぐる”を考えるきっかけを投げかけます。
- 【タイトル】 as it is. -equilibrium flower-
【期 間】 10月14日(金)~11月3日(木・祝)
【時 間】 11:00~21:00
【場 所】 ミッドタウン・ガーデン -
TAKT PROJECT(代表:吉泉 聡)
デザインによる新しい概念の創出と具現化を行うDESIGN THINK + DO TANK。広く世界を俯瞰し、静かに自己の声にも耳を澄まし、手を動かし感じながらつくる事で、 ロジカルな思考だけでは到達できない仮説を構想する「新しい知性」としてのデザインを志向。 自主的なリサーチプロジェクトから生まれる独自のデザイン理論を携え、スタートアップからグローバルブランド、教育・研究機関、行政など、幅広いクライアントと共に、次代の概念を耕す多様なプロジェクトに日々取り組む。 -
~クリエイターメッセージ~
その土地と結びつくことで生まれ、環境と美しく共鳴するデザインについて考えています。この作品では、独自に開発した「熱で硬くなる生地」に部分的に熱をかけ、硬くて柔らかい、花のようなオブジェを生み出しました。デザインが生み出すものは、あくまで工業的な素材も含む「人工物」ですが、その土地と結びつく「何か」を獲得する事で、その環境と繋がり「環るデザイン」へと変わっていくように思います。この場所でしか生まれ得ない表現を纏うインスタレーションを、ぜひご体感ください。
特別授業「森の学校」青空教室開催
クリエイターが先生になり、五感を刺激するような特別授業「森の学校」青空教室を期間中に開催。今回は、熱で固まる特別な生地を用いて、花のオブジェ「equilibrium flower」をつくり、東京ミッドタウンの草花で染めて自分だけの特別なオブジェをつくります。
【期 間】 10月23日(日)
【時 間】 13:30~15:00
【場 所】 ミッドタウン・ガーデン
※雨天の場合はプラザB1
【講 師】 吉泉 聡先生(TAKT PROJECT代表)
【料 金】 無料
【定 員】 20名
【申 込】 Peatixより事前申込制
【主 催】 六本木未来会議
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動物の心拍に合わせて明滅する光を通して、生命の多様性が感じられるインスタレーション「Life Beat」
- 地球では、1つの種が存在するだけで生命が循環することは不可能。多様な生命が関係し合うことで、生態系は初めて持続することができる。そんな現代社会では可視化されにくい、生命の共存によって保たれる命脈を感じることのできるインスタレーションです。哺乳類はどの動物でも、一生の間に心臓は20億回打ち、小さな生きものの脈は人よりもずっと速く、逆に大きいものだと脈が遅くなります。それらの脈は多様性の象徴であると同時に、生命の繋がりの証であるようにも感じられます。
- 動物ごとの心拍のリズムでライトを明滅させ、作品全体が大きな光の集合体となり、それらが同一方向へ歩く様子から「人間単体ではなく多様な生物の関わり合いによって、生命が続いていく」ということを伝えます。
【タイトル】 Life Beat
【期 間】 10月14日(金)~11月3日(木・祝)
【時 間】 11:00~20:00
【場 所】 ガレリア2F Iucien pellat-finet横
CORNER(若田勇輔・金澤佐和子・田羅義史・岩﨑有紗・長屋 弘)
アーティスト、デザイナー、テクノロジストからなる、創造の可能性を広げることを目的としたクリエイター集団。各々の分野を起点に、専門性にとらわれないアート制作を実験的に行なっている。「TOKYO MIDTOWN AWARD 2020」デザインコンペ グランプリ(若田・金澤)、他デザイン賞を多数受賞。
一説によると、人が関わることによって生物の種の絶滅のスピードは、約一千倍から一万倍にも加速していると言われています。しかし人は目の前の暮らしのために、自然環境に与える影響を軽視したり、無視しています。私たちは様々な生物が関わりあうことによって成り立つ「生」の断片を、デザインの力で可視化し、巡り続ける生態系に思いを馳せるきっかけが作りたいと考えています。
Salone in Roppongi
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DESIGNART TOKYO 2022
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「DESIGN TOUCH Conference(デザインタッチカンファレンス)」
- 各分野で活躍するクリエイター、デザイナー、企業が参加して、「デザイン」を軸に様々なテーマで講演やトークセッションを開催します。気になるものをチェックしてみてください。
- 【期 間】 10月28日(金)~10月30日(日) ※全3日間
【時 間】 12:00~18:00(予定)
【場 所】 ミッドタウン・タワー4F カンファレンス
【料 金】 無料
【申 込】 Peatixより事前申込制 詳しくはWEBサイトでご確認ください。
【講 演 者 】 永山祐子氏、ENERGY MEET、吉泉 聡氏(TAKT PROJECT代表) 他(予定) -
「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022」キービジュアルをつくったのは?
- 「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022」のキービジュアルには、JAGDA新人賞(2022)受賞クリエイター竹田美織氏を起用。
竹田美織
多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業、2011年より資生堂クリエイティブ本部に所属。
2021年独立。ビューティー系ブランドをはじめ、ファッションやジュエリーブランドのアートディレクション等を手掛ける。
https://www.mioritakeda.com
今年は環るデザインがテーマということで、人間にも自然にも等しく循環する水、そして水の脈をモチーフとしました。水も空気もすみずみに、淀みなく巡っていくことで、健やかに物事が営まれていく。そんな美しい循環がデザインによって育んでいけるのなら、これほど理想的なことはありません。
秋のお出かけで親子でアートに触れてみては?
暑い夏が過ぎ、過ごしやすい気候になる秋。普段難しく考えがちな「持続可能な未来」について、視て、触って、五感で楽しみながら感じることのできる「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」。
「芸術の秋」、親子でデザインアートの世界へふらりと出かけてみませんか?
イベントについて詳しくはこちらから>>
構成/ひむかちほ HugKum編集部