【ランドセル活動最前線】女の子の人気色、ついに赤が3位に脱落!「ランドセル選びのプロ」に聞いたトレンドと選び方のコツ

最近のランドセルにはどんなトレンドがあり、どんなものが選ばれているのでしょうか。「ランドセルナビ」の槙田美規さんに人気色やデザイン、選び方のコツなどを伺いました。

新年度が始まり、子どもが年長クラスになると、ママ友の間でも「ランドセルどうする?」という話題が出始めるのではないでしょうか。「人気のものは早く予約しないと売り切れる!」などという情報を聞いて焦っている方もいるかもしれません。そこで今回は、ランドセル選びに関する様々な情報が掲載されているランドセルナビの槙田美規さんに、最近のランドセルのトレンドと選び方のコツについて伺いました。

――今年のランドセルのトレンドを教えてください。

槙田さん(以降槙田):ここ5年ほどは女の子のランドセルの人気カラーというと、「赤・ピンク系」「キャメル」「ラベンダー・パープル系」などに分散している状態でしたが、今年ついに「パープル・ラベンダー系」が1位になりました(ランドセル工業会調べ・2022年)。また、くすんだグリーンやオリーブ色などジェンダーレスな色や、パステル系の淡い色も人気があり、インスタで「#ランドセル」と検索しても、赤や黒はあまり見かけなくなりました。

――デザインにも変化があるのですか?

槙田「キューブ型」と呼ばれるランドセルが徐々に増えてきています。これは、ランドセルの背中に当たる部分(背当て)と、横のマチの部分にあるヘリを取り除いたもので、わずかではありますが、その分だけコンパクトで軽い作りになっています。このキューブ型を作っているメーカーはまだ少ないですが、ランドセル製造最大手のセイバンも「スゴ軽」というシリーズでキューブ型を取り入れています。キューブ型はヘリがない分、横の”大マチ”といわれる部分が傷つきやすく、強度が劣るとも言われていましたが、現在国内メーカーで作られているものは6年間の使用に十分耐えられるものなので心配ありません。

――最近登場した新しいブランドはありますか?

槙田比較的新しいのは2017年に誕生した「羽倉の手づくりランドセル」というブランドです。「かばんの街」といわれる兵庫県豊岡市にあるこのブランドのランドセルは、独自の製造方法でカブセに鋲がないのが特徴。高い技術を持った職人さんが一つ一つ手作りしています。実はランドセルというのは簡単に新規参入ができない業界で、羽倉も昭和38年から革のバッグを作っている老舗メーカーなのです。

ランドセル作りには長年蓄積されたノウハウが必要な上、パーツが多くて自動化ができないため、昔からの職人さんが作っているところがほとんど。工場の数でいえば国内で20数社くらいでしょう。現在は色々なアパレルブランドがランドセルを出していますが、実際に作っているのはそれらのメーカーのどれかというケースが多いです。

――リュックタイプも増えてきていますね

槙田:「NuLAND」「ZACARI」「エルゴランセル」「豊岡鞄スクールリュック UMI」「ミズノのセカンドランドセル」など布製のものが続々と出てきていますね。リュックタイプは軽さが特徴ですが、今の段階では肩ベルトまわりの機能はランドセルの方が優れているものが多いため、それぞれ背負ってみた上で総合的に判断し、子どもに負担が少ないものを選ぶのがよいと思います。

カタログ上の「軽さ」にこだわる必要はない!

――やはりランドセルは軽さで選ぶのがよいのでしょうか?

槙田:各メーカーから軽いランドセルがどんどん発売されていて、1kg以下のものも増えています。とはいえ、今のランドセルは見た目よりも軽いのが特徴。人工皮革(クラリーノなど)は1100g~1350g前後、総牛革でも1,400g~1,500gくらいのものがほとんどで、実際のところあまり差がないともいえます。それよりも、背当てや肩ベルト、背カン(肩ベルトとランドセル本体をつなぐパーツ)の工夫によって軽く感じられることも多いので、カタログ上の表記にこだわりずぎず、実際に背負ってみて決めるのがよいと思います。

――ランドセルを背負ったときにチェックするポイントはありますか?

この肩ベルトの付け根の立ち上がり、肩ベルトの形状の部分に注目し、お子さんに背負わせてみてください

槙田:リュックをよく使う人なら分かると思いますが、ランドセルの上部が背中に密着して、重心がある程度高い位置(肩甲骨の下あたり)にあったほうが荷物が軽く感じられます。ランドセルの上部と肩の間に大きな隙間ができるような背負い方だと後ろに引っ張られるような形になり、体に負担がかかってしまいます。

重心を高くするために重要なのが肩ベルトの付け根の立ち上がりや、肩ベルトの形状

セイバンの「天使のはね」や「フィットちゃん」に代表される肩ベルトの立ち上がりは、子どもが何も考えずに背負っても重心が上にくるようになっています。それ以外でも昔からランドセルを作っているメーカーはこれらの部分にこだわっているので、子どもがランドセルを背負ったときに背中にぴったりフィットしているか必ずチェックしてみてください。本やペットボトルなど2kg程度の重しを入れて確認するのもおすすめです。

――色やデザインは子どもに選ばせるべきでしょうか?

槙田:とにかく親はランドセルの機能面をしっかり見てあげてほしいです。色やデザイン、素材については大人たちである程度の意見を統一しておき、その中でできるだけ子どもの好きな色やデザインを選んであげられるとよいですね。パステル系などの淡い色は汚れがつくのではないかと心配する方が多いですが、今のランドセルは汚れ防止加工が施されているので、汚れが目立つということはあまりありません。

「ラン活」は入学に向けたプレイベントとして楽しんで

――「ラン活」はどんどん早くなっているといいますが、いつ購入するのがよいですか?

槙田:少し前までは夏休みがピークと言われていた「ラン活」も、今ではゴールデンウィークあたりがピークになりつつあります。しかし、子どもは1年間で体が大きく成長するため、本当は秋頃の方が体にぴったりなものを選べると思います。ママ友やSNSなどの情報に惑わされず、色々なメーカーを見てゆっくり決めるのがおすすめです。

9月以降はアウトレット品やセールも始まり、高品質なものをお値打ちに買えるチャンスもあります。国内生産のもので6年間修理保証がついていれば、型落ちのものでも全く問題ありません。ただし、納期だけはしっかり確認しておきましょう。

「ラン活」はまさに小学校入学に向けたプレイベントのようなもの。親子だけでなくおじいちゃん、おばあちゃんも含めて、みんなで「我が家スタイル」を見つけてほしいです。家族で展示会に行ったり、「どんな色がいい?」などと話したり、ワクワクしながらランドセルを選んでください。

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お話をうかがったのは

槙田美規|株式会社エデュスタイル 代表
株式会社エデュスタイル代表取締役。東京都出身。小学館で週刊誌・女性誌などの編集の傍ら、デジタルメディア創生期の1980年代からパソコン通信「ポストネット」「マフィンネット」の掲示板運営を担当、その後小学館のインターネットメディア「Muffin-net」「FAnet」編集長を歴任。インターネットと他メディアのクロスメディア企画や業務提携を多数経験、掲示板・SNSの運営ノウハウに詳しく、アフィリエイトをチャリティにつなぐしくみ、絵本アプリなども開発。
小学館退職後、株式会社エデュスタイルを設立し、長年構想を練ってきた教育プラットフォームのスタートアップとして、ランドセルの情報提供と販売を目的とした「ランドセルナビ」を立ち上げる。子どもに関連するさまざまな情報やモノは、あくまでも信頼性が第一と考えて事業を展開している。ランドセルナビではコンテンツの執筆も手がけている。

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文・構成/平丸真梨子

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