世界を虜にする『アラビアンナイト』の魅力とは? アリババの物語のあらすじを紹介!

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『アラビアンナイト』は、アラブ地域を舞台とした物語集。日本では『千一夜物語』『千夜一夜物語』とも呼ばれています。アラジン、シンドバッド、アリババの物語などが特に有名ですね。今回は『アラビアンナイト』の中からアリババの物語について、あらすじ・登場人物・物語の魅力について紹介します!

『アラビアンナイト』ってどんなお話?

『アラビアンナイト』は、アラブ地域の民話を集めた物語集です。ペルシアの妃シェヘラザードが、千日に渡って王に話して聞かせたという物語で、アラジン、シンドバッド、アリババなどの物語は特に有名。

映画や歌もある?

2023年2 月23日に日本で公開されたばかりの映画『アラビアンナイト  三千年の願い』は、ジョージ・ミラー監督最新作として話題になりました。ジョージ・ミラー監督といえば、『マッドマックス  怒りのデス・ロード』でも有名ですね。

また、映画『アラジン』では「アラビアン・ナイト」という曲も。原作ではウィル・スミスが、日本語版では山寺宏一が歌っています。異国情緒漂うメロディと歌詞が『アラジン』の作品にぴったり!

物語のあらすじ

『アラビアンナイト』には数多くの物語がありますが、今回はその中から『アリババと40人の盗賊』のあらすじを紹介します。アリババといえば「ひらけ、ゴマ!」の呪文で有名ですね。絵本やアニメにもなっており、子どもたちにとっても、身近な物語ではないでしょうか。

あらすじ

昔、ペルシアという国に、カシムとアリババという兄弟がいました。兄弟でも生活は正反対で、カシムはお金持ち、アリババは貧乏。ある日、アリババは山で盗賊を見かけます。隠れてじっとしていると、盗賊の頭(かしら)が大きな岩山の前に立ち、「ひらけ、ゴマ!」と言いました。すると、岩が動き出し、洞穴が現れました。

40人の盗賊達は、次々と洞穴の中へ入っていき、最後に「とじよ、ゴマ!」と言いました。すると再び岩が動いて、洞穴はすっかり閉じてしまったのです。盗賊が去った後、アリババは自分もやってみたくなり、岩山の前に行って「ひらけ、ゴマ!」と言いました。すると、同じように岩が動いて洞穴が現れたのです。

アリババが洞穴の中に入ると、そこには山のようにたくさんの財宝がありました。盗賊達は、ここに盗んできた財宝を隠していたのです。アリババは金貨が入った袋を持ち出すと「とじよ、ゴマ!」と唱えて元通りにしました。

カシムは、アリババがたくさんの金貨を手に入れたことを知ると羨ましくなり、早速岩山へ向かいました。アリババから聞き出した通り「ひらけ、ゴマ!」と唱えて洞穴に入ると、山積みになっていた財宝を片っ端から持ち帰ろうとします。

ところが、いざ洞穴を出ようとしたとき、呪文をすっかり忘れてしまいました。洞穴の中に閉じ込められてしまったカシム。そうこうしているうちに、盗賊達が帰ってきて、カシムを見つけ、捕まえて殺してしまいました。

帰りが遅いことを心配したアリババが洞穴に向かうと、そこにはカシムの死体がありました。アリババはカシムの死体を持ち帰り、カシムの家の召使いモルジアナとともに、カシムは病気で死んでしまったことにしました。モルジアナは召使いでしたが、若くしてとても賢い女性だったのです。

盗賊達は、カシムの死体がなくなっていたので、カシムに仲間がいることに気づきました。財宝の隠し場所を知っている仲間は、残らず見つけて殺さなくてはなりません。盗賊はアリババの家を見つけると、扉に目印をつけておきました。

盗賊が去った後、モルジアナがやってきて、扉の目印に気づきました。不審に思ったモルジアナは、近所の扉という扉に同じ印をつけます。盗賊達が再びやってきた時には、見渡す限りの扉に目印がついており、一体どれがアリババの家か分からなくなっていました。

次に盗賊達は、油商人になりすまし、アリババの家を訪ねました。盗賊の頭が油商人のふりをして、手下達は油の容器の中に隠れたのです。盗賊達はアリババの家に一晩泊まることになりましたが、それを知ったモルジアナは、熱い油を手下が隠れる容器に注いで、一人残らず殺してしまいました。翌朝、手下が全滅していると知った頭は、一目散に逃げていきました。

一人残った盗賊の頭は、次こそは絶対にアリババを殺さなくてはならないと考えます。そこで、アリババの家の近くに店を出すことにしました。そのうちアリババと親しくなり、家に招かれるようになりました。食事をしながら、頭は短刀でアリババを殺そうと企みます。しかし、再びモルジアナがその企みに気がつき、踊り子のふりをして踊りながら、短刀で頭を殺してしまいました。

アリババは驚きましたが、その経緯を知ると、賢く勇敢なモルジアナを息子の妻に迎えました。アリババ一家は、その後も幸せに暮らしたそうです。

あらすじを簡単にまとめると…

アリババはあるとき、盗賊達が財宝を隠している洞穴の、入り口の岩を動かす呪文を知ります。呪文を唱えて金貨を持ち帰ると、羨ましがった兄のカシムも洞穴へ向かいますが、盗賊達に見つかって殺されてしまいます。盗賊達に命を狙われるアリババですが、賢い召使いモルジアナが機転を利かせ、最後には盗賊達を皆殺しにすることに成功。アリババの息子はモルジアナと結婚し、アリババの一家は幸せに暮らしました。

主な登場人物

子ども向けの物語としては、比較的長編ですが、アリババやモルジアナなど、特定の人物を中心に話が展開していきます。主な登場人物をおさらいしておきましょう!

アリババ

カシムの弟。貧しかったが、盗賊の財宝を見つけてお金持ちになる。

カシム

アリババの兄。裕福だったが、盗賊の財宝を持ち帰るのに失敗して殺される。

モルジアナ

カシムの家の賢い召使い。機転を利かせてアリババを盗賊から守り、のちにアリババの息子と結婚する。

盗賊

洞穴に財宝を隠していた。頭を含めて40人。アリババを殺そうとしたが、モルジアナに殺されてしまう。

『アリババと40人の盗賊』を読むなら

『アラビアンナイト』の中でも世界中で有名な『アリババと40人の盗賊』。各出版社から、様々な語り口やイラストで、絵本が出版されています。

『アリババと40人のとうぞく(世界名作おはなし絵本)』(小学館)

赤坂三好によるイラストが物語とよく合い、ますます物語に惹き込まれます。

『アリババと40人の盗賊』(こぐま社)

馬場のぼるによる美しい色合いの絵と、テンポのいい語り口が魅力的。


小学館世界J文学館 アラビアン・ナイト(電子版)

1冊に125作品をおさめた『小学館世界J文学館』に収蔵されている「アラビアン・ナイト」電子版。このタイトルだけを単独で購入することもできます。

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『アラビアンナイト』の魅力とは?

『アラビアンナイト』の起源ははっきりしませんが、様々な国や人により、再話や加筆を経て今日の『アラビアンナイト』があります。『アラビアンナイト』は内容のおもしろさだけではなく、舞台となっているアラブの世界そのものも魅力的。幻想的な世界観は、まるで「実在する夢の国」のようです。

魔神が出てくるランプや空飛ぶ絨毯。何百年にもわたって人々を魅了してきた物語はどれも美しく、物語を通してアラブの独特で華やかな文化を感じることができます。

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構成・文/伊藤舞(京都メディアライン)

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