幼稚園の教諭ではあったが、我が子の子育てとなると話は別
筆者は約20年幼稚園教諭をし、現在は小学校で学習支援員(個別で算数を教える)をしながら、5歳の息子の子育てをしています。
幼児期に大切なのは「経験」を通して学ぶこと
「幼稚園教育要領」を元に、幼児は遊びや生活の中での「経験」を通して、学ぶことが大切とあります。そのため、将来を考えて先取り学習をさせたいと、幼児のうちから算数のワークブックなどをやらせても、全く興味を示さないなんてこともよくあります。
そう頭では分かっていても、我が子となると話は別(笑)。つい、「数」や「文字」に興味を持ってくれないものかと、いろいろと働きかけ、試行錯誤してしまいます。
また、筆者は現在、小学校で学習支援員(個別で算数を教える)をしています。そこで分かったこともいくつかあり、そんな知見をもとに、遊びや生活の中でどうやったら、「数」や「文字」に子ども自身が興味を示すのかをご紹介します。
幼児に「数」の興味を持たせるアイデアとは
幼稚園の教諭時代、「うちの子は100まで数えられるので、『数』が分かっています」と保護者の方がおっしゃられることもしばしば。ところが、実際には子どもはただ、呪文のように数を言っているだけ。「数」への理解がきちんとできていない、ということはよくありました。
また、小学校で学習支援員をしているとき、算数が苦手な子は、生活の中で数字に触れる経験が足りないのでは!?と感じることもあります。
生活の中身に近い、言葉に置き換える
例えば、「単位」の学習で、cmが出てきたら、
「A君の靴は、◯cm」
「A君の身長は、△◯cm」
などと、生活の中身に近い表現に変えると、「これくらいの長さか~!」と感覚的に分かり出し、算数に興味をもって学習し出すことも。普段から、耳に入っていることに置き換えるだけで、難しいと感じにくくなるようです。
他にも、文章題などで「知っている言葉が出てくること」や「文章からイメージができること」が学習への興味へとつながっていると感じます。
我が子が「数」へ興味を持った方法
幼少期に、いかに生活の中で豊かな経験や楽しい経験をしているのかが、小学校での学習の土台、しいては学習の理解や意欲につながります。
そのため、幼児期には「数」の概念を理解しながら遊んだり、生活をしたりすることが重要だと考えます。実際に私が息子と遊んだアイデアや幼稚園で幼児と楽しんだ遊びをいくつかご紹介します。
幼児に「数」の概念を意識させるには、「順序数」(ものの順番を表す)と「集合数」(ものの集まりの大きさ)を理解することが大切です。
幼児は、順序数はすでに身についていることが多いのですが、「3」という読みが、実際の数量「3こ」という集合数とイコールであるということを理解していない子もいます。
そのため、家で、集合数も理解しているかな?とチェックするのがポイント。それも「数って楽しい!」と幼いうちから感じさせながら集合数の理解もさせられたらと思います。
アドベントカレンダーで「順序数」を学びながら遊ぶ
なかなか数に興味を示さなかった息子に、3歳のクリスマスにアドベントカレンダーをプレゼント。これが息子に大ヒットしました!
毎日楽しみにし、「今日は何?」「明日はどこ?」と聞き、私と一緒に数字(日付)を探すようになりました。
アドベントカレンダーがなくても、小さな袋にお菓子を入れ、数字(日付)をつけておき、毎日のおやつタイムに利用するのもおすすめです。手作りのアドベントカレンダーでも十分楽しめますよ。
もちろん、普通のカレンダーでも◎!
カレンダーに予定を書き込み、子どもと予定を確認したり日数を数えたりするだけでも、日にちや数、「昨日」「今日」「明日」などの呼び名などが耳に入るので、自然と分かるようになると思います。
トランプで「集合数」を学びながら遊ぶ
「『3』と言ったら『3』のカードをとる」というようなトランプで単純なカルタ遊びをします。ですが、本物のカルタよりハードルが低く、幼児にはぴったり。きっと喜んで遊んでくれることでしょう。
トランプは、「数字」と共にその数だけマークも描かれているため、見てすぐ集合数を感じることができます。これで、集合数と数字をつなげやすいのです!
幼児は、数字の「3 」を「サン」と読む、そして、数量の3こと同じであるということを、頭の中で考えながら遊ぶため意外と難しいのです。
サイコロで「合成」や「分解」遊び
サイコロも実際の数のぶんだけ「●」が描かれています。よって、集合数を見て感じることができます。「裏目の数」を使って「合成」や「分解」を学べる遊びをするアイデアもあります。
①サイコロの裏目の数を使う遊び
「合成」や「分解」と聞くと、難しそうと思われがちですが、サイコロはどの面も裏目の数を足すと「7」になっています。例えば、「1」の裏は「6」など。サイコロで繰り返し遊んでいると、「1」を見ただけで「裏は6」と分かるようになるでしょう。
これが、後々の算数の学習「合成」や「分解」につながり、学ぶ楽しさを感じるきっかけになると思うのです。
●数の「合成」や「分解」とは?
小学1年生の教科書では、1から10までの数を習った後、「数の合成や分解」を勉強します。例えば「7」は、1と6を合わせた数と考えることを「合成」といいます。また、「7」を1と6に分けて考えることを「分解」と言います。合成・分解が上手く行えるかどうかは、のちに、足し算・引き算を学ぶときにも重要となってきます。
サイコロは表の数と裏の数を足すと「7」になるので、例えばすごろくで、「3」(表)が出たら「4」(裏)進むというルールで遊んでいるうちに、裏を見なくても数が予想できます。結果的に7がどんな数なのか、分かるようになるのです。
②2個のサイコロで「すごろく」遊び
普通にすごろく遊びにサイコロを使うのも楽しいのですが、サイコロを2つ用意し、合わせた数だけ、進むすごろく遊びも楽しいですよ。
余談ですが、息子と遊んだ時に「サイコロを振って!」と言ったら、サイコロをずっと手の中でコロコロしていました(笑)。言葉の学びにもなりますね。
数を使った遊びは無限大
保護者の方が、遊びや生活の中で言葉を豊かにしようと意識することで、子どもは変わってくるはず。
子ども自身が「面白い!」「知りたい!」と感じれば、どんどん吸収していきます。
今回ご紹介した遊び以外にも、「神経衰弱」や「現金を使った買い物」など、数を使った遊びは無限大。中でも、食べ物を使った遊びはおすすめですよ。園でも、子どもにとって食べ物は重要なので、食べ物だと数が分かるということがよくありました(笑)。これなら我が子は興味を持つかも!? というものを見つけ、数遊びをぜひお試しください。
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文/カピバラ