次の夢として「自分の名前を冠したスケートリンク」の開設に挑戦
フィギュアスケートの選手として若くして日本を制し、世界に挑戦した浅田真央さん。選手として、そしてスケーターとして活動していくなかで「こんなスケートリンクがあったらいいな」という思いは常に持っていました。
選手時代にも海外で現地のコーチからよりよい練習環境を求めて日本からやってきた浅田さんに「いつか自分のリンクを作ったらいいよ」いう言葉をかけられたこともあったそうです。その言葉は心に残っており、ずっと考え続けていました。そして選手としての引退後、自分がスケーターとして選手たちに次に何ができるのかな?と考えた結果、自分のスケートリンクを作るというずっと抱いていた夢の実現に向けて進み始めました。
その名も自らの名を冠した「MAO RINK」を実現するためのプロジェクトの全貌がついに発表されました。
今回の「MAO RINK PROJECT」を通じて浅田さんが実現したいことは、リンク作りだけではありません。
さらに3つ、目標があります。
1.スクール
5歳からフィギュアスケートはじめ、フィギュアスケートとともに成長し、現在の自分が在るという浅田さん。この「MAO RINK」でもスケートを好きになってもらい、スケートを応援してもらいたいという気持ちがあるといいます。MAO RINKにスクールを作ることにより、たくさんの人に来ていただき、スケートを楽しんでもらいたいと考えています。
2.アカデミー
スクールに参加した子どもたちから、さらに上を目指し、いつか世界で活躍できるようなスケーターを育てていきたい。「MAO RINK」で目指す整った環境で世界的なスケーターに育ってほしい。
3.アイスショー
いま浅田さんは自身が企画・演出に関わっている「BEYOND」のアイスショーで全国を回っていますが、フィギュアスケートのエンターテインメントとしての魅力を伝えていくために、このMAO RINKでもアイスショーという形でフィギュアスケートを届けられればと考えています。
ただ場所を作って終わり、ではなく、浅田さんに続く子どもたちの夢を支えるプログラムの実施も予定しています。
世界を目指すための「充実した練習」ができる、選手目線の施設
「MAO RINK」はメインリンクとサブリンクの2つのリンクと、それに併設したレストラン、スタジオ、トレーニング施設、ギャラリーショップで構成されています。
メインリンク
メインリンクは国際規格サイズで、大会やアイスショーの開催も可能。観客席も1000席程設けるので、たくさんの人にきてもらうこともできます。メインリンクは黒を基調にし、世界で活躍するスケーターが集中して取り組んでいただけるような環境となっています。
サブリンク
メインリンクよりは小さなサイズ感で作られたサブリンクも併設されています。日本国内にあるサブリンクのなかでは一番大きなものになる見込みです。
トレーニング
世界を目指すためには、リンクの外での筋力トレーニングなども必要です。選手のときにこういったリンクがあればいいなぁと思っていたリンクの建物のなかにトレーニングできる施設を併設することで、より効率的な成長を促していきます。
スタジオ
スポーツである一方で表現力も求められる総合芸術でもあるフィギュアスケート。練習のなかでも浅田さんもバレエを習っていました。「MAO RINK」にはスタジオも作り、バレエやダンスなどの芸術が学べるプログラムも提供する予定です。
レストラン
スケーターを目指すとなると、一日中リンクにいることもあります。寒いリンクで滑り続けた身体を癒す美味しい食事を提供するレストランを作ることも、こだわりの1つでした。安心・安全で栄養バランスが揃っている食事は、近隣の方にも利用していただける店舗になります。
ショップ
浅田さんのグッズやフィギュアスケートのウェアなどを販売予定。
ギャラリー
浅田さんがこれまで獲得してきたメダルやフィギュアスケートの試合やアイスショーで着用した衣装を展示。
金・銀・銅をアクセントにあしらったクラシカルな雰囲気の建物
「MAO RINK」は、多摩モノレールの立飛(たちひ)駅から徒歩5分の場所に建設されます。まだ整地された状態ですが、2024年秋のオープンを目指しています。
今回発表されたイメージ図によると、全体的にはクラシカルな雰囲気で、大きなガラス張りのアーチ窓を配し、室内からでも外の自然がよく見えて、開放感を感じる設計となっています。
外が見える大きな窓があることは浅田さんがこだわったことの1つで、「スケーターはスケートリンクにずっといることが多いので、少しでも外の雰囲気を感じて、気持ちをリフレッシュしてほしい」という思いが込められています。
また、アクセントとして建物には金・銀・銅のカラーが使われています。これは世界で金・銀・銅のメダルが取れるようなスケーターがMAO RINKから育っていってほしいという思いを表しています。
また、窓の外から見える周辺の自然に加え、敷地内には植栽を多く配しています。これも、「毎日練習がつらいなとおもうこともあると思う。そんなときに花や緑を見てもらって、少しでも気持ちが明るくなってスケートリンクに入ってもらいたい」という自身の経験からスケーターの心に寄り添ったもの。
MAO RINKに併設されたレストランは、大きなテラス席つき。お天気の良い日にはテイクアウトして外で食べたり、春には満開の桜を見ながらお花見スポットとしても楽しんでもらいたいそうです。
次なる世代に向けた浅田さんの挑戦、まずはどんなリンクとなるのか楽しみですね!
MAO RINK
建設予定地 :東京都立川市泉町935-1ほか
敷地面積 :約9,000平米(予定)
開館時期 :2024年秋オープン予定
取材・文/北本祐子