子どもの問題行動を改善するほめ方のヒント。1日5分の親子セラピーで「やるべき」5つのスキルPRIDEとは【親子相互交流療法PCITから学ぶ】

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多くの科学論文でその効果が証明されているPCIT(親子相互交流療法)。アタッチメント(愛着)理論に基づいて、親子の良好な関係の構築や、子どもの行動を改善するペアレント・トレーニングなどを取り入れたセラピーで、12歳までの子どもに効果があるというエビデンスがあります。そのPCITのプレイセラピーで重視されている5つのスキルとは、どんなものなのでしょうか。

※ここからは『1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て』(著/加茂登志子・小学館)の一部から引用・再構成しています。

1日5分の「特別な時間」とは

PCIT(Parent-Child Interaction Therapy:親子相互交流療法)は、問題行動が激しい子どもと、その子どもに対処できない親を対象としている治療ですが、その内容は子育て全般にとても役立つものです。

PCITの第1段階のCDI(子ども指向相互交流)では、「子どもが親をリード」する「特別な時間」で、遊びながら親子の関係性を改善します。

「特別な時間」は、「お母さんは自分のことをしっかり見てくれる」「お父さんは自分のことを気にかけてくれる」と感じることができるように、必ず一対一で行います。きょうだいがいる場合も、たとえば保育園から帰ってきてすぐの時間、お兄ちゃんがお風呂に入っている間など、一対一になれる5分間にやります。

「特別な時間」のDoスキルとは

PCITの「特別な時間」は2~3種類のおもちゃを用意して、子どもに好きなものを使って遊ばせます。その際に親がとるべき5つのアクション=Doスキルがあります。英単語の頭文字をとって「PRIDEスキル」とも呼ばれています。

ここでは5つのPRIDEスキルのひとつ、「賞賛(Praise)」についてみていきましょう。ふだんの親子のやりとりや、子どものほめ方に応用できる大事なポイントが見えてきます。

賞賛(Praise)~ほめる理由を明らかに

PRIDEスキルのPは、賞賛(Praise)です。賞賛とは、子どもの言動や行動、作品、特性をほめることです。

賞賛には、一般的賞賛と具体的賞賛の2種類があります。たとえば、「ありがとう」「お母さんにおもちゃを貸してくれて、ありがとう」はいずれも賞賛にあたりますが、この2つの違いがわかりますか?  後者のほうが、何に対してありがとうなのか、ハッキリと特定してほめています。これが具体的賞賛であり、PCITではこれを使っていきます。ちなみに、前者は一般的賞賛といいます。

「どこをほめたらいいのかしら?」と思う場合は、子どもの遊んでいる様子に注目してみましょう。もしおもちゃをやさしく大事に使っていたら、「〇〇ちゃん、おもちゃをやさしく大事に使ってくれて、ありがとう」と声をかけると、子どもはまたほめられたくて、もっとおもちゃをやさしく使うようになるでしょう。

このように、具体的にほめた行動は、やる回数が増えていきます。これを「強化」といいます。親が、うれしい、ありがとう、と気持ちやお礼を伝える言葉も、子どもにとっては賞賛にあたります。

子どもの言動や行動だけでなく、子どもの作品をほめるのも良い方法です。「かわいいおうちをつくったね」「〇〇くんのつくったタワー、お父さん好きだよ」のような声かけも、具体的賞賛に含まれます。

はじめのうちは、ほめ方がワンパターンになってしまってもかまいません。不適切な行動以外は全部ほめる、くらいの気持ちで具体的賞賛にチャレンジしてみてください。でも、一般的賞賛が悪いわけではありません。ほめる気持ちはとても大事です。

PCITとは

本記事ではPCITの第1段階、CDI(子ども指向相互交流)における5つのDoスキルのうち、「賞賛する」スキルについて見てきました。

PCITはParent-Child Interaction Therapyの略称で、日本では親子相互交流療法と訳されます。遊戯療法(プレイセラピー)と行動療法に基づいた心理療法で、親子の相互交流を深め、その質を高めることによって、子どもの心や行動の問題、育児に悩む親(養育者)に対し、改善するように働きかけます。

PCITは、親子にクリニックに出かけて直接対面で行う形が基本ですが、米国ではセラピストが家庭訪問で行うこともあり、PCITルームを装備したバスで訪問するセラピストもいます。また、近年米国では家庭とクリニックをインターネットで結んだ遠隔セッションも頻繁に実施されるようになりました。事前の準備を入念にしておけば、スマートホンとワイヤレスイヤホンで比較的簡単に実施できます。

日本でもコロナ・パンデミック以降、インターネットPCITの実施数が急に増えてきました。

PCITをやっていてしみじみ感じるのは、お父さん、お母さんの言葉は子どもにとって魔法のような力を持っているということ。そして、子どもの反応や言葉も、親にとってとても大きなインパクトがあるのです。
実際にやっていただければ、子どもの思わぬ反応が見えてくると思います。お父さん、お母さん、どうぞご自身の言葉が持っている大きな力を感じてみてください。

『1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て』あとがきより

※ここまでは『1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て』(加茂登志子・著/小学館 )の一部を引用・再構成しています。

育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て

1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCITから学ぶ子育て』は、実際のセッションを体験する予定はなくともPCITに関心がある方に向けて、家で手軽にPCITのスキルを学び、日常の子育てに使えるように構成されています。

特に2~7歳において多くの科学論文でその効果が証明されおり、現在ではヨーロッパ、オーストラリア、台湾など世界に広がっています。日本でもメンタルクリニック、療育施設、児童相談所などで採用されています。

「一生懸命に子育てしているのに、どうして上手くいかないのだろう」と悩んでいる方はぜひ、日常の子育てにPCITのメソッドを取り入れてみませんか。

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◆著者紹介

加茂登志子(かも・としこ)

東京女子医科大学卒業。元東京女子医科大学精神神経科教授。
東京都女性相談センター嘱託医、東京女子医科大学附属女性生涯健康センター所長を経て、2017 年若松町こころとひふのクリニックPCIT 研修センター長および一般社団法人日本PCIT研修センター所長。PCIT International グローバルトレーナー。
著書に『1日5分で親子関係が変わる!育児が楽になる!PCIT から学ぶ子育て』(小学館)がある。
日本PCIT 研修センター公認サイト https://pcittc-japan.com/

構成/HugKum編集部
イラスト/オグロエリ

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