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羽多野さんは小さな頃、どんなお子さんでしたか?
想像力が豊かな子どもだったと思います。生まれたのが長野の小さな農村で、周りにお店なども全然なくて…。特に登下校の時間がすごく退屈だったので、想像力を駆使して楽しんでいました。頭の中で架空のテレビ番組を作って、そこに登場するキャラクターを考えてみたり。
あとは木登り。うちの裏に祖母の畑があって、その片すみにクルミの木があったんです。木の上からは遠くまで見渡せて、その景色が大好きでしたね。祖母からは「危ないから、早く降りてきなさい!」とよく𠮟られていましたが…。
小学生のころから将来の夢は声優になること
幼いころはすごく歌が好きな子どもで、保育園から帰ってくると、教わったばかりの歌を家族に聴かせていたらしいです。歌う職業に憧れていたのかもしれないですね。
小学校中学年くらいには声優になりたいと思うようになりました。当時は声優という職業にピンとこない子も多かったのですが、うちはたまたま母親が声優に詳しくて。
僕自身もアニメが大好きで、アニメ映画を観ては声まねをして遊んでいました。同じ作品を何度も観てセリフを覚えてしまい、登場キャラクターに合わせてコロコロ声を変えながら演じ分けていたようで…。それをみて母親が「あなた、声優になりなさいよ」と。たぶん冗談で言っただけなんですが、その言葉があまりに強烈で、自然と「声優になりたい!声優になるぞ!」って思いこんじゃいました。
羽多野さんとパディントンとの出会いは?
実写映画のパディントンが大好きで観ていました。もっとさかのぼると、小学校低学年の頃、テレビの再放送でアニメを観ていた記憶があります。CGではない、手描きの作品でした。ちょっとシニカルで、当時は大人っぽい作品だなぁと感じていましたね。
パディントンの役が決まったときの気持ちは?
感激しすぎて、最初は信じられない思いでした。2021年の『ベビーブック』付録DVDに『パディントン』のアニメが収録されたときも、僕が声を担当させていただいたのですが、それはパイロット版。その後にシリーズ化が決まり、改めてオーディションがあったんです。
「シリーズ版のパディントンも、どうしても演じたい!」という熱意が監督やスタッフに伝わりますようにと、オーディションに臨みました。
マネージャーから受かったと聞いた瞬間は、今でも忘れられません。仕事の合間でコーヒーショップにいたのですが、うれしくて人目もはばからず泣いちゃいました。もう号泣ですよ。すぐ後に別の仕事があったのですが、少し鼻声になってしまって。「訳は言えないんですが、うれしいことがあったんです」って、そちらのスタッフには謝りました。
「パディントン™ のぼうけん」でパディントンを演じる時に気をつけていることは?
吹き替えの収録時は、元の英語のセリフを何度も聞いて、ニュアンスを大切にしようと努めています。英語版の声優であるベン・ウィショーさんは表現力が本当に豊か。例えば、台本上では同じ「うわー」と書いてあるセリフでも、声がひっくり返るような高い声で言ってみたり、反対に低い声で自分の中に落とし込むような言い方をしてみたり。
英語のセリフをそのまま日本語に置き換えるのは難しいですが、パディントンのリアクションに関してはなるべくウィショーさんの「味」をうまく表現したいと考えています。
パディントンが庭中の芝を刈ってしまうお話では、日本語の台本に「うわー」「あー」「おおー」といったセリフが数ページにわたって並んでいました。映像ではパディントンの表情が細かく描かれていて、それがかわいくて面白くて…。
収録の前に家で映像を見ながら練習するのですが、セリフを言いながら思わずクスっと笑ってしまうほど。声のお芝居はもちろんですが、映像の表現も楽しんでほしいですね。リアクションが多いお芝居は大変ですが、楽しいし、やりがいがあります。
アニメにはパディントンをはじめ、魅力ある個性的なキャラクターがたくさん登場します。ぼくが気になるのは、少し気難しいお隣のカリーさん。パディントンが優しさと礼儀正しさをもって突き進んでいくと、カリーさんも最後は根負けしちゃう。二人が何かを成し遂げたときに、とてもあたたかい気持ちになれるんですよね。
演技について、監督からはどんなリクエストが?
表情豊かなパディントンがさまざまなチャレンジや冒険をして、それに周りの人たちが巻き込まれていく。でも、周りの人たちは決してパディントンのことを悪く言わないんですよね。監督からは、「みんなが大らかな気持ちで受けとめる、すごく優しい世界が広がっているので、パディントン自身が深刻になりすぎないでください」と言われました。本人は礼儀を持って、みんなのためにと思って行動をしているので、その絶対的な自信を忘れないでと。
パディントンは愛や感謝の気持ちにあふれている
たった一人でイギリスにやってきたパディントンは、新しい家族や仲間のことも、故郷にいるルーシーおばさんのことも、とても大切にしています。愛や感謝の気持ちにあふれているところが本当に素敵だと思うんですよね。演じているぼくもそういう気持ちを忘れてはいけないと、いつも思い出させてもらっています。
パディントンは思い立ったことをすぐに行動に移します。結果はうまくいかないこともあるけど、その一歩を踏み出せるところはすごくステキだと思うんです。そんなパディントンをブラウン一家や周りの人たちが包み込む、優しさあふれる世界をぜひ家族みなさんで楽しんでほしいです。一度観たら、登場する人達のことをきっと好きになるはず!
そんなパディントンと仲間たちが作り出す優しい世界を、家族みんなで楽しんでもらえたらうれしいです。
羽多野さんプロデュース!パディントン™の新グッズがかわいい♡
グッズのプロデュースにも力を入れている羽多野さん。「お子さんから大人まで、どんな方にも普段使いしてもらえるものを意識して、イラストを選びました。発売されたら、僕も絶対使います!」
クリアポーチやミニトートは大人気発売中!パディントンの声で読み札が読まれる、音声付かるたの企画も進行中だそう。こちらも楽しみですね♡
くわしくは https://www.paddington-store.jp/
『パディントン™のぼうけん』アニメは「Amazon Prime Video 」「Hulu」などで配信中
テレビ絵本が10月16日(月)に発売!
『パディントンのぼうけん』初のテレビ絵本が発売!
NHK Eテレでの放送や各動画配信を通して、子どもたちに人気上昇中のアニメ『パディントンのぼうけん』。
言わずと知れた児童文学の名作『くまのパディントン』を原作とし、海外で制作された作品です。
ロンドンでブラウン一家と一緒に住むことになったパディントンの、刺激的で楽しい毎日を描いています。
好奇心旺盛で素直なパディントンは、勘違いや怖いもの知らずな行動から、何かと騒動に巻き込まれますが、パディントンのあきらめずに頑張る姿や、家族や近所の人々のやさしさがまるく収め、最終的にみんなの絆が深まります。
登場人物のひみつや、物語の世界観が気になっている人におすすめの1冊です。また、「パディントン、運動会に出る」のエピソードも収録していますので、お子さんへの読み聞かせにもぴったりです。
『めばえ』9月号/『幼稚園』10-11月号
取材・文/桑原美保 撮影/タナカヨシトモ ヘアメイク/八巻明子(emu Inc.)
© P&Co. Ltd./SC 2023
文・構成/HugKum編集部