【10年間リバウンドなし】謎のヘルシーレシピ「きまかごはん」って一体、何?子どもにもいいこと尽くめだった!

今秋、気になるレシピ本が出版されました。「作りおきダイエット」の先駆者である料理研究家の柳澤英子さんの最新刊『毎日「き・ま・か」ごはん 60歳からは「やせる」より「元気」を優先!』です。いまから8年前に出版された『やせるおかず 作りおき』シリーズ(通称「やせおか」)は、260万部の大ヒットを記録し、雑誌やテレビで柳澤さんを観ない日はなかったほど。26キロやせを成功させてから約10年、いまでも適正体重と元気をキープしている著者の健康法は、どうやら「き・ま・か」ごはんにあるらしい、というのがタイトルからもうかがえますが、「き・ま・か」って、一体なに?? 

10年間リバウンドなしの理由を探ってみたら・・・・

最初にHugkum読者様にお伝えしておきたいのは、「60代のダイエット本?」と、思うなかれ、ということです(笑)。柳澤さんの本といえば、「やせおか」のイメージが強いため、本書もダイエット本の続編という先入観を持つ方も多いかもしれません。ですが、ちょっと待った~!この本には大きなダイエットを経て、健康についてさらに深みを増した、柳澤さんの食への哲学(?)のようなものを感じとることができました。

激変(?)した当時の柳澤さん。

 

ダイエットを経験したことがある方ならわかると思いますが、成功のあとには、やがてリバウンドがついてくるもの。著書である柳澤さんのスゴいところは、10年経ったいまも当時の体重を維持しつつ、以前より「元気」になっている、点。ご自分でも「なぜリバウンドしないんだろう? そしてなぜ当時より元気で毎日機嫌よく過ごせているんだろう??」と不思議に思い、継続的に食べている食事内容を掘り下げて調べたところ、「きのこ、豆、海藻」を使った献立が多いことが分かったというのです。

あ、それで「きまか」か! き=きのこ、ま=豆、か=海藻、なんですね!!

管理栄養士ライターとして執筆活動をしている私にとっても、この3食材をどう毎日の食事に取り込むかは気になります。ワクワクしながら、ページを読み進めていきました。

ビタミン・ミネラル・食物繊維が多い最強食材とは

「ビタミン・ミネラル・食物繊維をしっかり摂って、高タンパク低糖質」――これが、柳澤さんの食に対する考え方の基本のキ。たしかに、私が持つ栄養学の知識と照らし合わせてみても、「きまか」に含まれる栄養素には、ビタミン・ミネラル・食物繊維が多いんです。

低カロリーで食物繊維が多いと言えば、これ!(『毎日「き・ま・か」ごはん』より)

まず、1つ目の「き=きのこ類」は、低カロリーで食物繊維が多い。食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があり、きのこ類には2つの食物繊維が入っているといわれます。また、ビタミンDも多く、これがカルシウムの吸収を促す働きがあります。ビタミンDはきのこ類や魚介類、卵黄以外の食材にはほとんど含まれていないので、積極的に摂取したい栄養素です。

豆と言えば大豆だけど、柳澤家ではひよこ豆も一軍で登場(『毎日「き・ま・か」ごはん』より)。

2つ目の「ま=豆類」は、ビタミンKが豊富(特に納豆)。ビタミンKは、カルシウムを骨とくっつきやすくする働きがあり、ビタミンDと合わせて骨の健康維持に欠かせない栄養素です。また豆類は、良質な植物性タンパク質です。タンパク質というと、動物性タンパク質ばかりをメインに考えがちですが、植物性タンパク質は日本人に馴染みのある栄養源なので、育ち盛りのお子さんへの献立にも日常的に加えたい優良食材のひとつです。

「好物はわかめ」とインタビューの度に口にする柳澤さん(『毎日「き・ま・か」ごはん』より)。

最後に3つ目の「か=海藻」ですが、きのこ同様に低カロリーで低糖質。特筆すべきは、ミネラルが豊富だということ。鉄やカルシウム、カリウムなど多くの栄養素が含まれているため、これも食卓への登場回数を増やして欲しい食材。

このように「き・ま・か」は、昔から日本人が食べ親しんできた身近な食材なんですね。しかし、私たちの食事は欧米化に傾きがちなので、つい不足しがちな栄養素でもあるんです。そうか、柳澤家の健康維持の秘訣は、この3食材にあったのか・・・・ナットク!

包丁いらずで調理できるのもうれしい!

本書を読んで、他にも気づいたことがあります。それは、料理の写真が美味しそう! ・・・・なのは大前提なのですが、とにかくレシピが簡単すぎます(笑)。さすが、「作りおきの達人」と思わせるテクニックが満載なんです。

たとえば、きのこは数種類を合わせてミックスにし、冷凍保存しておきます。使いたい時に取り出してレンチンするだけ、とか。塩蔵わかめに関してもキッチンバサミでチョキチョキと切ったら容器に入れて保存し、麺類に足してみるとか。蒸し大豆も一気に蒸して小分け冷凍し、いつものサラダやご飯ものにプラスするなど。アイデアが盛りだくさんなのです。確かに、きのこも豆も海藻も包丁を使わずに調理ができる食材なので、忙しい現代人にピッタリなんですよね~。

作り慣れた料理にちょいちょいと「足す」のがコツ

ところで、「きまか」を使った料理って、何を思い浮かべますか? とかく、ヘルシー食材として扱われるこの3食材は、煮物や酢の物など、和食のイメージが強かったりします。見た目に地味な料理って、子どもたちは結構、苦手。大人でも、「健康に良いのは分かっていても、まあ毎日は食べたくないなあ」というのが本音ではないでしょうか。

そんな方々に朗報です! 本書のレシピは、洋風メイン。もくじを読むと、キーマカレーやお好み焼き、ソース焼きそば、グラタンなど、子どもたちが大好きな人気メニューがずらりと並んでいます。そう、いつもの肉や魚、卵料理に、ちょいちょいと「きまか」を「足して」いるんです。そうだった、柳澤さんのレシピは「やせおか」の時も、「やせる」だけではなく、作り方が超カンタンで、敷居が低いのに美味しい点が支持されたのだったと思い出しました!

そこで、私もさっそく作ってみました。

まずは、「豚のしょうが焼き」です。え、普通? いえ、豚肉を焼く時にきのこを一緒に入れて焼いてしまうというラクちんレシピです。付け合わせには、スライサーで千切りにしたキャベツをたっぷりと添えるのもレシピ通りにトライしてみました。

作って、食べてみた感想は「バランスがいい」ということ。豚肉のしょうが焼きだけを食べるのではなく、きのこやキャベツなどの生野菜もしっかり摂れます。お肉の動物性タンパク質は、成長期のお子さんたちにとっては欠かせない栄養素。きのこや野菜が苦手でも肉と合わせることで食べやすくなるのもいいですね。

「豚のしょうが焼き」。(『毎日「き・ま・か」ごはん』より)。

もう1つは、「わかめペペロン」。ネーミングのかわいらしさに惹かれて作ってみましたが、わかめを使ったペペロンチーノです。わかめというと、酢の物や味噌汁などでの登場回数が多いかと思いますが、実は油とも相性抜群なんです。お子さんには少しスパイシーかもしれませんので、これはパパとママの晩酌用にオススメです。

「わかめペペロン」。(『毎日「き・ま・か」ごはん』より)。

「ラクしておいしい料理がモットー」という柳澤さんのレシピは、とかくめんどくさくなりがちな毎日の料理作りから少し開放してくれそうな期待感にあふれていました。世代を超えて「元気」をチャージできる「きまか」レシピの数々。これからの献立づくりの参考にしてみてはいかがでしょうか。

(文/川越光笑(管理栄養士・たべごとライター)+学芸編集室)

 

柳澤英子|小学館|1,760円(税込)

人気ダイエット料理家の60代リアルごはん高タンパク低糖質、食物繊維たっぷりの食生活を支えるのは、定番料理に仕込んだ3つの食材「き・ま・か」にあり!
52歳で26キロやせてから10年。大人気ダイエット料理研究家が60歳を過ぎていま食べているものを集めたレシピ本。

著者は2015年発売の『やせるおかず』シリーズ以後、一度もリバウンドしていません。そしていつも、ツヤツヤの黒髪。なんと、人生で一度もヘアーカラーリングをしたことがないとか。そして呪文のように(?)「わかめが好き。納豆が好き」と幸せそうに食し、カサ増しの材料としてよく食べていたきのこ類も、いつのまにか好物になっていたそうです。
本書には、そんな経験(と少しの反省)がしっかり生かされた、人生後半のターンに入った私たちの食生活のキモとなる知恵とテクニックが詰め込まれています。

 

柳澤英子 YANAGISAWA EIKO
雑誌の料理ページやレシピ本の編集を経て、2002年『ひとりごはん』(西東社)で著者としてデビュー。忙しい人でも苦にならずに作れる簡単レシピを提案。2011年、52歳のときに食を楽しむ独自のダイエット法を始め、1年後には26キロ減の47キロに、その後大きなリバウンドもなく、太りにくい体質と健康をキープ。このダイエットレシピを書籍化した『やせるおかず 作りおき』シリーズ(20151月~計10冊 小学館)は、260万部超の大ベストセラーに。近著に『料理のその手間、いりません』『映える!おいしい!こんにゃく食堂』(どちらも小学館)、『柳澤式ラクやせオートミールレシピ』( 扶桑社)など。

 

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