4児の母で現パナソニックHD執行役員の松岡陽子さん。仕事と子育ての両立で苦悩した経験から生まれたコンシェルジュサービス「Yohana」とは?

2019年パナソニックへ入社し、現在パナソニックHD執行役員の松岡陽子さん。2020年にはパナソニック100%出資のスタートアップ「Yohana(ヨハナ)」を設立しました。4児の母でもあり、仕事と育児と家事を両立するにはどうしたらいいか考えあぐねた結果生まれたサービスが、ファミリーコンシェルジュ「Yohana」とのこと。子育てと仕事を両立するコツやYohanaはどんなサービスなのかなどを伺いました。

アカデミックの世界から一転、シリコンバレーのビジネスの世界へ飛び込む、松岡陽子さん

松岡陽子さんは、数学が得意だったことから、ロボット工学を学ぶためアメリカの大学へ進学します。アメリカの大学でAI・ロボットの研究者となり、天才賞と呼ばれるマッカーサー賞を受賞します。

Google創業者から突然電話が!

松岡さんは、突然、2009年末Google創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンから「明日、会える?」と電話をもらい、共同創業者として、次世代のイノベーション創出を目指すGoogleの研究開発部門「Google X」を設立することになったそう。

その後、Appleの副社長、Google NestのCTO、Googleの副社長などシリコンバレーにおける要職を歴任。

2019年10月には、パナソニック株式会社(現パナソニック ホールディングス株式会社)へ入社しパナソニックHD・執行役員となり、2020年に「Yohana」を設立します。

Yohanaの ミッションは、「今を生きる家族がしあわせであるように、希望のある日々をつくりつづける」とのことです。
Yohanaのミッションは、「今を生きる家族がしあわせであるように、希望のある日々をつくりつづける」とのことです。

4児の子育てと大企業幹部との両立のコツは?

松岡さんは、4児の母でもあるというから驚き。子育てと仕事はどのように両立されていたのでしょうか。

当時働いていたスタートアップ企業では、産休育休制度が整備されておらず、子どもを抱っこしながらパソコン作業をすることは日常だったとか。
当時働いていたスタートアップ企業では、産休育休制度が整備されておらず、子どもを抱っこしながらパソコン作業をすることは日常だったとか。

–HugKum編集部:お子さんは18歳の双子の女の子、15歳と11歳の男の子と成長されましたが、やはり大変ですよね。家事や4人のお子さんのスケジュール管理はどうされているのですか?

松岡さん:スケジュール調整や平日の食事の準備はじっくり時間をかけてまとめて日曜日にします!

食事のことや送り迎え、仕事の打ち合わせなど、細かくスケジュールを決めるのですが、これをしておけば平日ラクになるんですよね。夫ともスケジュールは共有し、子どもごとに色分けしてカレンダーを見やすくしています。

–HugKum編集部:仕事と子育ての両立に欠かせないことはありますか?

松岡さん:自分にとって「何が一番大切か」を決めること

私が大切にしているのは「子どもとの会話時間」です。アメリカは車社会なので、学校や習い事に通う子どもたちの送り迎えが必要ですが、これは絶対私が担当するようにして、車の中でその日にあった出来事などを聞いてあげるようにしています。子どもと一対一の会話は車での移動中にできますが、家族みんなで集まることができる食事の時間も大切な時間。必ず、夕食は20時に家族そろって食事をしています。一方で、大切なことのために自分が諦めてよいことを決めて、躊躇わず人に頼ることも大切だと思います。

食事の時間は、電話も見ないという暗黙のルールも。※写真は松岡さんのInstagramより引用
食事の時間は、電話も見ないという暗黙のルールも。※写真は松岡さんのアメリカ版公式Instagramより引用

両立に悩んだ自身の経験から思いついたサービス「Yohanaメンバーシップ」とは

松岡さんが意外と感じたのは、アメリカも日本での子育てと同じくらい、大変だったとのこと。

「特に双子が生まれたときは、主人の両親も私の両親も傍に住んでいるわけではなかったので、頼ることができなく、いよいよギブアップと感じました。その時初めて、全部自分でやるのは諦めて誰かに頼らなければだめだ!と思って、家事代行やベビーシッターに依頼するようになりました」と語ります。

そのような自らの経験から思いついたのが、ファミリーコンシェルジュという「Yohanaメンバーシップ」というサービスだったそう。

アプリを通じて様々なタスクをコンシェルジュチームに依頼することができる。
アプリを通じて様々なタスクをコンシェルジュチームに依頼することができる。

次世代ファミリーコンシェルジュサービス「Yohanaメンバーシップ」とは

「Yohanaメンバーシップ」は、忙しい家族のくらしを専門チームがサポートするサブスクリプション型の次世代ファミリーコンシェルジュサービス。

エリアは?

2021年9月に米・シアトルで開始し、2022年にロサンゼルス、同年10月に全米規模に拡大。日本国内でも、2022年9月に神奈川県にてサービス提供を開始し、2023年9月よりサービス提供エリアを東京・埼玉・千葉に拡大。

どんなサービス?

–HugKum編集部:コンシェルジュということは、何かお願いできるということですよね。何個でもお願いを聞いてくれるのですか?

松岡さん:はい、なんでもどうぞ! 食・トラベル・教育・アクティビティなど。ご相談で1番多いのは、食事に関すること。例えば、1週間の献立を提案してくれ、食材リストを作ったり、ネットスーパーを使っている場合はそのカゴ入れまであなたの代わりに対応したりしています。

とにかく、今、あなたが抱えている“やらなくちゃいけないこと”を、いつでもなんでも、いくつでも頼んで良いのです。

–HugKum編集部:では、ファミリーコンシェルジュというのですから、家族の願い、子どもにまつわる相談でもOKなのですか?

松岡さん:もちろんです! 例えば、今夏もたくさんの自由研究の相談を受けました。家中のお悩みをまるごと、Yohanaに預けてみてください!

–HugKum編集部:家族のお願いもできるなんて、いいですね! 

パーソナライズされた家族専用のコンシェルジュ

実は筆者、取材後「Yohanaメンバーシップ」のサブスクに入会してみました! まずは、自分の父親の誕生日がせまっていたので、どんなプレゼントが良いか相談。すると、条件にぴったり合うギフトを3案も提案してくださり、すぐに選ぶことができました。3択まで絞ってくれると選ぶのも簡単です! 実感したことは、考える時間や調べる時間を換算したら、タイパもコスパも良いと思いました。

AIの時代が来る来ると言われていますが、アレクサやSiri、ChatGPTではまだできない、パーソナライズされた提案はありがたく、感動すら覚えました。

気になる方は、「Yohanaメンバーシップ」のサイトで詳細をチェックしてみてくださいね。

Yohanaメンバーシップ【公式】サイトはこちら>>

お話を伺ったのは…

松岡陽子|パナソニック ホールディングス 執行役員 Yohana株式会社/Yohana LCC CEO

UC Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)を卒業後、MIT(マサチューセッツ工科大学)にて電気工学とコンピュータサイエンスを専攻し博⼠課程修了(理学)。ハーバード大学の博士研究員を経て、カーネギーメロン大学助教授、ワシントン大学准教授として、人体・脳のリハビリを促すロボット機器の開発に携わる。ロボット工学と神経科学における研究成果が認められ、天才賞と呼ばれるマッカーサー賞を受賞。2017年Google副社長、2019年パナソニックに入社し、2020年Yohanaをファウンダー兼CEOとして設立。著作には、自身が「なりたい自分」になる生き方を綴った「選択できる未来をつくる」(東洋経済新報社)

松岡陽子さんの【公式】Instagram
Yohanaメンバーシップ【公式】Instagram

取材・文/森岡陽子 撮影/五十嵐美弥 構成/HugKum編集部

編集部おすすめ

関連記事