日周運動とは何?
日周運動とは、天体のどのような動きを指しているのでしょうか。似ている言葉「年周運動」もあわせてチェックしていきましょう。
天体の「見かけ」の動き
日周運動は、地球の自転によって起こる、天体の見かけの動きを表す言葉です。地球から観測したとき、全ての天体は東から西へと移動していき、1日経つと元の位置に戻ります。
もちろん、実際に天体が動いているわけではありません。動いているのは地球のほうで、地球が自転軸を中心に回転しているため、地上からはまるで天体が動いているように見えるのです。乗り物に乗っているとき、外の景色が動いて見えるのと同じと考えると、分かりやすいでしょう。
地球は約24時間かけて、西から東へ360度回っています。360を24で割ると15なので、地上からは天体が1時間に15度ずつ動いているように見えます。
年周運動もある
季節によって、星の見える位置が変わることを知っている人も多いでしょう。毎日同じ時間に同じ星を観測すると、見える位置が東から西へ少しずつずれていき、約1年で元に戻ります。
これは、地球が太陽の周りを公転しているために起こる天体の見かけの動きで、「年周運動」といいます。地球の公転周期は、365日です。そのため星の位置は1日に約1度、1カ月で約30度ずつ移動します。
季節によって観測できる星座が違うのは年周運動によって説明できる。
日周運動の基本
日周運動では、「天球」を用いて天体の動きを表すのが基本です。天球の概念と、実際の見え方を解説します。
まずは「天球」を理解しよう
天球とは、地球を中心として描いた、仮想の球面のことです。「地球以外の天体は全て天球上にある」と仮定し、地球上の観測者から見える、天体の位置や動きを表すために使います。
天球の半分は地平面より下にあるため、観測者からは見えません。観測者が一度に見えるのは、地平面より上の半分だけとなることも覚えておきましょう。
天球の分かりやすい例が、プラネタリウムです。プラネタリウムは半球状になっていて、内側のスクリーンに星を映すことで、地上から見た星空を再現しています。
なお天球では地軸(地球の自転軸)を北に伸ばし、天球と交わる点を「天の北極」、南に伸ばして交わる点を「天の南極」といいます。
見え方は緯度により異なる
日周運動の見え方は、地球上の緯度によって異なります。中緯度にある地域では、天体は東の地平線から出て南の空を通り、西の地平線に沈んでいきます。
ただし天の北極または南極の近くにある天体は、地平線に沈みません。極を中心に、北半球では反時計回りに、南半球では時計回りに円を描くように動きます。
北極や南極から空を見た場合、天体は地平面に平行な線を描くように動きます。ここではどの天体も、地平線を出たり沈んだりすることはありません。逆に赤道上では、全ての天体が地平面から垂直に上り、垂直に沈んでいきます。
日本ではどう見える?
日本からは、日周運動はどのように見えるのでしょうか。日本は北緯20~45度の間にあるため、日周運動の見え方は、北半球の中緯度の場合と同じです。
自分が天球の中心に立つ観測者になった気持ちで、各方角の空をイメージしてみましょう。
東を見ると、天体は地平線から右斜め上の方向へ昇っていきます。逆に西の空では、地平線に向けて右斜め方向に下がります。
南の空では天体が東から西(左から右)へと、大きく弧を描くように動くのが分かるでしょう。目を北に転じれば、天の北極を中心に反時計回りに回転する様子が見られます。
日周運動を体感する方法
日周運動を理解するには、天体が動く様子を実際に観測してみるのが近道です。手軽な方法を紹介するので、子どもと一緒に試してみましょう。
太陽の動きを観測する
太陽が東から昇り、南の空を通って西へ沈む動きも、もちろん日周運動です。日周運動を体感するなら、日中に観測できる天体である太陽を使うとよいでしょう。
用意する道具は以下の通りです。
●透明半球
●透明半球を乗せる白い台紙
●方位磁針
●油性ペン
透明半球は、ガラスボウルで代用しても構いません。完全な半球ではないため、太陽が高い時間帯の記録は難しくなりますが、動きを見るだけなら十分です。
観測は周囲に木や建物がない、平らな場所で行います。まずは台紙に十字線を引き、方角を記入します。方位磁針を使って線の方角を合わせたら、十字の交わる部分が中心に来るように透明半球を置きましょう。
次に透明半球の上に油性ペンをかざして、先端の影が十字の中心に来る位置に印をつけ、時刻を記入します。ガラスボウルに直接書き込みたくない場合は、セロハンテープや付箋を使うと便利です。午前中から夕方まで何度か印をつけてみると、太陽の動きがよく分かります。
「北極星」を見つける
北の空の日周運動を体感したいときは、「北極星」を利用しましょう。
北極星は、天の北極に一番近い星です。地球上から見ると常に真北にあって、ほとんど動きません。そのため北極星を天の北極とみなして、周囲の星を観測すれば、北の空の日周運動を理解しやすくなります。
北極星は、ある星座を使うと簡単に発見できます。春夏は北斗七星、秋冬はカシオペア座を目印に、下図のように北極星を特定しましょう。
1~2時間後にもう一度北の空を見ると、北斗七星あるいはカシオペア座が、北極星を中心に反時計回りに移動しているのが分かります。星が見られるのは主に夜なので、あまり遅くならないよう、早めの時間帯を狙って観測しましょう。
日周運動を理解して天体に興味を持とう
日周運動は地球の自転による、天体の見かけの動きです。実際に動いているのは地球なのに、ゆったりと動く天体を見ていると、まるで自分が宇宙の中心にいるように感じられます。
子どもとの会話や実験を通して、日周運動とは何かを一緒に考え、天体への興味や関心を引き出してあげましょう。
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構成・文/HugKum編集部