自閉スペクトラム症を伴う知的障害息子の育児体験記。「放課後等デイサービス」は、我が家にとってなくてはならない存在。通うことで見られた息子の成長

放課後等デイサービス(通称、放デイ)は、障害があったり、発達に何らかの特性があったりするお子さんが、放課後や学校の休業日に通っている施設です。
私の息子も小学1年生から通い続けています。
放課後等デイサービスについて、どんなところか興味がある方もいるのではないでしょうか?
今回は、放デイの実情や、わが家の放デイとの付き合い方についてお伝えします。

探すならできるだけ早めに!私は就学2年前から動きました

それは、息子が幼稚園の年中の時のことでした。
私は地域の放課後等デイサービス(以下、放デイ)が一堂に会する説明会に行きました。
まだ就学までには2年弱ありましたが、就学先の学校を考えると同時に、放課後の過ごし方も考えていきたいと思ったのです。
この説明会が、私が放デイ探しを始めた第一歩です。

私の息子は自閉スペクトラム症を伴う知的障害があり、就学先は特別支援学校を検討していました。
同じ進路を考えるお子さんの親御さんたちは、みんな放デイの利用を考えていたので、「それなら私も」と軽い気持ちで参加したのです。
そこで、私は衝撃的な事実を目の当たりにしました。

次年度の募集人員の数の少なさに驚愕!

放デイの施設はいくつもあるのに、なんと配布された資料に記載された「次年度の募集人数」は、0人、1人、2人、若干名…そんな人数ばかりだったのです。
しかし、見渡してみると説明会に参加した保護者の多いこと。
私は、希望しても放デイに入れないのではないかと危機感を覚えました。
考えてみれば、放デイは小学生から高校生まで12年間も通えるのです。
未就学の間だけの療育(児童発達支援)より、空きが出づらいのは言うまでもありません。
この日から私は、とりあえず送迎範囲内にある施設にできるだけ電話をかけ、見学できるところは見学してみることにしました。

入学後、2か所の放デイに通い始めた息子

年中から動いたかいもあって、息子は小学校に入学すると同時に、2か所の放デイに通い始めることができました。
特別支援学校に通い始めた息子は、学校に行き、授業が終わるとお迎えが来て放課後等デイサービスに行きます。
そして時間になったら送迎車で家に送り届けられる、という生活サイクルで、毎日を楽しく過ごしています。

息子の知的障害の程度を考えると、放課後の時間を一人で過ごすのは難しく、おそらく高校生になってもそれは変わらないでしょう。
そのため、私と夫が働くために、息子の放課後の居場所としての放課後等デイサービスはなくてはならない存在です。

息子にとっては良い刺激を受けられる場所

息子は、一週間のうちに放デイに行かない日も作っていますが、家に長時間いると暇をもてあまして問題行動を起こしてしまいがちで、困ってしまうことも多いです。

しかし、放デイで過ごしていると、先生たちと一緒に活動や遊び、お出かけなどをして、家よりも気がまぎれるようです。
もちろん、放デイでもうまくいかない日もありますが、家ではできないことができたという話もよく聞き、良い刺激を受けているように思います。
このように、放デイは息子にとって、大切な居場所となっています。

放デイに通うことで成長が見られたこと

放デイに通うことで、息子の成長も見られました。
まずはトイレトレーニング。
息子は重度の知的障害があり、小学生になった今もオムツが外れません。
しかし、学校と連携して放課後等デイサービスでもトイレトレーニングを行って下さったことで、トイレで排尿する習慣がついてきました。
家だとどうしても甘えてしまったり、リラックスモードでトイレに足が向かなくなってしまう息子ですが、学校と放デイでは家よりもやる気になっているようです。

シール貼りや工作などの、手先を使った活動でも成長が見られます。
最初の頃は、はみ出していたり重ねて貼られていることが多かったシールが、今はきっちり貼ることができるようになりました。
息子はもともと手先が器用な方なので、こういった時間で得意の強化ができていったらいいなと思います。

きょうだい児のために、土曜日の放デイも利用

息子は平日だけでなく、土曜日にも放デイを利用しています。
土曜日に放デイを利用しようと決めたのは、きょうだい児である娘のことを考えたからでした。

わが家には、息子の4歳年下の娘がいるのですが、息子に手がかかることや、息子の障害特性などで、娘には何かと我慢させてしまうことがあるかと思います。
だからこそ、土曜日は娘のチートデイとして、娘が行きたいところに連れて行ってあげる日にしようと思ったのです。
息子に障害があることを理由に、娘がやりたいことを我慢させたくない。
それは私の強い願いでもあります。

土曜日だけで全てが解決するわけではないと思いますが、土曜日は娘の日、そして平日の放デイがない日は息子の日として、それぞれに向き合う時間を作りたいと思っています。
土曜日の放デイは、クッキングや遠い場所へのお出かけなど、平日はできない活動が組まれることも多いです。
そのため、息子にとっても楽しい時間を過ごせる機会になったらいいなと思います。

長期休暇こそ放デイのありがたみがしみる

放デイは、長期休暇にも利用できます。
「放課後」という名前ですが、私は学校の長期休暇こそ、放デイのありがたみがしみると感じています。
息子は毎日を同じようなスケジュールでこなすことが好きなので、ガラッと生活リズムが変わる長期休暇が苦手です。

そのため、学校が休みになる長期休暇も朝から夕方まで通える場所があることで、心の安定を図ることができます。
私たち親が働くためや、働いていない親御さんのレスパイト目的でも、長期休暇の放課後等デイサービスはとても助かるものです。
放課後だけと考えると、「学校で疲れているだろうからいいかな」と思いがちですが、長期休暇のことを考えると、契約しておくにこしたことはないように思います。

息子と私たち家族の生活を支える放デイ

息子の放課後の居場所として、成長を支えてくれる場所として、かかせない場所である放デイ。
今では息子だけでなく、私たち家族みんなにとって、必要不可欠な場所となっています。
放デイがあるから、重度の知的障害がある息子を育てながらも私と夫は働くことができますし、娘との時間も作ることができます。
放デイは利用希望者がどんどん増えているようで、なかなか入るのが難しい状況もあるかもしれません。
しかし、もし何か子どもの発達や家族の生活に不安ややりづらさを感じているならば、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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べっこうあめアマミ
ライター&イラストレーター。知的障害を伴う自閉症の息子ときょうだい児の娘を育てながら、電子書籍作家としても活動する。出版した電子書籍は障害児育児をテーマにしており、Amazonランキング1位を獲得するなど、障害児や発達に特性がある子を育てる多くの家族に読まれている。「ママがしんどくて無理をして、子どもが幸せになれるわけがない」という信念のもと、「障害がある子ども」ではなく「障害児のママ」に軸足をおいた発信を、Twitternoteなど各種SNSで続けている。

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