「ゲンを担ぐ」の「ゲン」の元になった言葉って?
「ゲンがいい(悪い)」「ゲンを担ぐ」の「ゲン」は、ある語をひっくり返して言った語がさらに変化して生まれた語だといわれています。もとになったある語とは、いったい何だったと思いますか?
答えは「縁起(えんぎ)」です。
「縁起」はもともとは仏教語で、仏教の根本的な世界観を表す語です。その意味は、「因縁によってあらゆる事象が、仮にそのようなものとして生起していること」(『例文 仏教語大辞典』)というものです。これが日本では、社寺、仏像、宝物などの沿革や由来をいうようになり、それを記した書画の類が盛んに作られるようになります。そしてそれらの書画では次第に神仏の霊験やご利益(りやく)を説くことに重点が置かれるようになったため、「縁起がいい(悪い)」などと言うときの、吉凶の前触れ、兆し、前兆という意味に変わっていったのです。
ひっくり返して使うようになったのは、江戸時代
この意味が変わった「縁起」を、江戸時代の人はたぶんしゃれて言ったのでしょう、この語をひっくり返して、「ぎえん(起縁)」と言うようになります。そしてこの「ぎえん」をつづめて言ったのが、吉凶のきざしの意味で使われる「げん」だと考えられているのです。
「げん」は漢字で「験」と書きます。ある物事に対して、よい前兆か悪い前兆かどうか気にすることを「験を担(かつ)ぐ」と言いますが、これも「縁起を担ぐ」という言い方からから生まれました。
なぜ、「担ぐ」なのか?
なぜ「担ぐ」なのかというと、つまらない縁起や迷信を気に掛けることを「御幣(ごへい)を担ぐ」と言いますが、それから生まれた言い方だからです。「御幣」は、神主さんがお祓いのときに、裂いた麻やたたんで切った紙を細長い木に挟んだものを振りますが、それのことです。
ふだん何気なく使っている語も、実はけっこう奥が深いのです。
ところで、こちらのウンチクは知ってますか?気になる方はぜひ読んでみてください。