炭酸の抜けたジュースが甘すぎる不思議
いつまでも暑い日が続きます。リカちゃんは炭酸飲料が大好き。のどが渇くとすぐにおねだりします。でも、「飲む!」とリカちゃんが言い張った500mlのペットボトルは、ママのいった通りに飲み切れませんでした。
翌日、リカちゃんが飲もうとすると炭酸のシュワシュワがすっかりなくなっています。ガッカリしながら飲んだリカちゃん、あまりの甘さに今度はビックリ。昨日、あんなにさわやかでおいしかったのに、たった一日でシュワシュワがなくなり、甘くて飲めなくなりました。一体、炭酸飲料に何が起きたのでしょうか?
ゆーまん博士の「説明しよう!」
残った炭酸飲料を翌日飲もうと取っておいた炭酸飲料が、翌日、すっかり炭酸が抜けていた経験は、どなたにも一度や二度はあると思います。
炭酸飲料には炭酸ガス=二酸化炭素が溶け込んでいます。地上の大気圧に比べ、4~6倍の圧力でぎゅうぎゅうに溶かしてあるので、フタを開けると一気に気体に戻ろうとします。ジュースの中に溶けた炭酸ガスが、液体から気体に戻ったために、シュワシュワした泡がたくさん出てくるわけですね。
炭酸ガスはどんどん気体になって液体の中から出ていきます。フタを開けると炭酸ガスはすぐに気体になって空気中に広がり、しばらくすると炭酸飲料の中からすっかりなくなってしまいます。
蓋を閉めてもダメでしょうか? 相手はガスなので、どうしても抜けてしまうのは仕方ありません。それに最初に蓋を開けた時、ボトルの中は外と同じ1気圧になっています。たとえフタをきつく締めても、ボトルの空いたスペースにガスは広がり、シュワシュワは弱くなります。
炭酸のシュワシュワは、味覚ではなく「痛み」!
では炭酸が抜けたジュースは、なぜあんなに甘いのでしょうか?
炭酸のシュワシュワ感を感じるのは、三叉神経という痛みを感じる神経が刺激されるためです。トウガラシの辛味やメントールの冷たい感じの刺激も、三叉神経を通じて脳へと伝わります。一方、甘味や塩味、酸味などの味覚は味覚神経を通じて脳につながります。
辛味やメントール味、炭酸のシュワシュワは味覚ではなく、痛みの一種なのです。
三叉神経と味覚神経は別系統の神経ですが、隣り合っています。そのため、三叉神経が刺激されると味覚神経も影響を受けます。すると面白いことが起きます。すごく甘いものはあまり甘くなくなり、少し甘いものはすごく甘く感じるようになるのです。
温度も味覚に影響した結果…
味覚は温度でも変わります。炭酸飲料の場合、冷やして飲むと思います。温度が低いと味覚が鈍くなるため、ジュース類はかなり甘く作ってあります。
炭酸飲料にはびっくりするほど砂糖が入っていますが、炭酸の作用で三叉神経が刺激され、強い甘さを感じにくくなります。
そのため、冷たくて炭酸でシュワシュワしている時はおいしく飲めますが、時間が経ってぬるくなったり炭酸が抜けてしまうと、甘すぎて飲めなくなるのです。
メーカーによって異なりますが、炭酸飲料350mlにはおよそ角砂糖10個前後に相当する糖分が含まれています。暑いからと炭酸飲料ばかりガブ飲みしていたら、おデブちゃんになっちゃうかもしれませんよ。
ゆーまん博士のワンポイント
●炭酸のシュワシュワと冷たさが炭酸飲料の甘さを抑えている
●シュワシュワを感じるのは味覚じゃなくて痛覚
●炭酸飲料の飲み過ぎに注意
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構成・文/川口友万 漫画/まめこ