【英語教育】これを読んだら移住したくなっちゃう!岡山県総社市「英語教育特区」の魅力とは?指定校に通っている保護者にインタビューしてきました!【前編】   

「英語教育特区」は、平成14年度(2002年)に、地域を限定して改革することにより、構造改革を進め、地域を活性化させるための「構造改革特区制度」の創設によって生まれた自治体エリアです。
平成15年(2003年)に認定された群馬県太田市を皮切りに、現在までに複数のエリアが認定され【地域の特色等を生かした特別の教育課程を編成する学校の取組:文部科学省 (mext.go.jp)】、各自治体が「学習指導要領」などによらない特別なカリキュラムを編成して、英語教育に力を入れています。

今回は、平成26年度(2014)から「英語教育特区」に認定された岡山県総社市の特区指定校「昭和五つ星学園義務教育学校」にお子さんを通わせているママ、Oさんにインタビュー。学校生活の様子やお子さんへの想いを伺いました。

Oさんは、現在9年生(中学3年生)のご長男を筆頭に、7年生(中学1年生)の次男、4年生の三男という3人のお子さんを同校に通わせていらっしゃいます。

自然と暮らしやすさのバランスが絶妙な総社市。美しい景色が広がる。

「英語教育特区」ならではの魅力とは?

 「昭和五つ星学園義務教育学校1-5アクティブキャンパス」の前身は、「旧総社市立昭和小学校」で、2024年4月から近隣の小学校と幼稚園と合体。「昭和五つ星学園義務教育学校」と名前を改め、幼稚園から中学校までが連携して英語教育を行っています。

Oさんは、お子さんを3人とも、小学1年生のときから同校へ通わせていらっしゃいます。

 ――ご長男を英語教育特区の指定校に通わせようと思ったのは、どんなことがきっかけだったのでしょうか?

Oさん長男が小学校に入学する前に、「昭和小学校」のオープンスクールがありまして、親子で参加したのがきっかけです。学校内の見学や英語の授業を参観したのですが、雰囲気がとてもいいと思いましたし、息子も「行きたい」と申しましたので、通わせることにしました。

――Oさんは、どんなところが気に入られたのでしょうか

 Oさんまず、いいなと感じたのが、少人数のクラス編成でアットホームな環境であることでした。多くても1クラス30名弱の編成でしたので、先生の目が届きやすいですし、上下の学年での交流もあって、家族のような関係性を築ける点もいいなと思いました。また、ロッカーなど学校内の設備もきちんと管理されていて、きれいだったのも好感を持ちました。

 わが家の場合、倉敷市からの学区外通学になるのですが、そうした生徒への対応が考えられていた点も大きかったですね。学区外生徒のための登校班制度が整えられていて、家から倉敷駅まで行けば、上級生のお兄ちゃんやお姉ちゃんたちが一緒に電車に乗って、学校の最寄り駅の総社駅まで一緒に登校してもらえるんです。

美袋駅から徒歩3分ほどでアクセスもいいです。中学校へも10分~15分ほどと、安心して通学させられると思いました。

 ――初めて学校へ通うことになる小学一年生にとって集団登校ができるのは、学区外通学でなくても、親としては安心ですね。中学生になってからは、どのような形で通学していらっしゃるのでしょうか? 

Oさん中学校は小学校と少し離れた場所にあるのですが、わが家の場合、中学生になってからは自転車で倉敷駅まで行き、電車に乗って美袋駅で下車。美袋駅からは1015分程度歩いて学校まで通っています。

入学前は特別なことは何もしなかった

 ――ご長男が入学した当初の印象を教えていただけますか?

 Oさん英語の授業だけでなく、運動会や全校で行うラジオ体操も英語でのアナウンスでしたので、最初はびっくりしました。また、外国語指導助手(ALT)の先生は小学校と中学校に各1名ずつ常勤しているのですが、英語の授業だけでなく、学校行事にも参加してくださっているのは意外でした。

 そんなふうに日常的にALTの先生とふれあっているからだと思うのですが、子どもたちは先生と話すことにためらいがないんですよね。わが家は入学前まで、英会話教室へ通うといった特別な英語対策は何もしていませんでしたので、恥ずかしがらずに先生方と話す長男の姿に驚きました。

 ――小学一年生での英語学習はどんな内容だったのでしょうか?

 Oさん:最初は、英語で買い物ごっこやビンゴゲームをしたり、シールを貼って遊んだりしながら、英会話中心に学ぶ授業だったと思います。体験型で遊びながら学ぶ形式でしたので、どの子もみんな楽しく学んでいると感じました。

――英語教育特区の総社市では、小学校と中学校の9年間で一般的な義務教育校より250時間多く英語を学ぶカリキュラムになっているそうですが、9年間、英語教育特区学校で学ばれたご長男をみていて、どのようにお感じになりますか?

 Oさん長男だけではないのですが、子ども3人とも英語の発音がとてもしっかりしていると思います。また、ヒアリングも結構できるんじゃないかと思いますね。

わが家は、夫も私も英語が別段得意ではありませんし、子どもが特区の学校に入学してからも何か特別なことは何もさせていないんですよね(笑)。ですから、子どもたちのこうした姿は、小学生から英語に触れさせてもらえた成果だと思っています。

 実際、学校で英語の授業を参観していると、先生と生徒のやりとりも英語で行われていて、クラスの生徒さんは、皆さんスムーズに英語で話している気がします。また、学校内には英語で書かれた掲示物がいたる処に貼られていたり、教室の黒板にも英語で書かれているものがあったりして、ふだんから英語を身近に感じていると思います。

ホームステイ体験や英検対策の支援も

 ――ほかに、英語教育関連で特別な点があったら教えてください。

 Oさんこれは全国の自治体で行われていますので、総社市が特別というわけではないと思いますが、市内中学生が対象のホームステイ事業が開催されていて、毎年一定数の子どもたちが作文と面接を受けた上で派遣されているのですが、この事業の中に「昭和五つ星学園」生徒の学校枠があるんです。

 長男は、今年、その事業に応募して、夏休み中に10日間、オーストラリアへ行ってきました。オーストラリアではご当地の家庭にひとりで滞在しながら、「昭和五つ星学園」と提携している学校の授業を受講しました。

そうした体験にかかる費用は、総社市が半分負担してくれるので、本当にありがたいです。

 それから中学校では、授業とは別に英語検定対策の講座を開催していまして、希望者は無料で受講することができます。英検対策のための参考書やCDも、学校から貸し出してもらえるので、親としてはこうしたことも助かっています。子どもたちにとっても、英検に積極的に挑戦するきっかけになっていると思います。 

――お話をお聞きしていると本当に充実していますね。ご長男は現在中学3年生ということで来年は進学が控えていますが、どのようにお考えになっていらっしゃいますか?

 Oさん長男には、「英語を使ってこんな仕事に就きたい」といった具体的なビジョンはまだないようですが、「英語で何かやってみたい」と感じているようです。

 ホームステイも本人の希望で行かせることになったのですが、英語圏へひとりで行くことに対する不安は、まったくといっていいほどないんですよね。これも9年間、英語やALTの先生方と慣れ親しんだおかげだと思います。来年、どの学校を目指すかは、ホームステイから帰ってきてから、親子で話し合いたいと思っています。

「英語」だけでない「広い視野」も

 ――お子さん3人を英語教育特区の指定校に通わせられている、Oさんの今のお気持ちをお聞かせください。

 Oさん家にいるとき、兄弟同士で英語を教え合ったり、英語で話したりしている姿を見ると、ほほえましく感じると同時に、指定校に通わせてよかったと心から思います。

 今年から「昭和五つ星学園義務教育学校」では、新たに幼稚園とも連携して英語教育を行っていくようですが、どんな成果を上げるのか楽しみですね。

というのも、中学校から「昭和五つ星学園」にお子さんを通わせた父兄の方から「小学校から昭和五つ星学園に通っている子どもたちは、外国人と臆することなく触れ合っているだけでなく、広い視野を持っていて、意見をしっかり言える子が多い」といった言葉をよく耳にするんですよね。

 そう言われると、確かに小学校から在籍している子どもたちには、そうした傾向があるような気がするんです。先生やお友だちからの質問にはっきり答えて、その理由をしっかり述べているんですよね。それは、きっと日本語だけでなく英語での文法表現を学んでいたり、英語の授業で先生やクラスメイトと話す機会が多いからではないかと思います。

そうした子どもたちを見ていると、英語に自然にかつ楽しく触れることができる「昭和五つ星学園」のような体験が、たくさんの学校でできたらといいなと思います。

 「英語教育特区」の試みにみる将来展望

Oさんのお話を伺う限り、小学校から日常的にネイティブの発音に触れ、英語を学ぶことはすばらしい成果をあげているようです。

日本の未来を背負う子どもたちがグローバル社会で生き抜くためには、いち早く「英語教育特区」という枠を外して、このような教育を全国一律に受けられるようになることを願わずにいられません。

 「英語教育特区」レポートの後編では、総社市役所の担当者にインタビュー。総社市の「教育特区」で行われている英語教育の内容をお聞きしました。総社市の教育に魅力を感じて移住を視野に入れている方のために総社市への移住情報も紹介しますので、後編もチェックしてくださいね!

後編はこちらから>>

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文・構成/山津京子

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