混乱する韓国との関係ふくめ、石破政権はどんな外交を展開する? 米国・中国・韓国との関係が気になる【親子で語る国際問題】

今知っておくべき国際問題を国際政治先生が分かりやすく解説してくれる「親子で語る国際問題」。今回は石破政権における米国・中国・韓国との関係について学びます。

石破総理はどんな外交をする?

2024年10 月1日に誕生した石破政権。石破総理は鳥取県の出身で、地元は鳥取から初の総理大臣が誕生したと大きな盛り上がりを見せました。

石破総理はこれから多くの課題に向き合っていくことになりますが、その1つに外交があります。国際情勢が複雑化する中、石破総理はどのような外交を展開していくのでしょうか。

石破茂 総理[首相官邸公式HP|令和6年12月4日「総理の一日」より]

アメリカとは良好な関係が見込まれる

まず、日米関係は日本外交の基軸となりますので、石破総理は岸田前政権と同じように米国との緊密な関係を維持することを第一に考えます。

トランプ氏は日本に対して日本製鉄によるUSスチール買収問題などいくつかの要求をしてくるかも知れませんが、安倍・トランプ時代の良好な日米関係もあり、同氏は基本的には日米関係を重視することが考えられます。しかし、石破政権が少数与党という状況ですので、トランプ氏はそのあたりを意識して以前ほど日本を重視しない可能性も排除できないでしょう。

混乱する韓国との関係は・・・?

そして、これは韓国も同じです。

韓国では2022年5月に日本や米国との関係を重視するユン・ソンニョル氏が大統領に就任し、それ以降、岸田前政権との間で冷え込んだ日韓関係の改善が急ピッチで進められ、日韓関係は前例のないほど良好な関係になりました。

東アジアを見てみると、中国による海洋覇権が進む中、台湾有事への懸念も広がっています。また、北朝鮮は核開発・ミサイル発射を繰り返すなど、日本周辺の安全保障環境は厳しさを増しています。そのような中、東アジアで唯一パートナーになれる国があるとすれば韓国です。

しかし、韓国では2024 年12月、ユン大統領が戒厳令を発出したことで国内で混乱が広がり、ユン大統領による今後の政権運営が難しい状況にあります。現時点ですと、最大野党「共に民主党」の代表である李在明(イ・ジェミョン)氏が次期大統領になる可能性があり、そうなれば改善した日韓関係が再び後退することになるでしょう。

中国との関係は不安が残る

一方、中国との関係は難しいものになると思われます。岸田前政権は建設的かつ安定的な日中関係の構築を訴えていきましたが、石破総理も基本的にはそれを目指して中国外交を進めていくことになります。

石破総理が就任したことを受け、中国の習近平国家主席は祝電を送り、日中が共に共存し、互いに協力し合い、建設的で安定した関係を築いていくことを希望すると伝えました。

日本にとって最大の貿易相手国は中国であり、今後も政治や経済で中国は日本にとって重要な国です。しかし、日中の間には尖閣諸島の領有権問題、台湾をめぐる認識の不一致、貿易摩擦など多くの課題が蓄積しており、石破総理が良好な日中関係の構築に努めても、こういった問題で緊張が走れば日中関係は自然に悪い方向へ舵を切ることになるでしょう。

石破政権下でも、”政治経済的には重要だが、蓄積する課題よって関係が冷え込む”ような日中関係が続くことになります。

この記事のポイント

①日米関係においては、トランプ政権開始後も良好な関係が続く見込み

②混乱する韓国との関係は、次期大統領によるところが大きい

③日中の間には、尖閣諸島の領有権問題、台湾をめぐる認識の不一致、貿易摩擦など多くの課題が蓄積しており、これらの問題でいったん緊張が走れば悪い方向へ舵を切ることになる

記事執筆/国際政治先生

国際政治学者として米中対立やグローバスサウスの研究に取り組む。大学で教鞭に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。

こちらの記事も合わせて読みたい

第2次トランプ政権で日米関係はどう変わる? 石破政権はトランプとうまくやっていけるの?【親子で語る国際問題】
石破総理によるトランプ外交がスタート 米国大統領選挙の結果、共和党のトランプ氏は312人の選挙人を獲得し、民主党候補のハリス氏に勝利しまし...

編集部おすすめ

関連記事