目次
アレルギーっ子のお宅で重宝されているシャトレーゼのアレルギー対応ケーキ
これからやってくるクリスマスや卒入園、誕生日などお祝いの席に欠かせないケーキ。でも、食物アレルギーのあるお子さんがいる家庭では、ケーキ1つを選ぶのにも苦労されていると思います。
『シャトレーゼ』では、そんなご家庭でも安心して食べられるアレルギー対応のケーキを販売していることでも知られています。一体なぜアレルギー対応ケーキを販売することになったのか、またこの先もずっと販売を続けてくれるのか、気になる質問を機能性商品の開発担当・保坂さんに聞きました。
社員の実体験からアレルギー対応ケーキを思いついた
――アレルギー対応のスイーツをつくることになったきっかけ、経緯を教えてください。
保坂さん:もう10数年前のことですが、私の上司がプライベートで呼ばれたクリスマス会に、シャトレーゼのケーキを持って行きました。みんなが楽しそうに食べているなか、1人の子だけアレルギーがあって、食べられませんでした。それを目の当たりにした上司が「アレルギーがある子どものために商品を作ろう」と思ったのがきっかけ。当時の市場にはまだ、そういった商品があまりありませんでした。
――最初に取り組んだ商品はどんなものでしたか
保坂さん:最初に取り掛かったのが卵、小麦を使っていないケーキでした。小麦の代わりに米粉を使い、卵の代わりには大豆粉と植物油を泡立てた気泡油脂を使いました。
ただ、やっぱり生クリームは牛乳を使ったものがおいしいので、クリームを置き換えるのは大変でした。その後、豆乳を使った植物油脂のクリームを使うことにし、卵、小麦、乳を使用していないケーキを発売。私たちのケーキが発売されて以降、他社からもそういった商品を発売するようになったと記憶しています。
スポンジがなかなか膨らまず苦戦!
――牛乳・卵・小麦粉はケーキに欠かせない素材ですよね。ほかに、苦労したのはどんなことでしょうか?
保坂さん:スポンジがなかなかふくらまず、大きなクッキーのようになってしまって苦労しました。スポンジは100回くらい試作を重ねています。
試行錯誤する中で、こう作ればケーキができるなという形ができましたが、イメージとしてはまだ卵蒸しパンのような感じで、まだまだ改善の余地はあると思っています。
保坂さん:置き換えた原料のなかには大豆粉を使っているのですが、仕入れる会社によって品質が大きく変わるので、膨らむ大豆粉と、膨らまない大豆粉があり、そういった大変さもありました。
また、安全を担保したい想いから、でき上がった商品をサンプリングしてアレルギーの検査に出しています。その検査に関わる費用面の苦労などもありますね。
安全性を優先しデコレーションケーキはあえて2種類だけ販売
――アレルギー対応のケーキは現在、何種類くらいあるのでしょうか
保坂さん:安全性を担保するために、乳と卵と小麦粉を使用していないデコレーション 14cm』2,916円と、『卵と小麦粉を使用していないチョコデコレーション 14cm』2,808円の2品としています。どちらもアレルギー対応のチョコプレート付きです。白いケーキはホールだけでなく、カットしたケーキも販売しています。
保坂さん:以前はもう一種類、乳を使用した『卵・小麦を使用していない生クリームのケーキ』も販売していたのですが、クリスマスなどの繁忙期には乳を使用していないほうの白いケーキとの渡し間違えが起こる可能性があることから、販売を中止しました。
命に係わることですし、少しでもアレルギーを持っている人に安心して買ってもらえるよう気を配っています。
――アレルギー対応のケーキはどんな風に製造されていますか?
保坂さん:わが社にはアレルギー対応商品の専用工場がなく、通常商品を作っている量産化できるラインを使っています。
よってアレルギー対応の商品を製造する際は、製造ラインを洗浄し、洗浄が難しい場合は専用の型など備品を用意し、アレルギーの分析に出して、問題がない状態でアレルギー対応の商品を製造します。
アレルギー対応のシュークリームの販売を検討したことがありましたが、焼きあがったシューパフを冷やすコンベアが洗浄できないものでしたので、断念しました。
徹底的に洗浄しないと、材料に小麦粉が入っていなくても、「小麦粉入り」と表記しなければいけないくらいのコンタミ※レベルになってしまうんですね。
※コンタミ…コンタミネーション(contamination)の略。製品に混入した不純物、または不純物が製品に混入すること
専用工場がないことで洗浄が必要なわけですが、通常ラインを使って製造していること、そして大量に作って冷凍で保管することで、買いやすい価格で提供できることにもつながります。
おいしくなければ意味がない! 配合を変えないことも役目
――商品を開発するうえで大切にしていることはどんなことでしょうか
保坂さん:まずおいしさ。おいしくなければ意味がないというところです。乳や卵、小麦粉を使えないこともあり、市場には高額なのに味が良くないものも存在しています。そして安いことも重要。通常のケーキと同じような品質を提供したいなというのがいちばん心がけていることです。
あとは10年以上、ほとんど配合を変えていないことです。現在、イチゴのソースをサンドしているのですが、別の果物に変えたり、ソースを生のイチゴに変えることで、これまでは食べられたのに食べられなくなった、という人が出てきてしまいますので、配合を変えないことも我々の役目なのかなと思います。
安全を第一に考え、新製品よりも今ある商品を継続して販売したい
―― 実際にお客様からの反響はいかがでしょうか
保坂さん:非常にありがたい言葉をいただくことが多いです。「子どもにアレルギーがあってケーキが食べられなかったけれど、シャトレーゼのケーキをおいしいと食べているのを見て家族で喜んでいます」など、多くの言葉をいただいています。
――では、今後もアレルギー対応商品の販売を続けますか? 新商品の予定はありますか?
保坂さん:そうですね。ケーキに関してはお客さまに喜んでいただいていますので、これからも継続して販売したいと考えています。新しいケーキの販売は、安全を第一に考えて今のところは予定がありません。
ケーキだけじゃない! アイスが食べたい子にはアイスも
保坂さん:アレルギー対応のケーキの種類は先ほど紹介した2種類だけですが、アイスが食べたい子には『乳と卵と小麦粉を使用していないおいしいアイス 4個入』259円もあります。こちらは乳製品と卵の代わりに豆乳と植物油脂を使用し、ほんのり豆乳の甘さを感じる、バニラミルク風味です。
ケーキを食べてみたい! 家族と同じものを食べたいを叶えるケーキ
保坂さんが冒頭にお話してくれたように、アレルギーがあるから1人だけ食べられなかったり、家族と同じものが食べたいのに食べられない子が多くいると思います。そんな子どもたちも安心食べられて、笑顔にしてくれるのが、シャトレーゼのアレルギー対応ケーキ。
そこには美味しくて、買いやすい値段であること、そしてなによりも安全性を第一に考えた真摯な姿勢が見えました。ケーキ作りに欠かせない卵も小麦粉も乳も不使用なのに、食べてみると驚きのおいしさ! 興味を持った方はぜひお店やオンラインショップでチェックしてくださいね。
お話を聞いたのは・・・
株式会社シャトレーゼにて機能性商品の開発に2004年頃から取り組み、アレルギー対応商品の技術を応用した低糖質の商品も担当。好きな商品は、プレミアムカスタードシュー。
シャトレーゼ アレルギー対応商品のサイトはこちら≫
取材・文/長南真理恵 構成/HugKum編集部