日本の合計特殊出生率は約1.3
みなさん、「出生率」という言葉を知っていますか? 出生率とは、人口1,000人に対する1年間の出生数の比率です。また、近年注目されているのは、1人の女性が一生のうちに産む赤ちゃんの平均の数を表す「合計特殊出生率」で、国によって全然違います。
2025年4月時点で、世界全体の合計特殊出生率は約2.4くらいと言われています。高い国は、アフリカのナイジェリア(約5.4)やインド(約2.0)など。これらの国では、1人のお母さんがたくさんの赤ちゃんを産むことが多いです。
逆に、ヨーロッパやアメリカでは1.7くらいと少し低めですが、日本や韓国ではさらに低く、日本は約1.3、韓国は約0.7と深刻な数字です。生まれる赤ちゃんが減るということは、将来働く人が少なくなり、国が困ってしまうこともあります。だから、出生率は大事な数字なのです。
では、なぜ日本や韓国ではこんなに低いのでしょうか。

理由1 結婚する人が減っているから
理由を4つ挙げてみます。1つ目は、結婚する人が減っていることです。
昔は、20代で結婚してお父さんやお母さんになる人が多かったのですが、今は結婚しない人や、遅く結婚する人が増えました。日本では、30代になっても結婚していない人が3割くらいいて、韓国でも似たような状況です。結婚しないと、赤ちゃんが生まれにくいですよね。
理由2 仕事が忙しい人が多いから

2つ目は、仕事が忙しいことです。日本や韓国では、男性も女性も長時間働いていることが多く、例えば、日本では男性の2割以上が週に49時間以上働いていて、韓国も同じくらいです。
仕事が忙しいと家に帰るのが遅くなり、子育てをする時間が取れません。また、子どもはすぐに体調を崩すので、仕事と子育ての両立が難しかったり、子どもを預ける保育園が少なかったりして、赤ちゃんを産むのをためらう人がいます。
理由3 子育てにかかる費用の問題
3つ目は、子育てにはお金がかかることです。日本や韓国では、子どもを育てるのにとてもお金がかかります。
例えば、大学や塾にはたくさんのお金が必要です。韓国でも、教育にお金をたくさん使う家庭が多いんです。小学校から大学まで、すべて公立の学校を出た場合でも200万円以上かかると聞くと、赤ちゃんを産むのは大変だなと思う人もいますよね。お金がないと、安心して子どもを育てられないと感じる若者が非常に多いのです。
理由4 価値観の変化
4つ目は、価値観の変化です。昔は、多くの人が「結婚して子どもを産むのが当たり前」と考えていました。しかし、今は「自分の人生を楽しみたい」「仕事や趣味を大事にしたい」と思う人が増えました。
特に韓国では、女性も大学を出て仕事をするようになり「子どもを産まなくてもいい」と考える人が多くなりました。日本でも、自由に生きることを選ぶ人が増えています。
まとめ

このように、結婚する人が減ったり、仕事が忙しかったり、お金がかかったり、考え方が変わったりしたために、日本や韓国では出生率が低くなっています。
日本政府は、子どもを産みやすくするために、お金を支給したり、仕事を減らすサポートをしたりしていますが、まだまだ難しい問題です。
みなさんが大人になったら、家族や友達と一緒に、どうすれば赤ちゃんが増えるかを考えてみるのもいいかもしれませんね。
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記事執筆/国際政治先生
国際政治学者として米中対立やグローバルサウスの研究に取り組む。大学で教鞭に立つ一方、民間シンクタンクの外部有識者、学術雑誌の査読委員、中央省庁向けの助言や講演などを行う。