「ネクストパンデミック」とは何か? WHOや政府の対策も解説【親子で学ぶ現代社会】

ネクストパンデミックについて、専門家が警鐘を鳴らし始めています。ネクストパンデミックとはどのようなものなのかをチェックした上で、WHOの見解や、日本の政府行動計画についてチェックしましょう。今後の行動の指針として役立つよう、個人ができる対策についても解説します。

ネクストパンデミックとは

ネクストパンデミックとは、今はまだ知られていないウイルスが複数の国や地域に広がり、同時に流行することです。新たなパンデミックは、いつごろ起こるのでしょうか?

パンデミックはいつ起こるかわからない

世界中にウイルスが広がり同時に流行するパンデミックは、短いと9年ほど、長いと数十年の間隔で起こっています。

例えば新型インフルエンザが直近で大流行したのは2009年です。2025年から16年前にあたるため、新型インフルエンザによる次のパンデミックは、いつ起こってもおかしくない状況といえます。

出典:人類を脅かす感染症のパンデミック(世界的大流行)|大幸薬品

ネクストパンデミックに対するWHOの見解

いつ起こってもおかしくないネクストパンデミックについて、WHOでは新たな備えを提示しています。併せてパンデミックのリスクがあると発表している病原体についても見ていきましょう。

WHOの報告に記載された新たな備え

2024年10月に発表された「The Changing Face of Pandemic Risk: 2024 Report」では、パンデミックが一様ではないとした上で、ネクストパンデミックではその特徴に合わせた対策が必要であることを示しています。

これまでにも行ってきた医療システムや国際協力の体制に加え、ネクストパンデミック発生時の計画策定も必要です。加えて十分な対策を行うには、これまで連携していなかった医療、環境、社会保障、農業など、別の分野同士が連携した取り組みも求められます。

パンデミックのリスクがある病原体を発表

WHOでは、ネクストパンデミックや「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEICs)」につながる恐れのある病原体をピックアップしてリストを作成しています。

2018年に発表したリストに含まれていた病原体は10種類でしたが、2024年に発表された最新のリストでは前回の3倍以上の病原体がピックアップされました。

前回は含まれていなかった、コレラ菌・ペスト菌・肺炎桿菌などの細菌や、デングウイルス・サル痘ウイルスなどのウイルスは、いずれも現時点では有効な治療法がなく、新薬の開発が急務です。

出典:WHO Bacterial Priority Pathogens List 2024概要|厚生労働省
The Changing Face of Pandemic Risk: 2024 Report|GPMB

閣議決定された「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」

日本国内のネクストパンデミック対策の指針は、2024年に閣議決定され改正した「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」に盛り込まれています。

決定した13項目の対策の概要をチェックした上で、各対策の取り組みを強化する横断的な視点について見ていきましょう。

新型インフルエンザ等対策政府行動計画の概要

ネクストパンデミックが起こった場合、日本では「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」に則って、対策を速やかに作成することとなっています。

行動計画は「平時の準備の充実」「対策項目の拡充と横断的視点の設定」「幅広い感染症に対応する対策の整理と柔軟かつ機動的な対策の切替え」「DXの推進」「実効性確保のための取組」からなります。

また「対策項目の拡充と横断的視点の設定」の一環として、以下にあげる13の対策項目を明確にしました。

●実施体制
●情報収集・分析
●サーベイランス
●情報提供・共有、リスクコミュニケーション
●水際対策
●まん延防止
●ワクチン
●医療
●治療薬・治療法
●検査
●保健
●物資
●国民生活・国民救済

ネクストパンデミックそのものへの対策はもちろん、その間の暮らしに関する対策も盛り込まれています。

計画に盛り込まれている横断的な5つの視点

行動計画で定めた対策項目の取り組みを確実に進めるために、以下の「横断的な5つの視点」も定められました。

●人材育成
●国と地方公共団体との連携
●DXの推進
●研究開発への支援
●国際的な連携

対策項目には、この視点を持って取り組むこととなります。

出典:新型インフルエンザ等対策政府行動計画(令和6年7月2日閣議決定)の概要|内閣感染症危機管理統括庁

個人ができる対策

ネクストパンデミックが起こったとき、個人ではどのような対策ができるのでしょうか? ここでは三つの対策を紹介します。

こまめに情報収集する

いつ起こってもおかしくないのがネクストパンデミックです。加えてどのような病原体が流行するかも分かりません。

正確に予測できないため、日ごろから感染症に関する情報をこまめにチェックするとよいでしょう。テレビ・新聞に加えて、住んでいる地域の自治体が発信している情報も確認します。

咳エチケットを心がける

感染症は飛沫感染と接触感染で広がることが多いため、咳やくしゃみをするときには、マスク・ティッシュ・ハンカチ・袖などで口や鼻を覆う咳エチケットを心がけるとよいでしょう。

咳やくしゃみをするときに、何もしない、あるいは手のみで覆うといった方法では、しぶきが飛んだり、手についた病原体が周囲のものに付着したりします。感染が広がりやすくなるため、正しく口や鼻を覆うことが重要です。

出典:咳エチケット|厚生労働省

食品や生活必需品の備蓄

ネクストパンデミックが起こると、流通が滞る可能性があります。また自分が感染した場合には、必要な食品や日用品を買いにいけないこともあるでしょう。

このような事態に備えて、ある程度の食品や生活必需品の備蓄も対策の一つといえます。日持ちする缶詰・レトルト食品・乾麺など、日ごろから使っているものを多めに買い置きして、使ったら新しいものを補充するローリングストックも有効です。

ネクストパンデミックに個人でも備えよう

まだ知られていない病原体が世界中で流行するネクストパンデミックは、いつ起こってもおかしくない状況です。WHOや日本政府は対策の指針を公表しています。

ネクストパンデミックへの備えとして、個人では情報収集・咳エチケット・備蓄を意識しておくとよいでしょう。自分や家族の健康・生活を守るには、日ごろの備えがポイントです。

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構成・文/HugKum編集部

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