自転車法改正の主な内容
自転車の事故を防ぐため、さまざまな法改正が施行・予定されています。主な法改正の内容について確認しましょう。
2024年11月の危険運転罰則強化
自転車運転中のながら運転の違反者は6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金、実際に交通の危険を生じさせた場合は1年以下の懲役または30万円以下の罰金です。
酒気帯び運転および幇助の違反者は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
酒気帯び運転によって交通の危険を生じさせた運転者は3年以下の懲役または50万円以下の罰金、酒類の提供者・同乗者は2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。
2026年4月より青切符が導入予定
2026年4月には、自転車の交通違反に対して青切符の導入が予定されています。青切符は正式には交通反則通告制度と呼ばれ、軽微な交通違反に対して発行されるものです。
交通違反を起こすと本来であれば刑事手続きが進められるところ、交通反則通告制度の対象となる交通違反では、反則金の納付によって刑事手続きが行われなくなります。
青切符は、原則として警察官によってその場で発行されるものです。2026年4月以降は自転車を運転しているときに該当の交通違反を起こすと、青切符が発行され反則金を支払うことになります。
出典:自転車に関する道路交通法の改正について 警視庁
:自転車の違反に青切符が導入されます(令和8年4月) 堺市
自転車法改正の主な青切符対象行為と反則金

2026年4月から施行される予定となっている法改正では、さまざまな交通違反が青切符の対象となっています。中でも、主な対象行為と罰則について確認しましょう。
運転中の携帯電話使用
自転車運転中にスマートフォンや携帯電話を使用する「ながらスマホ」は青切符による反則金の対象となります。
【主な概要】
・運転中の携帯電話使用(停止中は除く)
・反則金:12,000円
ながら運転の罰則は2024年11月に強化されており、違反や交通の危険を生じさせた場合には刑事罰が科されることとなっています。
青切符と刑事罰の区別については、今後本格的な議論が進む可能性もあるでしょう。
遮断機が下りている状態での踏切内への侵入
危険な状態のときに踏切内に侵入すると、本人が事故に遭う危険性だけでなく大きな電車事故につながる可能性があります。この行為も、反則金の対象です。
【主な概要】
・遮断機が下りている、下りようとしている、警報が鳴っているときの踏切内侵入(自転車乗車中のみ)
・反則金:7,000円
自転車に乗った状態で、無理な踏切横断をすると反則金の対象になります。遮断機が下りた状態以外に、下りようとしているときや警報が鳴っているときでも、無理な進入は厳禁です。踏切を渡るときはいったん自転車から降りるか、安全を確認したうえで通行しましょう。
歩道の通行や逆走・信号無視
自転車は原則、車道の左側を通行することになっています。自転車通行が可能となっているエリア以外の歩道通行や逆走は原則禁止です。また、信号無視も危険運転として反則金の対象となります。
【主な概要】
・歩道通行・逆走・信号無視
・反則金:6,000円
なお、現時点では歩道通行がやむを得ないケースも多いため、歩道の通行のみでは取り締まりの対象ではなく指導警告の対象となる予定です。
一部の歩道は自転車が通行できることもあり、標識をよく見て運転することが求められます。なお、歩道通行ができる場所であっても、歩行者優先で徐行することが基本です。
傘差しやイヤホンなどの危険運転
傘差しやイヤホンなど、都道府県の条例で禁止されている行為や、無灯火・一時不停止・ブレーキの整備不良などの危険運転行為は、反則金の対象です。
・傘差し・イヤホン・無灯火・一時不停止・整備不良など
・反則金:5,000円
雨の日にはレインウェアを活用し、自転車乗車中にイヤホンは使わないようにするなど、危険運転行為をしないよう注意が必要です。一時停止の標識や、ブレーキ・ライト・タイヤの整備も怠らないようにしましょう。
並走や2人乗り
2人以上の並走や2人乗りも、一般の自転車では禁止されています。
【主な概要】
・2人以上の並走、一般自転車での2人乗り
・反則金:3,000円
車道や自転車通行が可能な歩道を走る場合には、横に並んで走る並走や、2人乗りはしないようにしましょう。
ただし、2人乗りが可能なタンデム自転車は普及が進んでおり、専用の自転車を利用すれば問題ありません。
出典:自転車の交通違反の青切符による取り締まり、2026年4月に施行へ | 東京海上ディーアール株式会社
:具体的な金額は? 来年度から自転車の「青切符」がスタート(バイクのニュース) – Yahoo!ニュース
自転車法改正に対するよくある疑問と回答

自転車の法改正では、自転車の交通違反に対する罰則が厳しくなっています。今後は反則金が適用される可能性もあり、気になることは多いでしょう。主な疑問と回答を紹介します。
なぜ自転車に対する罰則が強化される?
これまで自転車は、車道を走る場合に危険が生じることもあり、歩道走行や逆走の取り締まりがほとんど行われていませんでした。
しかし近年、悪質な交通違反によって事故や危険を誘発する自転車に対して、批判の声も増えています。自転車関連の事故は度重なる法改正や注意喚起によって一時期に比べれば減少傾向にあるものの、電動アシスト自転車のようにスピードが出やすい車種も増えており、事故のリスクは残ったままです。
さまざまな罰則強化や法改正は行われているものの、今後も継続的に交通違反の取り締まりが行われる可能性があります。
子どもが違反をした場合はどうなる?
自転車には免許が必要ないため、交通ルールを学んでいる途中の子どもでも運転ができます。子どもが違反をした場合にどうなるのかは、気になるところでしょう。
2026年4月以降に施行される青切符導入については、15歳以下は青切符発行の対象外となっています。ただし、自転車の運転に対する罰則は強化されており、刑事罰の対象となるケースもあるようです。13歳以下は刑事罰の対象外ですが、14~15歳は対象となります。
年齢によって刑事罰や青切符の対象外になるとはいえ、将来のために子どものうちから交通違反をしないようにルールを徹底する必要がありそうです。
出典:自転車は車のなかま~自転車はルールを守って安全運転~|警察庁Webサイト
:Q,「青切符」、免許制でないのになぜ16歳以上? 15歳以下なら罰則なし? | ENJOY SPORTS BICYCLE
自転車を安全に運転するための事前対策

自転車を安全に運転するには、今後の勉強や対策が欠かせません。法改正に向けて、学んでおくべきことや事前の対策を紹介します。
交通ルールを把握する
自転車の交通違反は、多岐に渡ります。特に免許を取得していない場合、軽車両の交通ルールについて学ぶ機会がありません。
自分から情報を探し、細かいルールを学ぶことが大切です。例えば、インターネットで配布されているリーフレットを読む、アプリを利用するなどの方法が挙げられます。
子どもであれば、地域の交通安全教室への参加もおすすめです。交通ルールを知ることで、自然とルールを守る意識がついてくるでしょう。
保険加入を検討する
以前から自転車の歩道通行はグレーゾーンであったものの、今後は青切符の導入もあり車道通行が推奨されます。
車道では自転車以外の軽車両や車も走行しており、危険度は高いでしょう。万が一に備えて十分な傷害保険に加入し、危険な場所では自転車を降りて歩道を歩くなどの対策も必要です。
また、交通違反の有無にかかわらず、歩行者や自転車同士の事故が起きたときの対策として、自転車向けの個人賠償保険への加入も義務化が進んでいます。
予期しないトラブルに備えて、保険加入や見直しを検討してみましょう。
自転車の法改正による罰則強化に備えよう
自転車の交通違反や事故の増加により、自転車運転に対するさまざまな法改正が行われています。2026年4月には反則金を科される青切符の導入が予定されており、交通ルールの把握や順守が求められるでしょう。
安全に自転車を運転するために、今のうちから交通ルールを学び、必要に応じて自転車保険の見直し・加入などの検討もおすすめします。
こちらの記事もおすすめ
構成・文/HugKum編集部
