添加物を避け、やさしい味わいに仕上げられる自家製のハム。今回は、子どもにも安心して食べさせられる簡単レシピや活用法を見ていきます。
自家製ハムに初めて挑戦する方の中には、「手間がかかりそう」「食中毒が心配」と感じる方もいるかもしれませんね。けれども、一度手作りのハムを味わってみると、市販品では得られないおいしさに驚くでしょう。添加物を控えたいという気持ちを持つ家庭にとっても、安心して取り入れられる方法です。
家庭向けの自家製ハムの作り方を中心に、活用法と保存方法をご覧ください。

自家製ハムはどんな作り方がある?
自家製ハムとは、もともと塩漬けや燻製といった工程を重ね、保存性を高めるために工夫されてきた、伝統的な調理法のひとつです。現在では、家庭向けにアレンジした、手軽で取り入れやすい方法が広まっています。
それぞれの特徴を見ながら、家庭で取り入れやすい方法を選んでみましょう。
鍋・炊飯器・オーブン・低温調理… どれが合う?
自家製ハムを作る方法には、主に4つの選択肢があります。家庭にある調理器具や生活スタイルに合わせて、無理なく続けられる方法を見つけてください。
・鍋
鍋を使う方法は、特別な道具がいらず、手軽に挑戦できるのが魅力です。湯の余熱を活かしてじっくり火を通すことで、しっとりやわらかな仕上がりになります。
燻製や乾燥を行わなくても、やさしい味わいのハムを家庭で再現できますよ。
・炊飯器
炊飯器は保温機能を活かして安定した温度で加熱できるため、火加減の調整が不要です。タイマー機能を使えるので、忙しい日でも簡単に取り入れられます。
初心者でも失敗しにくく、時間に余裕のない家庭に向いています。
・オーブン
オーブンは全体を均一に加熱でき、外側に香ばしさが加わるのが特長です。本来のハムづくりで行われていた乾燥や燻製の代わりに、オーブンで焼き上げることで風味を加えることができますよ。
・低温調理器
低温調理器を使うと、肉の水分を保ったままじっくり火が通り、しっとりジューシーな仕上がりになります。一定の温度管理によって質感を高める方法です。
安全に仕上げるためには、温度と時間を正しく守ることが大切です。
初心者でも失敗しにくい作り方はこれ
初心者でも挑戦しやすい、鍋を使った自家製ハムの作り方を見ていきます。子どもにもやさしい味わいで、毎日の食卓にも取り入れやすいレシピですよ。
鍋でつくる! やさしい鶏ハム風レシピ
特別な道具がなくても大丈夫。鍋ひとつでできる、やさしい味わいの鶏むね肉のハムレシピです。火加減も簡単で、手間をかけずに取り組めます。

・材料
(2人分)
鶏むね肉 1枚(約250g)
酒 大さじ1
塩 小さじ1
砂糖 小さじ1
こしょう 少々
水 鍋にたっぷり(1リットル目安)
・作り方
【1】鶏むね肉の皮を取ります。厚みが2㎝くらいに均等になるように、開きます。

【2】耐熱性のビニール袋に入れ、塩・砂糖・こしょうをすりこみます。

冷蔵庫で3時間ほどなじませます。

【2】大きめの鍋に水を入れて沸騰させます。

沸騰したら火を止め、鶏むね肉をそっと入れます。

鶏肉を入れることで温度が低下するので、軽く沸騰するまで、再度加熱します。

再沸騰したら火を止めて、ふたをしてそのまま20〜30分放置します。

【3】時間が経ったら肉を取り出します。粗熱が取れたらラップで包んで冷蔵庫で冷やします。
冷えたら食べやすくスライスして完成です。

どうしてしっとり仕上がるの? 鍋調理の仕組み
鍋で作る自家製ハムの場合、火加減は余熱を使うことで、やわらかく仕上げることができます。
鶏むね肉を熱湯に入れたあと、火を止めてふたをしておくことで、鍋の中はしばらく高めの温度を保ったままになります。この状態は、たんぱく質が固くなりにくい低温帯に近く、ゆっくりと火が通ることで、しっとりとした食感になります。
急激な加熱を避け、時間をかけながら温めるこの方法は、家庭で作りやすく、特別な温度管理が不要なのが利点です。
中心までしっかり火が通るのに、肉が固くならない仕上がりになるのは、この仕組みがあるからなのです。
子ども向けだからこそ気をつけたい、安全と衛生の工夫
子どもが食べる料理だからこそ、自家製ハムを作る際には、安全性と衛生面にしっかり配慮することが大切です。
特に鶏肉は加熱の状態によっては食中毒のリスクがあるため、安心して食べられるように調理法を選び、手順を守ることが欠かせません。
安心して食べるために知っておきたいポイント
鶏肉を使用する場合は、中心温度が75度以上で1分以上の加熱が必要とされています。鍋で加熱する方法や低温調理では、外側が火が通っていても中心が生のまま、ということもあるため、温度と時間の管理が重要です。
温度計がある場合は中心部分で確認し、ない場合でも肉の中央を切って、透明感のない白色に変わっているかを目安にすると安心です。

そして、鍋調理ではお湯の量が足りなかったり、ふたをし忘れたりすると、必要な温度が保てずに加熱不足になることもあります。余熱で火を通す方法で安全に仕上げるには、きちんと時間をおいて、しっかりと中心まで熱を届ける意識が大切です。
自家製ハムの日持ちと保存方法
自家製ハムは、正しい保存方法を知っておくことで、作り置きおかずとして活用することができます。
・冷蔵保存
冷蔵保存の場合は、完成後2〜3日以内を目安に食べ切るのが基本です。スライスしたものはラップで包み、密閉容器に入れて保存すると乾燥やにおい移りを防げます。
・冷凍保存
冷凍保存も可能です。1回分ずつに分けてラップし、冷凍用の保存袋に入れると便利ですよ。1〜2週間を目安に使い切りましょう。
解凍は冷蔵庫で自然解凍するか、電子レンジを使っても構いませんが、再加熱の際は中までしっかり火を通すようにしてください。
アレンジして楽しく! 子どもが喜ぶ自家製ハム活用法
朝の時間が限られているときは、冷蔵庫に自家製ハムをストックしておくと、すぐに使えて頼れる常備菜になります。鶏ハムは、お弁当や朝ごはんにもぴったりです。
サンドイッチやおにぎりにぴったり
スライスしたハムは、パンにはさむだけで簡単なサンドイッチになります。レタスやチーズ、きゅうりなどと一緒に彩りよく組み合わせれば、見た目にも楽しい一品になりますよ。
ごはんとの相性もよく、刻んで混ぜごはんやおにぎりに加えると、子どももパクパク食べてくれるかもしれませんね。

塩麹やハーブで香りづけも
子どもの味覚はとても繊細です。塩やこしょうだけでなく、塩麹を使えば、まろやかでほんのり甘みのある仕上がりになります。
香りづけにハーブを加える場合は、ハーブミックスを使ったり、お好みのハーブ(ローズマリー、タイム、バジル、ローリエなど)を選んだりするとよいでしょう。
初めての味に戸惑うこともあるので、少量から試しながら調整していくのが安心です。家庭の味として少しずつ工夫していけるのも、自家製ならではの楽しみですよ。
手作りのぬくもり:自家製ハム
家庭で作る自家製ハムは、調理法や味つけを自由に工夫できるうえに、子どもの食事に安心して取り入れられる魅力があります。忙しい毎日でも、少しの工夫で手づくりのぬくもりを届けることができますね。できるところから取り入れて、自家製の良さを食事に加えてみてください。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)

