保育士・保育関係者63名に聞いた仕事のリアル。残業や睡眠時間は?「働いていてよかった」と思える瞬間は、子どもの成長や親からの感謝【保育合同アンケート2026】

子どもの泣き声、保護者とのコミュニケーション、書類仕事、そして慢性的な人手不足…。保育の現場は、やりがいと課題が複雑に絡み合う場所です。
今回、小学館が運営する『新幼児と保育』『ほいくる』と、こどもりびんぐ発行の『園ふぁん』の3メディアが連携し、保育士や保育に携わる支援者を対象に実施したアンケートでは、日々の働き方や職場環境、ICTツールの活用状況、そして待遇への本音まで、多岐にわたる声が寄せられました。

保育の仕事を続ける理由はどこにあるのか。そして、変わらず抱えている課題とは何か。現場の声を、丁寧に読み解いていきます。

「遊びや学びの環境づくり」や「子どもの成長」は最優先事項

アンケートにお答えいただいた保育士さんが「最も大切にしていること」は「子どもたちの豊かな遊びや学びの環境づくり」「保護者との信頼関係構築」「子どもの成長を間近で見守ること」の3つが上位に。ご自身の人間関係や専門性にも回答は集まりましたが、やはり子どもに関わる項目が最優先であることが分かります。

また、「この仕事を続けていてよかった、と思えた瞬間」について、アンケートでは印象的なエピソードが数多く寄せられました。

「お友達の前で謝ることができなかった子どもが、友達と仲直りし、クラスの人間関係の核になりました」

「他園で紹介された子がその後来園し、クラスの人間関係に対して悩み相談を続けました。クラス内の友達との遊びがうまくできなかった子が、クラス全員で勝ちに行き2位になったとき、みんながほめ称えてくれた」

一人ひとりの変化を間近で見守れること——それが、この仕事の大きな醍醐味のひとつのようです。

長期的な関わりのなかでの成長を喜ぶ声も。

「安心できる関係の中では、子どもは自分から自由に遊び出し、考えを言葉にするようになります。遊びの力は、怒られることで起きるのではなく、関係が保証されることで自然に湧き上がるのに気づきました。こういう経験が積み重なることが、この仕事をしていてよかったと思える瞬間です」

「保護者から感謝の言葉をいただいたとき、子どもの育ちの一端を担えたと感じる」

という回答も。子どもだけでなく保護者との関わりや声かけがやりがいにつながっていることがうかがえます。

残業・給与・人員不足……現場が訴える「変わらない課題」

一方で、「困っていること」「課題だと感じていること」への回答からは、職場環境や待遇面に関する課題が浮き彫りに。回答は率直で切実なものが目立ちました。

残業や業務量に関しては、「課外活動、行事の準備など子ども以外の業務が多い」「シフト作成、保護者への連絡管理など比較の業務や精神的に大変な業務を担っている」といった回答が複数寄せられました。

給与・手当に関しては、「子どものための仕事なので労働時間については自分が納得できる指導のために仕方がないことだと思う。残業手当などではなく、国にとっても大切で、重要な任務を果たしている職業であることを評価・認識して処遇改善加算を増やしてほしい」という直接的な要望が挙がりました。

「多動や発達障害の子どもへの対応」「ICT化への対応・負担」といった専門性に関わるストレス要因も複数回答されていました。

育休・産休の取りやすさについては、「保育士なのに、自分の育休が取れない」「産休、育休、病休、時短勤務等の代わりがいないため、残っている職員の負担が増える。その負担に対しての手当はあっていいのでは」という深刻な声も。人員不足が育休取得の障壁となっている実態が、データからも浮かび上がります。

やりがいの源泉は「子どもの成長」や「保護者との信頼関係」

「保育、幼児教育の仕事でやりがいを感じるのはどのようなときですか」(Q10)という設問に対しては、多くの回答者が「子どもの成長を目の当たりにした瞬間」を真っ先に挙げました。言葉が出なかった子が初めて自分の気持ちを伝えられたとき、泣いてばかりだった子が笑顔で登園するようになったとき——日々の小さな変化の積み重ねが、この仕事を続ける大きな原動力になっていることが、回答全体を通じて強く伝わってきます。

次いで多かったのが「保護者との信頼関係が深まったとき」という回答です。「子育てに悩んでいた保護者が、少しずつ笑顔になっていくのを見たとき、この仕事をしていてよかったと思う」という声に代表されるように、子どもだけでなく家族全体を支えるという役割への誇りが、やりがいの源泉のひとつとなっています。

また、「チームで保育に取り組み、同僚と連携がうまくいったとき」「自分の専門知識や経験が後輩の指導に活かせたとき」といった、職場内での協働や成長実感をやりがいとして挙げる声も目立ちました。個人の達成感にとどまらず、チームとして子どもたちを支えるという集団的な充実感が、保育という仕事の魅力として広く共有されていることがうかがえます。

一方で、「やりがいは感じているが、それが待遇や評価に反映されていない」という複合的な声も少なくありませんでした。やりがいと報酬のギャップは、保育職における慢性的な課題として改めて浮き彫りになっており、現場の熱意を持続可能な形で支える仕組みづくりの必要性を示しています。

「休憩時間も休めない!」過酷な労働環境の実態

業務の過酷さは、休憩時間のあり方にも表れています。「1日の平均休憩時間」(Q13)を尋ねたところ、「規定通りに取れている」という回答は少数派で、「ほとんど取れない」「昼食をとりながら次の活動の準備をする」といった声が目立ちました。

さらに、「休憩時間の過ごし方」(Q14)については、「書類仕事の続き」「午後の保育準備」といった回答が多く、休憩時間が実質的に業務時間に侵食されている実態がうかがえます。心身を休めるべき時間が確保できないこの状況は、保育の質の維持だけでなく、保育士自身の健康にとっても深刻な問題と言えるでしょう。

子どもに関わる仕事への誇りと課題の間で——保育の現場が求めているもの

今回のアンケートで寄せられた保育士さんたちの声からは、「保育という仕事に対する誇り」が感じられました。
同時に、人員不足、給与の低さ、ICT対応の負担感、育休取得の難しさなど、解決されないまま積み重なっている課題も浮き彫りになりました。
子どもたちの笑顔や成長に日々向き合いながら、現場の保育者たちはどんな思いで働いているのか——。そして、その環境を整えていくために、社会はどのようなサポートができるのか、私たち保護者も一緒に考えていく必要があります。

【調査概要】
■調査期間:2026年2月1日〜28日
■調査機関:小学館『新幼児と保育』『ほいくる』と、こどもりびんぐ発行の『園ふぁん』合同で結成した「みんなの保育総研」での自社調査。
■有効回答数:63人

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文/HugKum編集部

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