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コロナ禍で変化した「学校と保護者」の関係
――コロナ禍以降、学校と家庭の関係に変化はありましたか?
鈴木先生:大きな変化としては、保護者が学校へ行く機会が減ったことですね。行事も減りましたし、学校で先生と直接会う場面もかなり少なくなりました。それによって、先生と保護者だけではなく、保護者同士のつながりも弱くなった印象があります。
以前は、「これってどうなんだろう?」と思ったときに、近くの保護者に聞けば解決することも多かったんですよね。でも今は、連絡先を交換している保護者がほとんどいない、というケースもあります。そうすると、ちょっとした疑問を誰にも聞けず、モヤモヤを抱えたままになってしまいます。
一方で、欠席連絡アプリなど、学校とのデジタル連絡ツールは一気に広がりました。以前は連絡帳や電話が中心でしたが、今は保護者側も学校側も、以前より連絡を取りやすくなった部分もあると思います。

「こんなこと、相談していいのかな?」と思ったら
――「先生に相談したいけれど、クレームだと思われそうで不安」という保護者も多いと思います。
鈴木先生:私は、保護者が心配していることならどんなことでも相談していいと思っています。むしろ問題なのは、「これくらいで学校に言っていいのかな」と抱え込んでしまうことです。いじめでも、友達関係でも、勉強のことでも、親が「誰かに相談したい」と感じているなら、何も言わずに自然に解決するケースのほうが少ないと思います。
“モンスターペアレント”という言葉がありますが、最初の小さな段階で相談できず、我慢して、最後に感情が爆発してしまうケースが多くあります。だからこそ、早めに相談することが大切なんです。小さなモヤモヤのうちに相談できれば簡単に解決できることも多いと思います。
――学校とのやり取りで、誤解が生まれやすい場面はありますか?

鈴木先生:保護者は、どうしても子どもから聞いた情報がスタートになりますよね。でも、子どもが全てを話しているとは限りません。都合の悪い部分は言わなかったり、自分にとって有利な部分だけを話したりすることもあります。
もちろん、必ずしもうそをついているという意味ではありません。ただ、“断片的な情報”である可能性はあります。だから、「うちの子はこう言っているのですが…」という形で相談するのが、とても大事だと思います。
実際、保護者から情報が入ることで、先生側も子どもの見え方が変わることがあります。先生は30人以上の子どもを見ているので、家庭での様子まではなかなか分からないんですよね。だからこそ、「最近こんなことで悩んでいるみたいです」といった情報があることで、学校での様子とつながり、「そういう背景があったのか」と気づけることもあります。
感情的になりそうなときこそ“学校と一緒に考える”という視点をもつ
――保護者が感情的になりそうなとき、意識するとよいことはありますか?
鈴木先生:感情的になってしまう気持ちは当然です。子どもがつらい思いをしていたら、親として苦しくなりますよね。ただ、感情的になると、本当に伝えたいことが伝わりにくくなってしまいます。
大切なのは、「どうすれば子どもがよりよく過ごせるか」を学校と一緒に考えることです。
問題が起きたときほど、本来は学校と保護者が協力しなければいけないんですよね。そのときにおすすめなのが、「親としてできることはありますか?」という言葉です。これは、“学校を責めたい”のではなく、“子どものために一緒に考えたい”という姿勢が伝わる、とてもいい言葉だと思っています。
また、問題が起きたときに、誰か1人を悪者にしてしまうと、解決から遠ざかってしまうこともあります。学校にも課題があるかもしれないし、家庭側にもあるかもしれない。子ども自身の課題もあるかもしれません。だからこそ、「どうすればよくなるか」を一緒に考えていく姿勢が大切だと思います。

――先生に相談があるときは、事前にアポイントをとったほうがいいでしょうか。
鈴木先生:そうですね。いきなり長い相談をするよりも、「少しご相談したいことがあります」と事前に伝えて、アポイントを取っておくと、お互い準備ができるので話しやすくなります。
メールや連絡アプリは便利ですが、文章だけだと感情が伝わりにくく、誤解が生まれることもあります。簡単な連絡はデジタルでもいいですが、大事な相談ほど、実際に会って話すほうがいいと思います。
相談するなら「タイミング」と「相手選び」も大切
――例えば担任に対する不満など、本人に直接言いづらい内容の場合は、どうしたらいいのでしょうか?
鈴木先生:学校には、学年主任や副校長・教頭、生徒指導担当など、いろいろな立場の先生がいます。例えば、「担任の先生の指導方法について相談したい」という場合は、担任本人ではなく、学年主任や副校長に相談した方がスムーズなこともあります。
学年主任や副校長は監督責任がありますから、保護者から担任に関する相談があれば、指導が入ると思います。
――そうすることで、自分の子どもの立場が悪くなったらどうしようという不安もあります。
鈴木先生:学校側もあからさまに児童が不利益を被るようなやり方はしないはずです。担任の不適切な行為を指摘したなら、管理職が廊下などを見回る回数を増やしたりして、現場で指導すればいいわけです。そのときに誰から言われたというのは全然関係なくて、管理職が見た現場に関してのことを指導するはずですので。
――学校を信用して伝えていいのですね。
鈴木先生:全てとは言わないですが、多くの先生方はそういう配慮をすると思います。

――管理職の先生に相談したい場合、担任に知られずにアポを取ることはできますか?
鈴木先生:学校の直通電話に授業時間中にかければ、電話を取るのは副校長や事務職員です。「担任のことで相談したいことがあるので管理職の先生と話したい」と伝えれば、つないでもらえるはずです。逆に担任の先生に連絡したい場合は、放課後のほうがつながりやすいです。
――なるほど。先生それぞれの役割など、あまり分かっていませんでした。
鈴木先生:学校は組織なので、相談内容によって適切な窓口があります。学級担任、学年主任、その上に教務主任や副校長、校長などがいて、誰に相談するかを考えることが大切です。
子ども同士のトラブルであれば、「児童指導専任」「生徒指導専任」と呼ばれる先生がいます。クラス担任を持たず、学校全体の子どもの様子やトラブル対応を担当する立場で、多くの学校で相談窓口にもなっています。
また、特別支援教育については特別支援コーディネーター、心の相談にはスクールカウンセラーなど、それぞれ専門の窓口があります。学校だよりやホームページに相談先が載っていることが多いので、事前に確認しておくとスムーズです。
――相談窓口の案内プリントは配られますが、意外と見落としがちだったかもしれません。
鈴木先生:そうなんです。学校や自治体のホームページにも、「特別支援ならここ」「子どものトラブルならここ」と案内が出ている場合があります。相談相手を間違えると時間がかかることもあるので、学校の組織系統を知っておくことは大事です。
――クレームではなく、先生にお礼を言いたいときなども、気軽に連絡できる手段があるといいのですが…。
鈴木先生:最近は学校ホームページに問い合わせ用メールアドレスを載せている場合もありますよ。電話や来校するほどではないけれど伝えたい、というときには便利な手段ですね。
子どもの前での言葉が、学校との関係に影響することも
――子どもの前で、学校や先生の話をするときに気をつけたいことはありますか?
鈴木先生:例えばクラス替えのあと、子どもの前で「今年の先生はハズレだね」などと言ってしまうと、子どもはその言葉をそのまま受け取ってしまいます。そうすると、せっかく新年度に「頑張ろう」と思っていた気持ちまで崩れてしまうことがあります。
もちろん、学校や先生側に課題がある場合もあります。でも、それは大人同士で解決していくべきこと。子どもの前で先生の悪口を言うことは、結果的に子どもの学校生活や学びにも影響してしまう可能性があります。問題があるなら、学年主任や管理職に相談するなど、大人同士で解決しましょう。

学校と保護者は“子どもを支える両輪”
――学校とよりよい関係を築くために、できることはありますか?
鈴木先生:最近は、PTAだけではなく、読み聞かせや家庭科補助など、いろいろなボランティアがありますよね。面倒だと考える方も多いかもしれませんが、そういう形で学校に関わるのはおすすめです。
実際に学校へ行くと、先生の雰囲気や子どもたちの学校での様子も見られますし、自分の子どものクラス以外を見ることで、「この学年ってこんな感じなんだ」と視野も広がります。“無理のない範囲で学校と接点を持つ”というのは、保護者にとってもプラスが大きいと思います。
――最後に、学校との関係に悩んでいる保護者へメッセージをお願いします。
鈴木先生:学校と保護者は、敵同士ではありません。どちらも「子どもがよりよく育ってほしい」と思っている仲間です。だからこそ、困ったときには率直に話し合いながら、一緒に考えていくことが大切だと思っています。完璧な学校も、完璧な保護者もいません。だからこそ、お互いに情報を共有しながら、“同じ方向を見て”子どもを支えていけるといいですね。
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大事なわが子のことだからこそ、学校でうまくやれているか不安になったり、先生への相談ごとをどう伝えればいいのか悩んだりすることもありますよね。でも、学校と保護者が同じ方向を見ながらともに子どもを支えていくことが大切なのだと、お話を伺って感じました。
今回お話を伺った鈴木先生の著書『保護者が知っておきたい 先生・学校の協力を引き出す「上手な伝え方」のコツ』では、学校との関わり方や、先生への伝え方のポイントについて、具体例を交えながら詳しく紹介されています。学校との関係に悩んだ時のヒントとして、参考にしてみてはいかがでしょうか。
お話を聞いたのは
東京学芸大学教育学部卒業。放送大学大学院文化科学研究科修士課程修了。公立小学校で22年間教諭として勤務し、現在も教育現場を支える立場で活動中。このほか、相模女子大学学芸学部・人間総合科学大学人間科学部の非常勤講師として大学教育にも携わる。専門は子どもの心と体の健康。保護者や教育関係者向けに、執筆・講演・研修などを行い、現場の課題に寄り添った情報発信を続けている。
この記事を書いたのは
美容師として働いた後、子育てをきっかけにWEBライターとして活動をスタート。現在は親子向けWEBメディアを中心に、子育て・教育・ライフスタイル分野の記事を執筆している。親子イベントや商品レビュー、専門家インタビューのほか、映画や配信作品のレビュー記事も手がける。
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