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幼児の吃音治療で使う教材の悩みから、「ことたね」が誕生

――「ことたね」の名前に込めた思いと、開発の背景を教えてください。
黒澤さん 「ことたね」という名前には、子どもたちのことばの種を育てて、ことばを育むという願いが込められています。
「ことたね」が誕生したきっかけは、実は私自身の仕事の悩みからなんです。私は、福島県で吃音の相談室を開いていますが、未就学児の吃音の治療プログラムに「リッカムプログラム」というものがあります。「リッカムプログラム」は、絵カードや間違い探しなどの教材を活用しながら、子どもからさまざまなことばを引き出すのですが、例えば間違い探しのカードは何十パターン用意していても足りないんです。子どもから「この間違い探し、前にもやったよ!」と言われてしまうこともあって…。
そのためバリエーションが尽きない教材はないかと探していたのがきっかけです。
吃音に限らず、子どものことばの発達には、さまざまなことばを引き出していくことが大切なんです。
幼児期の吃音の割合は、約10人に1人
――吃音とは、どのような状態なのでしょうか。
黒澤さん 吃音は、発話障害のひとつで「お、お、お、おかあさん」のように音を繰り返す連発、「おーーかあさん」のように音を伸ばす伸発、「・・・おかあさん」のように間があく難発などがあり、幼児期は約10人に1人の割合で、吃音がみられます。また2〜4歳で吃音が出始めることが多いです。
原因は正確に特定されていませんが、吃音になりやすい元々の体質の影響が大きいといわれており、育て方などは関係ありません。約80%は自然に治るといわれていますが、多くの場合、就学以降は自然に治る確率が少しずつ下がっていくとされています。
子どもの吃音を診る言語聴覚士が少ないのが課題
――子どもに吃音が疑われるときは、どうしたらよいのでしょうか。
田中さん 吃音の多くは、「あ、あ、あのね」など軽い繰り返しから始まることが多いです。もし気になる様子があるときは、乳幼児健診や小児科、自治体の発達相談窓口などで相談しましょう。
ただし子ども分野の言語聴覚士は、全国で4,000人程度といわれています。言語聴覚士有資格者の1/10程度しかいないため、すぐに子どもの吃音を診てくれる言語聴覚士につながれないこともあり、それが課題となっています。
子どもとの会話やコミュニケーションが、大変だと感じる家庭は77%
――「ことたね」は、子どもの吃音治療の教材探しから生まれたとのことですが、吃音がある子ども専用のゲームアプリなのでしょうか。
松川さん 「ことたね」は、吃音がみられたり、ことばの発達がゆっくりな子だけでなく、2~8歳ぐらいのすべての子どもを対象にした、会話を育むAIゲームアプリです。

上の表は、当社が行ったアンケート調査*ですが、「お子様との会話やコミュニケーションにおいて、大変だと感じたりすることはありますか?」の質問に「たくさんある」「たまにある」と回答した方は77%でした。
「具体的にどのようなシーンで大変だと感じますか?」(複数回答)の質問では、「子どもが何を言いたいのか理解できない」38%、「園での出来事を聞いても“忘れた”“楽しかった”だけで終わる」37%、「自分の気持ちを言葉にさせる教え方がわからない」27%という結果でした。
*子どものいる20〜49歳の男女291人へのアンケート(2026/2実施)
そのため「ことたね」は、ことばの発達に課題がある子だけでなく、「うちの子は、ことばで表現するのが苦手」「親子の会話が乏しい」など悩みを抱えているご家庭でも、ぜひ取り入れてほしいと思います。
「ことたね」は2~8歳ぐらいのすべての子どもを対象にした、4つのゲームで展開

「ことたね」は、親子のやりとりを楽しめる4つのゲームがありますが、ゲームの内容は次の通りです。
●キャラメーカー 好きなことばを入力するとAIがことばをもとにプリンセスやロボット、モンスターなどのキャラクターを生成。キャラクターから「〇〇と△△、どっちが好き?」「好きな色は何?」などの質問があり、答えながらキャラクターとのやりとりを楽しめます。
●これなあに? AIが作ったイラストの一部を見て、何が隠れているか当てるゲーム。
●ふしぎをみつけよう! AIが作った絵を見て、「朝なのに月が出ている」など、ふしぎなところを探すゲーム。
●〇〇はどこ? AIが作ったイラストと同じものを探す絵探しゲーム。
「ことたね」で、子どもからの質問が増えた! 親子の会話が広がった

――「ことたね」の4つのゲームを実際にやってみたのですが、どのゲームもルールがシンプルで幼い子どもでも楽しめますね! 「ことたね」で遊んだ、親子の感想を教えてください。
松川さん 我が家の話ですが、4歳の息子は「ふしぎをみつけよう!」がお気に入りで、よく親子でやっています。「ふしぎをみつけよう!」をするようになってから、保育園の帰り道に「ママ、あの木おかしいよね?」「あの車、おかしいよね?」と聞いてくるようになって、親子の会話が広がりました。
黒澤さん うちは3歳の息子がいますが、キャラメーカーが好きです。好きなことばを入力して、いろいろなキャラクターをAIで作って楽しんでいます。
先ほど、リッカムプログラムの教材で、バリエーションが尽きないものはないか探していたと話しましたが、「ことたね」は生成AIを活用しているから新しいキャラクターや質問がどんどん出てきて、子どもも飽きないし、親子の会話も広がりやすいんです。
ゲームを通して、子どもと楽しく会話するコツが身に付く

――アプリをしているとき、ママ・パパはどのようなことばをかけるとよいのでしょうか?
田中さん 「ことたね」は、どのゲームも「どこに隠れているかな?」「これ何だと思う?」などママ・パパがことばをかけながら、親子で一緒に楽しむゲームです。
また、どのゲームにも、おすすめの声がけ例が表示されますし、ゲームごとに「言語聴覚士が教える楽しく会話するポイント」も紹介されているので、ぜひ参考にしてください。
ほかには普段の親子の会話でも心がけてほしいことですが、子どもが言い間違えをしても指摘したり、否定したりするのはやめましょう。子どもの話をさえぎって、親が話し始めるのも控えましょう。そうしたことの繰り返しが、自分のことばで伝えようとする意欲を低下させてしまいます。
黒澤さん 普段の親子の会話で「今日は、幼稚園で何したの?」と漠然と聞いて答えられないときも、子どもは「積み木した?」「誰と遊んだの?」という質問のほうが答えやすいことがあります。子どもが答えやすい質問の仕方も、「ことたね」を通して身に付いていくと思います。
――ことばの発達がゆっくりな子は、どのようにして「ことたね」で遊ぶとよいのでしょうか。
田中さん ママ・パパが絵を指差して話しかけたり、子どもと視線を合わせて「あったね」と伝えたりするのは、ことばを育むうえで大切なことです。「ことたね」で楽しく遊びながら、ことばの種をいっぱいまいてあげてほしいと思います。
乳幼児健診などでことばの発達を相談するときは、会話の録音データを持参して

――「ことたね」には録音機能がついていますが、どのように活用するとよいのでしょうか。
田中さん ことばの発達が気になって乳幼児健診や小児科などで相談すると、子どもは緊張して普段の様子を見せないことが多々あります。言語聴覚士は、普段の子どもの話し方などが知りたいので、普段の会話を録音した音声データがあると助かります。
また子どもの成長記録として、録音しておくのもおすすめです。

子どもだけでゲームをしたり、動画を見ていると、次第に親子の会話が少なくなってしまうことも。ことばの発達を促すために、特に大切にしたいのは、ゲームや動画のように一方向のコミュニケーションではなく、双方向でコミュニケーションを深めることです。「ことたね」は親子の会話を紡ぐ、コミュニケーションツールのひとつです。

お話を伺ったのは
吃音を専門とする言語聴覚士。福島県の総合病院にて、幼児から大人までの吃音臨床に従事。その後、吃音専門の相談室「吃音・ことばの相談室くろさわ」を開室。オンラインも活用し全国各地からの相談に対応している。日本・吃音流暢性障害学会 広報委員、講習・研修委員、幼児吃音臨床ガイドラインWG ほか。
お話を伺ったのは
言語発達を専門とする言語聴覚士。大学病院のリハビリテーション科に勤務後、フリーランスを経て区発達相談センター、キッズクリニックで働く。NHK Eテレ「すくすく子育て」出演、世界文化社「PriPriパレット」連載、「あそびカード~ことばを育てる~」監修など。
お話を伺ったのは
クリエイティブプロダクション ビービーメディア株式会社で、ビューティー系の広告制作を手掛けるアートディレクター。自社開発で、AIを使用したサービス開発を多く手掛ける。
この記事を書いたのは
子育てや子どもの病気、事故を中心に取材・執筆を行う。情報発信によって、病気の予防・早期発見、事故予防につながる記事作りを心がけています。2 人の子どもがいます。
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