「RSウイルス感染症」はこんな病気!
RSウイルス感染症は冬に流行することが多い感染症で、かぜのような症状があらわれます。軽い症状で済むこともありますが、くり返しかかったり重症化することがあります。
2歳までにほぼ100%の子どもが感染するといわれています。
おもな症状と原因
RSウイルス感染症のおもな症状と原因について見ていきましょう。
重症化すると気管支炎などを起こす
RSウイルスの感染によって起こります。鼻水やせき、発熱といったかぜに似た症状から始まり、軽症の場合はそのまま治まります。ただし年齢が低いほど重症化しやすく、特に初めて感染した生後6か月未満の赤ちゃんは、30%ほどの確率で気管支炎や肺炎を起こします。気管支炎や細気管支炎になると、息を吐くときにゼイゼイと音がするようになります。
治療の基本
それでは、RSウイルスに感染した場合にはどんな治療を行うのでしょうか。
吸入薬や飲み薬で呼吸を楽にする
気管が左右の肺へ向けて分かれる部分より先を「気管支」、気管支が細かく枝分かれした部分を「細気管支」といいます。RSウイルスが気管支や細気管支に感染すると症状が悪化するので、病院での治療が必要になります。病院では、症状に応じて気管を広げる薬の吸入などを行い、飲み薬も処方されます。重症の場合は、入院が必要になることもあります。
ホームケアの基本
病院での治療が基本のRSウイルス感染症。通院して診察をすませたうえで、ホームケアでできること、その注意点をご紹介します。
適度な湿度を保つ
乾いた空気は気管を刺激するので、室内は適度な湿度を保ちます。加湿器を遣ったり、濡れたタオルを室内に干すなど、室内の空気が乾燥しすぎないよう注意しましょう。
上体を高く保つ
激しくせき込んだり呼吸が苦しそうだったりするときは、すわらせて体を支えたり、枕などを使って上体を高くしたりします。背もたれの角度が調節できる座椅子などがあればベッドがわりに使ってもいいでしょう。
適度な水分補給を
のどからつながる空気の通り道が乾燥すると、たんが出にくくなって苦しいので、少量ずつ水分補給をして、たんを出しやすくします。
ホームケアに頼りすぎない
それでも呼吸が浅くて速い、激しくゼイゼイする、水分がとれない、などの場合は、すぐに病院へ行きましょう。
予防のためにできること
RSウイルスに感染しないためには、どんなことに注意すればいいでしょうか。
こまめな手洗い&うがいが基本
感染している人の鼻水などにはウイルスが含まれており、せきやくしゃみをしたときに飛びちったものを吸い込んだり、手を介して体内に入ったりすることでうつります。
予防の基本は、こまめに手洗いやうがいをすること。かぜのような症状が見られる子どもは、病気を広げないためにマスクをつけるのも理想です。
小児科医の先生からメッセージ
RSウイルスは一度の感染では十分な免疫ができないため、くり返しかかりますが、成長とともに症状は軽くなっていきます。
ただし、赤ちゃんの場合は症状が急速に悪化することがあります。RSウイルスの流行期には、かぜだと思っても油断せず、注意して様子を見守りましょう。
監修/澁谷紀子先生
総合母子保健センター 愛育クリニック 小児科・母子保健科部長
小児科専門医、アレルギー専門医。東京大学医学部卒業。東大病院、山王病院、NTT東日本関東病院小児科などを経て現職。4人の女の子の母でもある。
出典/『新 幼児と保育』 文/野口久美子 再構成/HugKum編集部