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お風呂に入れず、スキンケアができないために症状が悪化
――災害時、子どものアトピー性皮膚炎が悪化しやすいのはなぜでしょうか。
足立先生 1つは、スキンケアの基本である入浴ができないことです。また、ステロイド外用薬などを塗ってケアができないことや、ほこり・粉塵・紫外線などの刺激によって湿疹、かゆみが悪化しやすい傾向があります。大きな環境の変化や生活リズムが乱れることでストレスを感じて症状が悪化することもあります。
子どものアトピー性皮膚炎の悪化は、東日本大震災や能登半島地震のときもみられました。
入浴ができるようになるまでは、体拭きシートで代用

――アトピー性皮膚炎の悪化を防ぐために、非常用袋に入れておいたほうがよいものを教えてください。
足立先生 入浴ができないときのために体拭きシートを用意しておきましょう。低刺激性タイプを選び、一度、肌に合うか試してから使用してください。試すときは、湿疹が出ていない部位(腕や足)に使い、赤みやかゆみなどが出ないか1~2時間ほど様子を見てください。
体拭きシートで拭くときは、ゴシゴシこするのはNG。押さえるようにして拭いてください。
涼しければ長袖を着用して、刺激から肌を守ろう
――先ほど、ほこり・粉塵・紫外線などの刺激によって湿疹、かゆみが悪化しやすくなるとのことでしたが、防ぐにはどうしたらよいのでしょうか。
足立先生 長袖を着用するとよいでしょう。綿素材で、少しゆったりしていて通気性がよい長袖を着せてください。ただし暑くて長袖を嫌がるときは、無理に着用させる必要はありません。
また避難所で配付される毛布が、刺激になることもあります。万一に備えて、毛布を入れる掛け布団カバーを用意しておくのもおすすめです。
市販のステロイド外用薬は、いつも使っている処方薬よりワンランク強いタイプを準備

――避難中、いつも使っているステロイド外用薬が手元にない場合は、どうしたらよいのでしょうか。
足立先生 非常用袋に市販のステロイド外用薬を入れておきましょう。子どものアトピー性皮膚炎の処方薬は、ステロイド外用薬と保湿剤を混ぜ合わせているのが一般的ですが、避難中は保湿剤がなければ、市販のステロイド外用薬だけを患部に塗って構いません。
また処方されるステロイド外用薬は、ウィーク(弱い)、ミディアム(普通)、ストロング(強い)、ベリーストロング(とても強い)、ストロンゲスト(最も強い)の5つのランクに分類されます。一方市販薬は、ウィーク(弱い)、ミディアム(普通)、ストロング(強い)の3種類です。
災害時は、アトピー性皮膚炎の症状が悪化しやすいので、日ごろ処方されているステロイド外用薬より1つ上の強さの市販のステロイド外用薬を使うとよいでしょう。市販のステロイド外用薬を選ぶときは、かかりつけの医師や薬剤師に相談してください。
また「モバイルファーマシー」というキャンピングカーなどを利用した移動薬局が、比較的早く被災地に到着します。「モバイルファーマシー」は、東日本大震災の際に、津波で薬局が流されてしまい、薬の供給が止まってしまったという課題を解決するために開発されました。お薬手帳を見せると、同じ薬や類似の薬が処方されるため、災害時には、お薬手帳を必ず持って避難してください。浸水に備えて、お薬手帳が濡れたり、流されたりしないように置き場所を見直すことも大切です。
使い捨て冷感タオルで患部を冷やして、かゆみを抑える
――避難所などで、子どもがかゆがるときはどのように対応したらよいでしょうか。
足立先生 冷やすとかゆみが和らぐので、使い捨て冷感タオルを非常用袋に入れておきましょう。体拭きシート同様に、低刺激性タイプを選び、湿疹が出ていない部位(腕や足)で試してから使用してください。
使い捨て冷感タオルがないときは、優しくトントンと叩いても、かゆみが和らぎます。また、かゆみ止めの内服薬(抗ヒスタミン薬)を準備しておくと安心です。市販薬は、かかりつけの医師や薬剤師に相談して、購入してください。
プライバシーを確保するグッズがあると、スキンケアがしやすい

――そのほか、災害時に備えておいたほうがよい物を教えてください。
足立先生 避難所でステロイド外用薬などを塗るときに、保護者からは「人の目が気になって、子どもを裸にさせたくない」「子ども自身、裸になりたくないと言う」といった声も聞かれます。そのためテントなどプライバシーを確保するグッズがあると助かります。
また、体が洗えるようになったら、ビニール袋に少量の水とボディソープを入れて振り、泡を作って泡洗いしてあげるとよいでしょう。
2025年12月~2026年1月、富山赤十字病院小児科では、子どもがアレルギー疾患をもつ保護者を対象に「災害時の備えに関するアンケート調査」を行ったところ、「災害時の薬の備えなし」と回答したのは44%にのぼりました。万一に備えて、非常袋の中身を見直してほしいと思います。
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足立雄一先生
この記事を書いたのは
子育てや子どもの病気、事故を中心に取材・執筆を行う。情報発信によって、病気の予防・早期発見、事故予防につながる記事作りを心がけています。2 人の子どもがいます。