人気ブロガー・ベリーさんに聞く【算数のおうち学習術】「4人きょうだいで同じやり方は通じない!」子ども一人ひとりに合った学び方を試行錯誤

子どもに算数を好きになってほしいけれど、「教えるとケンカになる」「きょうだいで向き不向きが違いすぎる」と悩む親は多いもの。今回は都内の2LDKマンションで4人のお子さん(高3・中3・小4・小2)を育てながら、12年間おうち学習を実践する人気ブロガー・ベリーさんにインタビュー!長女との家庭学習で得た気付きから、未就学〜低学年で仕込むべき算数の土台、具体的に効果があった教材、共働きの習慣化のコツまで、たっぷりとお話を伺いました。

「長男と同じ」ではうまくいかない。長女との家庭学習で気付いた、子ども一人ひとりを見る大切さ

― 4人のお子さんがいらっしゃるベリーさん。みなさん、算数の向き不向きは違いましたか?

ベリー:きょうだい4人、見事なまでに全員タイプが違います。親はどうしても、上の子でうまくいった成功体験を下の子にも当てはめたくなりますよね。でも、一人ひとり性格も違えばつまずくポイントも違いました。実は長女が小学生の頃、私自身が教材選びを失敗してしまったんです。

― どのような失敗だったのでしょうか?

ベリー:長男が、基礎ができるようになったら応用に進む、というように割とスムーズに進められたんです。そこで長女も同じようにある程度基礎的なことができるようになったら市販の「ハイレベル問題集」を解かせてみたんですね。そうしたら、苦手な単元のページに取り組むときに、1ページ進むのに2時間も3時間もかかってしまって……。長女は、解けない問題があると「まあ、後から見直せばいいか」と思うことなく、向き合い続ける性格です。そのページの問題をがんばって解こうとしたけれど、解けない問題が続いて「私、算数はできないんだ…」と自信を失ってしまったんです。算数の基礎ドリルはどれもスムーズに進んでいたのにも関わらず、です。

画像はイメージです

― そこからどうやって立て直したのですか?

ベリー:「あ、これはアプローチを間違えた!」と。すぐに基礎ドリルに戻したんです。もしあのまま私が難問にこだわり続けていたら、彼女は間違いなく算数大嫌いな子になっていたでしょうね。親はつい、難しい問題を解けるようになってほしいと思ってしまいますが、いちばん大切なのは、基礎をすらすら解けるレベルまで徹底的に繰り返すこと。そして、算数を嫌いにならないことです。そうならないために、子どものつまずきに合わせてすぐにレベルを調整したり教材を変えたりできるのは、家庭学習の最大のメリットだと思います。

― 基礎の徹底といえば、長男さんは公立トップ高校に進学され、文系に進まれた今も数学がお好きだそうですね。

ベリー:長男は小学生の頃から算数が好きで、現在高校でも学年のトップクラスを維持しています。でも、子育てをして感じたのは、「この問題集を使えば急に算数ができるようになる」というミラクルは存在しないということです。長男が高校生になっても数学で成果を出せているのは、小学1年からの基礎の積み重ねがあったからだと思います。

― やはり小学生時代の土台がものをいうのですね。

ベリー:算数・数学は積み上げの教科。1桁+1桁の計算が完璧でなければ筆算でぐらつきますし、小数や分数が曖昧なままでは割合の概念は理解できません。単元ごとのテストでは点が取れても、学年末テストや模試、入試で点が取れなくなるのは、過去のどこかの単元に、小さなぐらつきが残っているからです。わが家では小学生の間、とにかく計算や基本的な算数の概念に穴がないよう愚直にやってきました。その地道な土台があったからこそ、長男は本人の几帳面な性格とも合わさって花開いたのだと思います。長女にしても、高校受験を控える今、小学校時代の土台があったおかげで数学も高得点を取れるようになってきています。

算数は「手で触って」覚える! ベリー家が愛用する神教材&神グッズ

― 未就学から小学校低学年にかけて、算数の土台を作るために具体的にどんな教材や教具を使われましたか?

ベリー:教材については、小学館から出ている隂山英男先生のドリルシリーズを長年愛用しています。価格が手頃で買いやすく、何より子どもが挫折しない構成が素晴らしいんです。特に未就学〜小1のスタート期には、隂山先生の『はじめてのたしざん』 、『はじめてのひきざん』などの「はじめてシリーズ」を重宝しました。下の子たちには1人3冊ずつ買い直して使わせたほどです。大人からすると「1+1」なんて簡単に見えますが、子どもにとって数字という抽象的な概念を頭の中で処理するのは非常にハードルが高いもの。このドリルは価格もお手頃ですし、無理なく数字の計算へと移行できるよう工夫されています。

― 算数グッズに関しても、何かおすすめはありますか?

ベリー:目で見ることに加えて、手で触る体験を大切にするため、いろいろと取り入れてきました。大活躍したのが「百玉そろばん」です。紙の上の数字だけでは頭に浮かびにくい繰り上がり・繰り下がりの感覚を、玉をパチパチと弾いて「量の大きさ」として目で見て手で触れることで、直感的に理解させるのに非常に役立ちました。

― そろばん以外にも、立体感覚を養うグッズなども使われたそうですね。

ベリー:くもん出版のカラフルな立方体のつみき、「図形キューブつみき」もすごく良かったです。「積み木が何個積み重なっているか」「見えない裏側に何個あるか」という空間認識は、紙のプリントだけではなかなか掴めません。実際に手を動かしてキューブを組み立てたり崩したりすることで、体感として身につきます。

あとは、ラーニングリソーシーズの、「透明立体図形シリーズ」ですね。円柱や角柱、円錐などの透明な立体図形セットなのですが、これを無印良品のワイヤーバスケットに入れてお風呂場に持ち込み、お風呂のおもちゃとして子どもたちに自由に遊ばせていました。「これが三角錐だよ」なんて勉強として教えこむのではなく、日頃から触らせておく。そうすると、後から授業やプリントで出てきたときに「あ、あの触っていたおもちゃのことか!」とスッと頭に入ってくるんです。

1冊でできる子なんていない

― 「計算の正確さ・スピード」や「文章題」などで子どもがつまずいたとき、どのような意識でアプローチされていますか?

ベリー:大前提として知っておいていただきたいのは、「ドリルを1冊やったからといって、マスターできる子どもなんてなかなかいない」ということです。どうしても親は「たし算のドリルを1冊終えたんだから、もうたし算はカンペキなはず」と思ってしまいがちで、できないと「うちの子は算数が苦手なのかな…」と焦ってしまいます。でも、そんなことはありません。

― 1冊終わっても定着していない場合、どうすればいいのでしょうか?

ベリー:まったく同じドリルをもう一度買って、2周目、3周目をやればいいんです。たし算は2冊でマスターできるかもしれないけれど、ひき算は5冊かかるかもしれない。でも「そんなもんだ」と親が腹を括っておくことが大切です。陰山先生のドリルなら手頃な価格ですし、もったいながらずに何度も買い直して「すらすら解ける」レベルになるまで反復させます。

― 子どもによって「計算」の手前で引っかかっているケースもありますよね。

ベリー:まさにそうです。3番目の子どもが年長の頃、鉛筆を持って文字や数字を書く「運筆」自体をすごく嫌がった時期がありました。上の2人は自然とできていたのですが、3番目の子は手先のコントロールがまだ未発達だったんです。ここで無理に文字や数字を書かせたら、勉強嫌いになると感じたので、まずは『くもんの迷路ドリル』を導入しました。迷路をたどる遊びを通じて、まずは楽しみながら鉛筆を思い通りに動かす運筆力を養ったんです。その結果、小1のスタート時に「勉強が分からない」という挫折を味わわずに済み、「学校の勉強は得意だ!」という最高のスタートを切ることができました。つまずきの根本が「計算力」なのか「手先の運筆」なのか「図形のイメージ」なのかを親が観察し、その手前の段階まで戻ってアプローチすることを意識しています。

共働きだからこそ「大学ノート作戦」と家電を徹底活用

― ベリーさんはフルタイムでお仕事をされていらっしゃいますよね。同じく、仕事や家事で忙しく、ずっと子どもの側にいられない保護者のみなさんはどのように家庭学習を習慣化させるとよいでしょうか?

ベリー:よく「家庭学習は朝やるのがいちばん効果的」と聞きますが、私は朝が本当に弱くてダメなので、朝学習は早々に諦めました(笑) 。親ができないことを子どもに強要するわけにはいかないので、わが家は、学校から帰ってきてから取り組むルールにしています。

― 夕方の忙しい時間帯に、どうやって子どもたちに勉強をさせるのですか?

ベリー: 大学ノートを使って、やることがすぐに分かるようにしています。前日の夜、または当日の朝に、私が大学ノートにその日やるべき学習内容を箇条書きで書く。

  • 漢字ドリル ○ページ
  • 計算ドリル ○ページ
  • 国語読解 ○ページ

といった具合です。子どもたちは学校から帰ってきておやつを食べたりだらだら過ごしたりした後、私や夫が帰宅する19時頃までの間に、そのノートのタスクを終わらせる約束です。分量は、学校行事の疲れ具合や、習い事がある日はゆるやかに、など、調整しています。

― 親が横についていなくても、自発的にやるようになるのでしょうか?

ベリー:ここで大事なのが、「タスクが終わったら、夕飯までの時間は好きなだけゲームをしてOK!」というルールにしていることです。子どもたちはゲームが大好きなので、「早く終わらせれば終わらせるほど、ゲームができる時間が増える!」と自発的に集中してドリルを終わらせるようになります(笑)。

― なるほど、ゲームをご褒美兼モチベーションにしているのですね! 帰宅後のベリーさんのスケジュールはどんな流れですか?

ベリー:私は帰宅したら、まず、ホットクックやヘルシオ、炊飯器に材料をセットして、自動調理に夕飯作りを半分ほど任せます。調理が完成するまでの時間、私はビールを片手に夫と「今日もお疲れさま〜! 乾杯!」とやりながら、子どものドリルの丸付けをするんです。夫が早く帰ってきた日は夫が丸付けをしてくれます。丸付けをして、間違い直しまで終えたら一日の学習が完了。そこから夕飯を食べます。親が手取り足取り教えながら張り付くのではなく、「ノートに書いておく」「終わったらゲーム」「家電を活用して丸付けの時間を作る」というシステムを作ってしまうこと。このルーティンを親がブレずに毎日淡々と繰り返すことで、子どもにとっても「家庭学習をやるのが当たり前」という強力な習慣が作られていきます。

親は、ツールを探すコーディネーターになろう

― 親自身が「自分は文系で算数が苦手…」という場合、高学年や中学生になって勉強が難しくなってきたらどう向き合えばよいでしょうか?

ベリー:実は、私自身も昔から算数は苦手でした! (笑) だからこそ言えるのですが、高学年や中学生以降の勉強において「親が勉強を教えること」はすっぱり諦めていいと思っています。小学生の基礎レベルまでなら親が一緒に丸付けをして見ることができますが、中高生の数学を親が教えても効率が悪いですし、何よりお互い感情的になって大喧嘩に発展しますから。

― 親が教えないとなると、どのようにサポートすればよいのでしょうか?

ベリー:親の本当の役割は「教える」ではなく、「わが子に合った良い選択肢、ツールを探してきて提供する」です。わが家でも、長男には「スタディサプリ」や市販の良質な参考書という選択肢を用意し、彼はそれらを自分で活用して高校3年間一度も塾に行かずに乗り切りました。一方で、完璧主義で部活にも全力投球な長女には、オンライン教材も活用しつつ、本人の希望に応じて「塾に通う」という選択肢を中2のときに選びました。親自身が解法を理解して教える必要なんて全くありません。また、下の子たちの家庭学習には、今年度から「デジタルドリル天神」を取り入れています。おいしいご飯と安心して眠れる場所を用意して、「世の中にはこんな分かりやすいドリルや映像授業、アプリがあるみたいだよ。試してみる?」と、子どもに合ったツールを届けてあげれば十分なのではないでしょうか。

「私も悩んでいる親の一人」

― 最後に、子どもの算数学習やおうち学習に日々奮闘している保護者のみなさんへ、メッセージをお願いできますか?

ベリー:最初は60平米のマンションでの暮らしや時短家事をブログに書いていた私ですが、おうち学習の様子を載せるようになって「うちも勉強で悩んでいます」という声を本当にたくさんいただくようになりました。みなさん「ベリーさんの家はいつも順調でうらやましい」と言ってくださるのですが、全然そんなことありません! (笑) 日常的に子どもとケンカもしますし、嫌がられて、私が頭を抱える日だって日常茶飯事です。

子どもの将来を思うと、つい親の方が焦ってわが子の問題を自分の問題として丸ごと抱え込んでしまいがちですが、「親としてできるサポートは精いっぱいやるけれど、出た結果は本人の人生」と少し冷静に見守る姿勢も大切だと実感しています。

今の時代は情報があふれていて、どの勉強法が正しいのかと迷うかもしれませんが、完璧を目指して立ち止まることはありません。まずは評判の良い定番の基礎教材を1冊買って、今日から子どもと一緒に開いてみてください。やってみて合わなければ、そのときに調整していけばいいんです。

小学校の6年間で「基礎の土台」さえしっかり作ってあげていれば、子どもが自分でエンジンをかけたときに、必ず力強く走り出すことができますよ!

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お話を聞いたのは

ベリー ベリーの暮らし(ブロガー、インスタグラマー)

子ども4人(高校生~小学生)、6時半帰宅の共働き、都内60平米賃貸マンションに6人暮らし。ラクして部屋が整う工夫をしている。教育費をかけ過ぎないよう、塾なし家庭学習12年目。著書に『子供4人共働き・賃貸60㎡でシンプル丁寧に暮らす』(すばる舎)がある。

記事を書いたのは

黒澤真紀 ライター

愛媛県出身。大学時代まで自然豊かな愛媛で過ごし、都内の学習塾に勤務した後、2011年よりフリーライターへ。教育分野を中心に、医療やライフスタイルなどのテーマで執筆しています。息子たちが小学生の時に大学院を受験し、2019年、お茶の水女子大学大学院修士課程修了(社会科学修士)。子育てもひと段落。最近、俳句を始めました。

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