女性たちが自由な人生を送るための本を数多く刊行し、この度、季節に応じて心豊かな暮らしをするための『2020年CHOCHO宇宙暦』を生み出した作家・蝶々さんに季節の行事の楽しみ方や具体的な暦の活用方法について伺いました。
蝶々さんは現在5歳の女の子を育てる、ママさん作家でもあります。
季節を意識していれば、わざわざ勉強しなくても生活で知識がはぐくまれます
——インタビューの前編では「暦で子育ては豊かになる」と題して、暦を通したまいにちの楽しみ方についてお話をお伺いしました。
——これから迎えるお正月など、季節の行事はいつもどのように過ごされていますか?
蝶々 毎年、お正月は、子どもに着物を着せて、近くの神社に初詣へ行きます。子どもと迎えた初めてのお正月は私も気合を入れて、着物で初詣に行ったんですが、それ以降は着ていないですね。2020年は気持ちを新たに着ようと思っています!
また、来年は娘が七五三を迎えるのですが、私が7歳の時に着た着物を娘も40年越しで着る予定なんです。当初は新調したいと思っていたんですけど、実家を訪れた際に娘に当ててみたら、すごく似合っていたし、娘も気に入ったので、決めました。母から子への七五三が今からとても楽しみです。
世のお母さんのほとんどがそうだと思うんですけど、子どもが喜んでくれるなら、クリスマスの飾り付けも節分の鬼役も必要以上にはりきってしまいますよね。
——蝶々さん、娘さんの好きな季節はいつでしょうか?
蝶々 私はずっと夏が好きでしたが、子どもが来てから、花咲く春や紅葉が綺麗な秋が好きになりましたね。娘と一緒に自然に親しめるので。二十四節気でいうと春分から清明までの本格的な春になってきた時期と、霜降から立冬までの時期が特に好みですね。冬は冬で雪を楽しみにしていますし、どの季節も全部楽しいですけどね。
——季節や自然を通して子どもの感性を刺激する方法を教えてください。
蝶々 大人には見慣れた光景でも、子どもにはいちいち新鮮なことなので何かを発見して「おおっ」と感じている時にはすかさず「これ楽しいよね」と声をかけて感性を刺激してあげるのはいいんじゃないかな、と思いますね。
うちの母は四つ葉のクローバーのアルバムを作ったり、シロツメクサで立派な冠が作れたり、自然を楽しむのが上手な人なので、お手本にしているところがあります。母が摘んできた野草を小さな花瓶に入れてトイレに飾っていたんですが、それはいいなと思って私も生活の中に取り入れるようになりました。
また、食べ物も四季や地元のものを意識して選んでいます。冬はとにかく体を温める食べ物。今日も娘が寒くて風邪をひいているので、鳥のスープストックを使った体をぐっと温める料理を作りました。
娘は季節や旬なものにアンテナを張っているので、魚についてもよく知っています。冬の魚はブリ、カレイとか。魚屋さんでは献立になる魚を自分で選ばせていますね。「自分で選んだ魚だから美味しいね」と言って、よく食べるからおすすめですよ。幼児塾のテキストを見てもうちの娘は季節の結びつきの問題はバッチリでした。勉強したわけではなく、生活の中で身につけられたから嬉しかったですね。
「宇宙暦」の創作秘話
——『CHOCHO宇宙暦』を作り始めてから、2020年で3年目を迎えるカレンダーになるとのことですが、どうして作ろうと思われたのですか?
蝶々 『CHOCHO宇宙暦』を作る前は手帳を作っていたのですが、娘が生まれた後のお母さん気分とは違ったので、暦の制作を始めました。娘と一緒に見られるし、楽しめる、日常の中で活用するためのカレンダーです。
二十四節気、月の満ち欠けはもちろんのこと、大安、仏滅の六曜だったり、一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)や天赦日(てんしゃにち)だったり、私や子どもを育てるお母さんたちが必要な情報をぎゅっと濃縮して作りました。
そしてこの『CHOCHO宇宙暦』は世界や日本全国を周っている私の宇宙的な世界観がわかる写真を掲載しているので、地に足はついているけど、より広い世界に羽ばたけるようなデザインにしています。
——実際に『CHOCHO宇宙暦』をどのように生活の中で活用されていますか?
蝶々 リビングとトイレの2箇所に貼ってあります。リビングでは書き込んである予定を見て娘と話したり、娘はトイレに貼ってあるものを一人でよく見ているみたいです。つり下げ式のカレンダーだと1ヶ月の予定が丸ごと見られるし、娘と予定が共有できるし、季節を感じられるし、いいところがいっぱいありますね。
そして、暦について話した後、神社に散歩へ行くと「立冬」と飾ってあったりするので、「本当に今日は立冬なんだね」と知識が体に染み込むような感じがします。
子育ては「全部いい!」が鉄板です
——暦や季節とともに生きる意味について教えてください。
蝶々 “成功”や“達成”がいいことだと社会では言われがちですが、子育てをしているだけで、世にいう成功ではなくてもめちゃくちゃ幸せです。子育てをしていると、きついこともありますが、子どものそばで過ごせ、その成長や心に直接関われること自体が、一番幸せな時期なんだと思いますね。
私はシングルマザーなので、仕事をして、家事をして、子どもも暴れん坊なので手がかかるし、時々母に手伝いに来てもらうと「あなた、太る暇なんかないじゃない」とよく言われます。母はよく「3人も子どもがいたから当時は大変だと思っていたけど、70歳になって人生を振り返ると、子どもを育てているときが自分にとって一番幸せな時だった」と話します。大変だとか言っているけど、楽しみなさいよとよく言われますね。私は高齢母さんなので、素直にそうなんだろうな、と受け止めています。
子育ての中に暦が入ることですべての日が特別な日になります。クリスマスやひな祭りなど行事ももちろん頑張るんですけど、例えば立冬になったとか、大雪、夏至の日も、何をするでもなく話し合うだけでも豊かになりますよね。自分が子どもの頃の写真を見ても、各行事を親がやってくれていたんだってことも改めてわかって感謝の気持ちが湧き上がりますしね。
昔の親と違って、働くお母さんも多く、お互い大変ですけど、季節をゆるくでも意識することで、育児をする日々がかけがえのない日々に感じられるようになりますよ。例えばクリスマスの日なら柊のものを取り入れてみれば、季節を感じられますよね。ちょっとした季節のものを取り入れることから始めてみてはいかがでしょうか。
——最後に蝶々さんと同じく育児をしているママやパパにメッセージをお願いします。
蝶々 著書を通して、女性と触れ合う活動を15年もしていると、子どもが来てくれただけでも僥倖だとつくづく感じます。「他の子に比べてうちの子は発達が遅い」とか「アトピーが」とかどの親御さんも心配事はたくさんあると思いますが、生まれた頃のアルバムを大きくなったお子さんと、ぜひ一緒にご覧になってください。うちはよく仲良く見返しています。子どもが無事に生まれてくれただけで胸いっぱいで、すべてに感謝する気持ちになったはず。子どもは、このママとこのパパがよくて、人生を楽しみに来ているチャレンジャーですから。全部を肯定してとにかく愛して、可愛がって欲しいですね。
私はよく「どうしてそんなに自信満々に自分の道を突き進んでいるんですか?」と聞かれるんですが、育ってきた過程で親から否定をされたことがないし、自由に行動をさせてくれたし、細かい文句はお互いに色々あったでしょうけど、それでも親に自己肯定感をはぐくんでもらったからだと思うんですよね。悩んでいる女性に話を聞くと、多くは母親との関係に悩んでいることが多いです。そのせいで世界自体を信頼できなかったり、愛情そのものを疑ってしまう。
だからこそ、子どもは基本、「全部いい!」が鉄板です。世界中がなんと言おうと、ママやパパにはそう思って欲しいです。世界に対する信頼感や自分に対する信頼感を作ってあげるのは親であり、家庭ですから。もし自分の子ども時代は辛かったという人がいるなら、子どもと一緒に辛かった子ども時代の自分が癒されることを行なっていく。
親だって、疲れたり、キーッとすることはありますが、愛を持ってまいにち子どもをはぐくんであげたいですね。
——ありがとうございました。
蝶々(ちょうちょう)/愛知県生まれ。作家・エッセイスト。コピーライター兼銀座ホステス時代に綴っていたブログが人気を呼び、2002年『銀座小悪魔日記』(宙出版)でデビュー。『小悪魔な女になる方法』(大和出版)がベストセラーとなり、幅広い世代の女性から絶大な支持を得る。単なるモテ指南とは一線を画した、真に幸福で自由な人生を送るためのテクニックを、聖俗両面から愛を持って発信中。近著に『週末、死にたくなるあなたへ。』(双葉社)。
今の時代を元気に生きる知恵がいっぱい! CHOCHO宇宙暦2020年のテーマは、Vital<生命力>です。Vitalパワーをググッと刺激し、UPするために、写真・メッセージともにより生命力にフォーカスして作られています。刻一刻と移ろいゆく天と地の間にある日常を自由自在に遊びましょう。
サイズ:260×165mm
12か月+宇宙エッセイつき
インタビュー・文/末原美裕