子どもが生まれると、改めて四季や自然を楽しみながら過ごすことの大切さに気付かされます。しかし、具体的にどのように楽しんでいけばいいのでしょうか? そこで、女性たちが自由な人生を送るための本を数多く刊行し、この度、季節に応じて心豊かな暮らしをするための『2020年CHOCHO宇宙暦』を生み出した作家・蝶々さんに四季と子育てについて伺いました。
蝶々さんは現在5歳の女の子を育てる、ママさん作家でもあります。
暦・二十四節気を知ると、毎日は豊かになるんです
——今回のインタビューでは暦を生活に取り入れることで、より豊かな子育てをするためのコツを蝶々さんから教えていただけたらと思います。 ところで子育てをする前から、四季について積極的に楽しまれていたのでしょうか?
蝶々 独身時代は寒くなると、2、3ヶ月タイやハワイなど暖かいところへ自由気ままに行っていましたね。だから、日本の四季や暦とは繊細に付き合っていませんでした。
けれど、子どもを産み育てるということは、来る日も来る日も同じ場所で、命をはぐくむということ。同じ日の繰り返しのように感じられるけど、毎日はこんなにも違うんですよね。季節の巡りを感じることがこんなにも楽しいということは、子育てを通して知りました。
——どうして暦を気にし始めたんですか?
蝶々 私の場合、理由は2つあって。1つ目の理由は、家の近くに神社があるので、1、2週間に1度はゆっくり巡っているのですが、大きな神社は必ず二十四節気(にじゅうしせっき)に沿った行事や儀式をしているんです。それで気にし始めたところがあります。2つ目の理由は、娘が幼児塾で二十四節気を習ってきて言えるようになったからです。その時、私は「二十四節気ってなんだろう?」という状態だったので(笑)、きちんと調べて、心に留めるようになりました。
ちなみに、二十四節気というのは、太陽が1年間に移動する道筋(黄道)を24等分した季節の移ろいの基準点のことで、冬至や大寒、立春などのことを指します。
——二十四節気の魅力は?
私はもともとコピーライターだったので、よく言葉を意識するんですが、世間に広がる言葉というのは、ふわふわとしたなんとなくある空気感を言葉にした時に、形になり、広がるんですよね。バブルの時代の空気感を言葉にした、糸井重里さんの「おいしい生活」がまさにそうですよね。
二十四節気はその最たるものだと感じています。自然が変わっていく微妙な空気感を見事な言葉で表しているんですよ。「清明」などの言葉を意識した途端、ともすると流れていくような毎日が今はこの時期、今はこの時期、と細やかに楽しめるようになるんです。暦はすごいな、とつくづく感じますね。
何気ない小さな発見が子どもにとっての宝物
——お子さんとはどのように季節やまいにちを楽しまれているのですか?
蝶々 ちょうど昨日も娘と一緒にゆっくり神社を回っていました。子どもが「秋の宝物探しをしよう」と言うので、神社にある山を30分くらい巡っていたら、ハート形のぷくっとした茶色い生命体を発見したんです。「写真を撮って欲しい」とか「これはなんだろう?」とか子どもも興味津々で。「棒でつついてみたら?」と提案して、棒でつついてみたら、まるで茶色いクッションがブシューッと弾けたかのように胞子がたくさん出てきて大興奮しました。一目ではわからなかったけれど、キノコだったんですね。
さらに歩を進めると、葉っぱが小さく丁寧に重ねてある巣があって。棒でつついてみたら、棒が取れなくなってしまったので、おそらくミノムシの巣だと思うんですけど、親か自分が葉っぱを載せて作ったんだろうなあということがつぶさに感じられました。
それぞれとても小さなことかもしれませんが、そうして移ろう季節や自然と日々接すると発見がいっぱいありますよね。
春は、娘が「道を歩いているだけで、花束ができるから最高!」と話していて。それは素敵な花壇から摘んでいるということではなく、野草の花を見つけて集めているんです。子どもならみんなが持っている素敵な感性ですよね。それによって私もそうだなあと思い、足元を意識するようになりました。
夏至の太陽高度が一年で一番高い日に梅干しを漬けたり、立冬になると冬の訪れを感じたり、暦と暮らすまいにちは豊かですよ。
季節の行事や暦の活用方法について、後編に続きます
今の時代を元気に生きる知恵がいっぱい! CHOCHO宇宙暦2020年のテーマは、Vital<生命力>です。Vitalパワーをググッと刺激し、UPするために、写真・メッセージともにより生命力にフォーカスして作られています。刻一刻と移ろいゆく天と地の間にある日常を自由自在に遊びましょう。
サイズ:260×165mm 12か月+宇宙エッセイつき
インタビュー・文/末原美裕