1,2,3歳が肝心!歯科医が教える【乳歯のむし歯】を防ぐ生活習慣、仕上げ磨きのすべて

かわいい乳歯が生えてくると、子どもの成長を実感しますよね。でも、嫌がってみがかせてくれないこともあり、毎日の歯みがきに頭を悩ませている人も多いのでは? むし歯予防やみがき方のポイントを知り、しっかりケアしていきましょう!

乳歯のケアが永久歯を守ります

乳歯はいずれ永久歯に生え変わる歯ですが、栄養をとるために食べ物をかむという大切な役割があり、言葉の発音などにもかかわっています。乳歯は表面のエナメル質が永久歯の約半分の厚みしかないため、むし歯になりやすいのですが、、乳歯のむし歯をそのままにしておくと、永久歯の歯並びやあごの発育に悪影響が出ることも。乳歯のうちからむし歯を予防し、むし歯になってしまったときは早めに治療することが、永久歯を守ることにつながるのです。

むし歯になりにくい生活習慣を身につけて

一生を健康な歯で過ごすには、栄養バランスのよい食事をよくかんで食べる、三食を規則正しくとり間食を減らす、食べたあとには歯みがきをするといった、むし歯になりにくい生活習慣を子どものうちから身につけることが大切です。乳歯のむし歯は進行が速く、初期のむし歯は汚れと見分けがつきにくいので、3~4か月に一度、歯科でむし歯や歯並びのチェックを。正しい生活習慣と定期的な歯科健診で、子どもの歯をむし歯菌から守りましょう。

じょうぶな歯を育てる3つのポイント

むし歯を予防するには、歯みがきのほかにも、フッ素で歯の質を強くしたり、甘いおやつをだらだら食べる習慣を見直したりする必要があります。次の3つのポイントすべてにバランスよく取り組んでいきましょう。

ポイント1 歯みがきでむし歯を減らす

寝る前は特にていねいに

口の中にいるむし歯菌を減らすには、歯の汚れをこまめに取り除く必要があります。「食べたらみがく」という習慣が理想ですが、一日に一回でもていねいにみがくことを心がけましょう。寝ている間は唾液の出る量が少なくなり、口の中がむし歯菌の活動しやすい環境になります。そのため、夕食後から夜寝る前にかけての歯みがきは特に大切です。

 

仕上げ磨きの正しいやり方

子どもがあまり嫌がらない下の奥歯から始め、上の奥歯、下の前歯の順でみがくなど、順番を決めておくとみがき残しを防げます。上の前歯のつけ根にあるすじ(上唇小帯)に歯ブラシがあたると嫌がる子が多いので、上の前歯は最後にみがくのがおすすめです。歯の裏側や溝などにも歯ブラシの毛先があたっているかを確認しながらみがきましょう。

歯みがきイヤイヤ!うちはこうしています

子どもの口を指さして、「バイキンが見えるよ! お母さんがお口から出してあげるね!」と言うと、あわてて歯みがきをさせてくれることも。(Gさん)

 

娘に「今日の歯医者さんは誰にする?」と聞いてぬいぐるみを選ばせ、そのぬいぐるみに歯ブラシを持たせると、喜んで口を開けてくれます。(Fさん)

 

「10秒だけね」と言ってみがき始め、「1、2、3、3、3…」と同じ数をくり返します。それが楽しいようで、嫌がらなくなりました。(Mさん)

先生から一言 スキンシップ遊びで楽しい雰囲気づくりを

機嫌のよいときに短時間の歯みがきから始め、怖い顔で押さえつけずに、笑顔で楽しい雰囲気づくりを心がけて。顔や口のまわりをさわるスキンシップ遊びも役立ちます。みがく力が強すぎると痛いので、歯ブラシはやさしく動かしましょう。

 

ポイント2 フッ素で歯を強くする

歯科での塗布とホームケアを

フッ素には、むし歯になりかかった歯を元に戻そうとする唾液の働き(再石灰化)を助ける、歯の質を強くする、むし歯菌の働きをおさえるといった効果があり、歯が生え始めたときから使うことができます。3~4か月に一度、歯科医院でフッ素を塗布し、歯の状態もチェックしてもらうとよいでしょう。

おうちでは、ブクブクうがいができるようになるまでは低濃度のスプレータイプのフッ素、うがいができるようになったらフッ素入り歯みがき剤を継続して使うことで、むし歯の予防効果が高まります。スプレーや歯みがき剤の説明をよく読み、用法・用量を守って使いましょう。

 

歯医者さんキライ!うちはこうしています

歯医者さんで塗ってもらうフッ素がりんご味なので、健診に行くときは「りんごゼリー、楽しみだね」と声をかけると嫌がりません。(Tさん)

 

広いキッズスペースがある歯科医院に通っています。待ち時間に好きなおもちゃで遊べるので、行くのが楽しみなようです。(Sさん)

 

歯科健診のあとは近くの児童館や図書館に立ち寄り、「がんばれば楽しいところに行ける」と感じてもらえるようにしています。(Mさん)

先生から一言 怖いイメージをさせる声かけは避けて

「歯医者に連れて行くよ」と言って叱るなど、「歯医者は怖いところ」とイメージさせる言動は避けてください。おうちで歯医者さんごっこをして遊ぶと、親しみがわくことも。子どもに負担の少ない治療法に詳しい小児歯科専門医で受診してみるのもよいでしょう。

ポイント3 食生活に気をつける

糖質の多いおやつや飲み物は控えめに

むし歯菌は食べかすに含まれる糖質をえさとして、むし歯の原因をつくります。砂糖を多く含むおやつは控えめにして、歯にくっつきやすいものや、口の中に入れている時間が長いものはなるべく避けましょう。おやつは食事を補うためのものと考え、栄養のあるもの、よくかんで食べるものを選ぶことが大切です。

ジュースやスポーツ飲料、乳酸菌飲料にも糖質が多く含まれています。のどが渇いたときは水やお茶を飲むのを習慣にできるといいですね。

だらだら食べをしないことも大切

口の中は飲食をするたびに酸性になり、歯からミネラル成分が溶け出します。唾液には溶け出したミネラル成分を元に戻す働きがあるのですが、一日に何度もだらだらと飲食していると、口の中が酸性になる状態が続き、むし歯になりやすくなります。むし歯予防には飲食と飲食の間を十分に空けることが大切なので、おやつは時間を決め、その時間以外は甘いお菓子や飲料は与えないように心がけて。寝る前も水やお茶以外の飲食は控えたほうがよいでしょう。

お菓子ちょーだい!うちではこうしています

だらだら食べになるグミやあめは控え、外出先で歯みがきができないときも、お茶を飲ませて食べかすが口の中に残らないようにしています。(Aさん)

 

おやつの時間を決めていて、それ以外のときはどんなに欲しがってもあげません。もらえないとわかっているので、ねだることもないです。(Kさん)

 

大きな袋に入っているお菓子は袋ごと出さず、決まった数だけお皿に入れて出し、「食べ終わったら終わりだよ」と声かけしています。 (Mさん)

先生から一言 歯みがきやうがいで「おしまい」のけじめを

甘いお菓子は毎日のように食べるのではなく、「特別なおやつ」としてたまに楽しむ程度にしましょう。果汁や野菜ジュースにも糖質は含まれるので、だらだらと飲ませるのはよくありません。飲食を終えたらすぐに歯みがきかブクブクうがいをすると、「もう食べたり飲んだりするのはおしまい」という生活のけじめをつけるのにも役立ちます。

 

 

及川洋子先生

おいかわ矯正・小児歯科院長。日本小児歯科学会専門医。地域のかかりつけ歯科医として、歯の健康教室や親子食育教室なども開催。一児のママ。

 

 

イラスト/竜田麻衣  構成/童夢 ベビーブック 2018年6月号

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