そもそも大晦日とは?
大晦日は、いつ頃何の目的で始まったのでしょうか。また、1年の最後の日を「大晦日」と呼ぶのはなぜなのでしょうか。
大晦日の歴史や名前の由来について見ていきましょう。
大晦日の歴史
大晦日が近づくと、ほとんどの家庭で大掃除をしたり、正月飾りを用意したりする光景が見られます。このような年末の過ごし方は、平安時代から始まったものです。
当時は「歳神様(としがみさま)」という神様が、1年の始まりに山から降りてそれぞれの家にやってくると信じられていました。歳神様は、稲などの農作物を豊かに実らせてくれる農耕の神様です。
どの家庭にも平等に訪れることから、家内安全を願う祖先の霊とも考えられていたようです。豊かな実りと家族の幸せをもたらしてくれる歳神様は、昔の日本人にとって、とても大切な存在だったのでしょう。
このため年末になると皆が家の中を清め、目印となる正月飾りを置いて、歳神様が迷わず来られるように準備をしていたのです。
「大晦日」の由来について
大晦日の「晦」は、月が隠れて見えなくなる様子を意味する言葉です。月の満ち欠けをもとに作られていた昔の暦では、新月から次の新月までの期間を1カ月と定めています。月の最終日には、空の月もすっかり欠けて見えなくなることから、月末を「晦日」と呼ぶようになりました。
また「みそか」という読み方は、30歳の「三十路(みそじ)」と同じで「30」から来ています。「晦日」が暦の上ではほぼ30日に当たるため、「みそか」と読まれるようになったのです。
晦日は年に12回ありますが、1年の最終日でもある12月の晦日は、他の月とは別格ということで特別に「大晦日」と呼ばれています。
大晦日を楽しく過ごすには?
1年を締めくくる特別な日には、どのような過ごし方がふさわしいのでしょうか。大晦日を楽しく過ごす方法を三つ紹介します。
暖かい部屋で家族で過ごす
大晦日は忘年会や大掃除、お正月の準備に追われる慌ただしい日々が終わり、ゆっくりと過ごせるチャンスです。
普段は仕事と家事に忙しいパパやママも、大晦日くらいはテレビを観たりゲームをしたりなど、家族団らんの時間を満喫してもよいでしょう。
皆で楽しむならカウントダウンイベント
仲のよいグループなど、大勢で楽しむのなら、カウントダウンイベントに参加するのもおすすめです。カウントダウンイベントは1年のうちでも大晦日の夜しか開催されないため、特別感があります。コロナ禍の影響で、今年はオンラインイベントも色々あるようです。
暖かい部屋で家族に囲まれ、少しだけ夜更かしをする体験も、子どもにとっては楽しい思い出になります。
年内最後に氏神様へ詣でる
1年の締めくくりとして大晦日に「年末詣(ねんまつもうで)」に行くのもおすすめです。年末詣は1年の無事を感謝するのが主な目的ですが、初詣のように新年の願い事を祈っても構いません。
年末は神仏のパワーが最も強まる時期とされ、お参りをした人にも大きなご利益があるといわれています。新年に向けて清められた、清廉な雰囲気の中でお参りできるのも魅力です。
また、年をまたいでお参りすることを「二年参り」といい、ご利益が2倍になるともいわれています。このため2日や3日に初詣に行くよりは、大晦日から元旦にかけて行く方がお得気分を味わえるかもしれません。
ただし有名な神社仏閣では、相当な混雑が予想されます。コロナ禍で密を避けたい今、大晦日の昼間に地元の氏神様に「年末詣」をするのも一案でしょう。
開運につながる過ごし方
大晦日は1年を締めくくると同時に、新しい年がよい1年になるように祈る日でもあります。開運につながる大晦日の過ごし方を見ていきましょう。
年越しそばは年が明ける前に食べ終わる
大晦日に年越しそばを食べる習慣は、江戸時代から続いています。そばは栄養が豊富なだけでなく、とても縁起がよい食べ物です。
切れやすいことから「厄を断ち切る」、細長い形から「長生き」、金粉の掃除に使われていたことから「金運アップ」など、さまざまなご利益があるとされています。
ただし年越しそばのご利益は、年が明けると失われてしまうといわれています。「年越し」という言葉から、年明けの時間に合わせて食べるものと誤解されやすいですが、開運を願うなら年が明ける前に食べ終わるようにしましょう。
門松、鏡餅など正月飾りを。縁起の悪い日は避けましょう
大掃除が終わったら、鏡餅や門松、しめ縄などの正月飾りを飾ります。正月飾りは末広がりの「八」がつく28日や、キリのよい30日に出すとよいとされています。
一方で、「苦」を連想させる29日と、お葬式と同じ「一夜飾り」になる大晦日は縁起が悪いとされ、正月飾りを出せません。遅くとも30日には飾れるように用意しておきましょう。
大晦日に慌てない!済ませておくこと
大晦日を楽しく過ごすためにも、掃除や料理などは早めに済ませておきたいものです。気持ちに余裕を持って新年を迎えられる、準備のポイントを紹介します。
大掃除は13日から28日までに
年末の大掃除は、歳神様を迎えるために1年の汚れを落とす「煤払い(すすはらい)」に由来します。煤払いを12月13日までに終わらせ、正月飾りを出すことで、歳神様が迷わずに来てくれるとされていました。
現在では、仕事の予定などもあり13日までに大掃除をするのは難しいのが実情です。仕事納めの後にバタバタと大掃除を済ませるという家庭も多いのではないでしょうか。ただし大掃除は、遅くても28日までには終わらせるのが基本です。
28日までに大掃除が終われば、余裕を持ってお正月の準備に取りかかれるうえに、不用品やゴミも年内に処分できます。ゴミと一緒に年越しをする羽目にならないように、大掃除は早めに終わらせるようにしましょう。
余裕があるならおせちの準備も
おせち料理を準備しておけば、大晦日や元旦に料理をする必要がなく、ゆっくりと過ごせます。人気店のネット通販やデパートなどで買う場合は、早めに予約しておきましょう。
時間に余裕があるなら、手作りするのもおすすめです。ただしおせち料理は品数が多いため、1日で全てを作るのは大変です。数日かけて、日持ちする順に調理していきましょう。
全てを作るのが難しい場合は黒豆・数の子・田作り(関西では「たたきごぼう」)の三つだけでも十分です。「祝い肴三種」と呼ばれるこの料理とお餅があれば、お正月を迎えられるとされています。
大晦日は大切な人と過ごそう
日本人にとって大晦日は、歳神様をお迎えする大切な日でした。何日も前から家を掃除し飾り付けをして、神様の来訪を心待ちにしていたのです。
大晦日の過ごし方は、時代とともに多様化しています。しかし現代でも、大晦日が1年を締めくくる特別な日ということに変わりはありません。
伝統をほどよく取り入れつつ、よい新年を迎えられるよう、大切な人と穏やかな気持ちで楽しみましょう。
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構成/Hugukum編集部